第16話「召喚士模擬対抗戦 Aブロック第二回戦」
一回、今回描いた内容のデータ全部吹っ飛ばして全部書き直す羽目になるとは思わなかった。
内容もだいぶ変わっちゃったし、データバックアップとか残したりとかしないからこうなるんだよな~。
ハイ、反省します。
第一回戦を無事に突破したシャルとカナリアは現在自分の控室で他のブロックのトーナメント票を座って眺めていた。
他のブロックの第一回戦の結果が出ており、ユウとメルもどちらも先輩相手に善戦、勝利して二回戦にコマを進めている。
「流石の一言ね。伊達に一年の頃から決勝進出を決めている二人が一回戦で落ちるわけないか」
「――?」
「ん、ううん。こっちの話よカナリア。気にしないで」
そう言ってシャルティアは机に座ってお菓子を食べているカナリアの撫でた後、口に付いていた食べカスを拭ってあげる。
「――♪」(ありがと、ますたー)
「どういたしまして、で良いのかしら。会話が出来ないけど感情は伝わってくるから何となくでしか分からないのが難点ね。そういえば、カナリアってどこまで進化するんだろう」
ふと、シャルティアはそんなことを考えた。
「妖精族が進化した事例は結構ある。でも、行けたとしても妖精王が限界のはず、何だけど。しかも妖精王になれたのはたったの三体だけって聞いたことがあるわ」
シャルティアはお菓子を食べ続けているカナリアを見つめた。
「進化し続ける者、この称号は最低でも種族が変わるほどまで進化するって聞いたことがあるけど、それは何故か? 妖精王になった三体の称号には王になる資格がある者としか表記されなかったと聞いたこともある。そこからは成長限界の称号表記がされた」
「………」(黙ってお菓子を食べながら独り言を聞いている)
「貴方は何処まで成長してくれるの? カナリア」
その言葉にカナリアが反応しようとする。
「シャルティアさん。そろそろ二回戦を始めますので、準備の方をお願いします」
と、同時にスタッフの方が扉を叩き、そう告げた。
「分かりました。カナリア行くよ」
「――!」(は~い! ますたー)
シャルティアは立ち上がり、カナリアはシャルティアの肩に乗る。
肩にカナリアが乗ったことを確認するとシャルティアは会場に向かって歩いて行った。
少し歩いてAブロック模擬戦場の入門口に立つとマイクで拡張された声が聞こえてきた。
『さぁ、皆さんお待たせしました! これより二回戦を始めたいと思います! 司会進行役は引き続きアカミナが担当させていただきます。そして、今回も注目はやはり、シャルティア・ルビーローズ! 威風堂々とした様子で会場に入ってきました! 肩に乗るのは相棒の召喚者のカナリア。最弱と呼ばれる妖精族でありながらも、攻守共に優れた熊型の召喚獣を単独撃破した実績を持つ。妖精族としてはあり得ない戦果です! 今回はどういった戦いを見せてくれるのか!』
一人盛り上がるアカミナに会場の観客が一斉に声を上げる。
そんな中、アカミナにスタッフが近づき、耳打ちした。
『そんな長々とした説明はいらないからさっさと始めろ? 巻きでお願い? あ、は~い』
(露国にテンション下がっちゃってるじゃないの)
『と言う訳で、Aブロック第二回戦、シャルティア選手対ココロア選手の戦いを始めます! それでは試合開始!』
そしてサクッと試合開始が宣言された。
「さっきから私が完全に空気じゃない!」
「相変わらずの影の薄さね。ココロアちゃん」
「うるさ~い! シャルティア! 貴女を倒して私が先に進ませてもらうわ! ウスラーやっちゃって!」」
「やれやれ、マスターも無茶を言うなぁ。だが、命令された以上はやるしかねぇか。それじゃ、覚悟してもらうぜ!」
開始直後相手の召喚者が槍を構え、高速でシャルティアに向かって突進してくる。
が、その間に魔法で作り出した二振りの剣を持ったカナリアが割り込み、槍を防ぐ。
「へぇ、今のを防ぐのかい。俺はスピードには自信があったんだがねぇ」
「カナリアを妖精族と甘く見ない方が身のためよ」
「いや、甘く見ちゃ無いさ。俺には分かる。こいつは妖精の皮を被ったバケモンだとな」
「――!」
「おっと! なかなかいい一撃じゃないか。これは俺も本気で行きゃなきゃ不味いか」
ウスラーとカナリアが互いに切り結ぶ中、シャルティアはココロアに話しかける。
「ココロアちゃんは戦わないの?」
「私は戦えないわ。だって私はサポート専門。攻撃魔法は使えないわ」
「なら今回は私もサポートに徹するかな」
二人がそんな会話をしているが、そんな事関係なくウスラーとカナリアの戦いは激戦になっていく。
ウスラーが槍を高速で何回も突き出し、カナリアはそれを器用に逸らしながら、反撃で出力を上げ、伸ばした剣で反撃する。
そんな攻防が繰り広げられている。
互いがスピードを生かし、高速戦闘を行っているのでシャルティアとココロアはバフを渡した。
「ウスラー!」
「カナリア!」
「「『攻撃力上昇』!『速度上昇』!」」
二人にバフが渡され、速度が上昇して攻撃する瞬間は人の目には見えないレベルにまで発展した。
が、それも最初のみ、すぐに差が出来始めた。
「ウスラー!」
「くっ!」
「――!」(とどめ!)
「しまっ!」
高速戦闘でウスラーの体勢を崩したカナリアが仕掛けた。
「――!」(木葉式剣術一の型! 木葉裂き!)
カナリアが高速回転して竜巻を出現させ、ウスラーを切り裂き、最後に一閃。
綺麗にウスラーに入った一閃はその後静かにウスラーが消えていくことで勝敗が決したことを周囲に確認させた。
「勝負ありね」
「…降参するわ。もう私に戦う力はないから」
『決着ぅ―! 勝者シャルティア・ルビーローズ&カナリア―!』
そして勝者を告げるアカミナの声が響き渡ったのだった。
次回は第三回戦か、Aブロック準決勝をお送りします