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モテなすぎて死にたい。  作者: しらすぢろう
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第1章:「モテと顔面」


『恋が生まれるまでは美貌が看板として必要である』 スタンダール



I:「顔面は生まれつきだから俺のせいじゃない。親のせいだ」



「はじめに」の記事で触れたように私はモテない。それはもうさっぱりと、自分でもびっくりするほどモテたことがない。


ただ賢い私は「モテない理由を探し当て、ひとつひとつ潰していけば必ずモテるはず」という極めて論理的かつ知性的な解決策をすでに見出している。これでもうクリスマスの夜に一人でサラダチキン(常食)を食べながら、ツイッターで同志達の悲哀に満ちたつぶやきを延々眺め続ける日々にも終止符が打たれる事だろう。



さて、まず一つめのモテテーマは「顔」である。


キングオブ身もふたも無いモテ要素。「顔がいいとモテる」そりゃそうだ。世界人類全てにアンケートを実施したところで、これを否定できる人間はいないだろう。


そして私もまた、顔面がいささか不自由な人間の一人である。


しかし、顔面なんて完全に生まれつきなんだから、どうしようも無いじゃん! と感じておられる諸氏もいらっしゃる事だろう。確かにその通りだ。私たち全ては等しく自分の生まれてくる場所や時代を選べないのと同様、自分の顔面を選んで生まれてくる事はできない。ゲームのアバターのように自分でエディットしてから母親の胎内から出てくるわけにもいかないのである。その点に関してだけは、神は平等である。


ただし、選べない事だけは平等なれど、結果に関しては完全にガチャである。福山雅治のように1%にも満たない確率を引き当ててSSR顔として生まれてくる者もいれば、私のようにノーマル顔面(の中でもステ弱め)として生まれる者もいる。


神は不条理だ。いや、仮にこの世に神も仏もない、という視座に立って言うならば、人間は進化の過程で何を間違えたのだろうか。生物はDNAをより広範囲に残すために進化してきたはずで、であれば繁殖力に欠けるブサイクフェイス(B-FACE)の種など、けっこう早い段階で淘汰されてきたはずである。なぜいちいち誰も幸せにならないガチャ要素を残したのか。つくづく人類とは愚かである。


そこに神や運命ならぬ人為的な要素を見出すとしたら、それは両親である。もちろん100%の確率ではないが、両親が共に美男美女だったとしたら、当然ガチャでSSRを引く可能性は大きく高まる。子のDNAとは結局親のDNAのコピーである。もし両親共に美男美女ならば、そいつはSSR排出率上昇中のフェスでガチャを引くようなものだ。


私の両親を見返してみても・・・SSRが排出される確率は限りなくゼロだろう。ただ、両親が加害者かと言うと、両親もまたその親から哀しきDNAを引き継いでしまっただけであり、彼らもまた被害者なのだ。そして、その親も、その親も・・・


と話を進めていくと、ビッグバンもしくは天地創造の所まで話を続けなければいけなくなる。皆さんの時間の浪費をさらに笑えないくらいの規模で無駄にさせてしまうので、このへんにしておこう。ちなみに先に言っておくと、この記事をこの先まで読み進めたところで、全て無駄な事しか書かれていない。クオリティ・オブ・ライフを大切にする意識の高い方々は、今すぐこちらに移った方が良い。



Ⅱ:「なぜか嫌われる『顔で選ぶ』」



しかし、人は顔で相手を判断しがちな現実に反して、顔で相手を選ぶという事はなぜか評判が悪い。


「そんなことないよ! 結局みんな顔見てるんだし、私メンクイだもん!」とわかってる女アピールをしてくる女性もそこそこいるが、自分が相手を顔を選んでると言う場合はOKなのだが、相手に自分を選んだ理由は何かと尋ねた時「顔」と答えられると、一転して機嫌が悪くなる事が多い。


まあ、気持ちはおおいにわかる。なぜだか人は「外見が一番好き」と言われると「中身の人間性を否定された」と感じるものなのだ。別に「顔が一番」と言っているだけで、「このクソアマ性格は終わってる」と言っているわけではないのだが。


ちなみに余談だが、このわかってる女アピールしてくるタイプの女性は「私は風俗とか全然怒らないよ!」と言う事も多いのだが、それを鵜呑みにして本当に風俗に行くとメチャクチャ怒る。男性諸氏にはお気をつけ頂きたい。


人は見た目で選ばれがちだ。それは結局のところ真実である。


ただ、外見で選ばれる事を人は忌避するのも事実である。



Ⅲ:「選ばれるブサイク、選ばれぬブサイク」



ただし、本当に「こう言っちゃなんだけどブサイクだよね」という人でも、きちんと結婚している例も世の中にはいくらでもある。もちろんブサイクとブサイクが結ばれて生まれてきたブサイクが私なのだから、それは間違いない。


ブサイクでもモテるブサイクがいる。お笑い芸人などが良い例だろう。


でも、世の中には選ばれるブサイクと選ばれないブサイクがいる。そこにはどんな違いがあるのだろうか?


お笑い芸人は、ブサイクかもしれないが面白いとか、稼ぎが良い(人による)などのプラスアルファがある。ブサイクというマイナスを上回るプラスポイント(面白さなど)がある時に、人は逆境をはねのけて「選ばれるブサイク」になる事も可能なのである。




つまり、芸人を例に数式にするとこうである。



(面白さーブサ顔)>相手の容姿への要求度=モテ



顔面はモテに影響する。だが、それが全てではないのは確かである。



でも、そんなのはどうでもいい。

ただし、残念ながらこの記事のテーマは「モテと顔面」である。「ブサイクでもそれを上回る良い所があれば選ばれる」とかそんなこたぁどうだっていいんだよ!!


顔がいい方がモテる。ならブサイク顔面の俺たちはどう顔を変えればいい? という所だけに話をフォーカスしたい。


ただし「ある日目覚めたらイケメンになっていた」「異世界に転生したら絶世の美男子になっていた」なんていう1%も可能性のない事をただ夢想していても現実は何も変わらない。


では、僕らが現実的にできる選択肢を羅列してみよう。



1:整形手術をする

2:相手を目つぶしして、視力を極端に下げる



・・・くらいしか思いつかない。


選択肢1は一番明快かつ決定的な解決策である。幸い僕らの国には、美の福音宣明者ドクター・タカスがいらっしゃる。クリニックの門戸を叩けば、どんな顔にでもとは行けなくともある程度見れるくらいには整えてもらえる事だろう。


ただし、それにはそれなりのコストがかかるだろう。元がある程度整った顔面なら小手先程度の施術でなんとでもなるだろうが、俺たちくらいの本格派のブサイクになると、清水寺平成の大改修レベルの巨大工事になる事は請け合いである。


整形手術という最終手段が取れないとなると、もはや自分サイドでやれる手立ては何も残されてはいない。あとは相手側でどうにか対処するとなると、選択肢2の目つぶしくらいしか残されてはいない。だが、それには傷害罪という刑法上のリスクがあり、また相手からの好感度を著しく下げるという副作用すらある。あまりお勧めはしない。



Ⅳ:「マイナス100点よりマイナス50点を目指す」



結局、ブサイクとして生まれた俺たちはこの持ち前のブサイクフェイスと一蓮托生連理の枝、地獄の果てまで二人連れ。まさにひとりレ・ミゼラブル。嫌な人生だ。


まあ、嘆いていてもブサイクな面が歪んでよりブサイクになるだけの事。ここはもっと前向きに「より良い」状況を目指していくしかない。


そう、「美男子とブサイク」という100ゼロでものを考えるから絶望的な気分になるのであって、「美男子」を目指すのではなく「ブサイク界一のイケメン」を目指すのが俺たちに望み得る最上の選択肢である。


ここで、あなたの身の周りにいるまるでモテない奴を思い起こしてみて欲しい。もし思い起こす事ができないなら、鏡を覗いてくれれば大丈夫だ。その顔をよく脳裏に焼き付けた後、「こいつそれほど美男子という訳でもないのにモテるよなあ」という小憎らしいアイツの顔を思い起こしてみて欲しい。


目鼻立ちからして違うのは当然だが、そこはもういい。ここで注目して欲しいのは、表情や顔付きである。


全くモテない奴は大抵表情からして暗い顔付きをしていないだろうか。反して、美男子でなくてもモテている奴は、ほぼ間違いなく明るい顔付きをしている。自分自身に於いてみても、気分が良く明るい心持ちの時と、どんよりと重苦しい気分の時(つまり人生におけるほとんど)だと、接した人のノリも違っていたのではないだろうか。


同じ人間でも、表情・顔付きが明るいか暗いかでその印象は大きく変わるのである。もちろんブサイクが笑顔になったところで横浜流星になれるわけではない。だが、笑顔で明るい表情を見て悪い気分になる人はいない。ブサイクが暗い表情をしていると、「ブサイクな上に暗くてキモいとかどういうつもり?」となるが(キモいは余計だ)、ブサイクでも明るい雰囲気を出していると、「あの人ブサイクだけど感じいいよね」とはなれるのである。その差はデカい。


つまりは、ブサイクは100点にはなれないが、マイナス100点でいるよりはマイナス50点の方が絶対にいいのである。


「マイナスはマイナスじゃん!」と思うかもしれないが、所詮俺たちは生まれた時からマイナス人生なのである。どうせマイナスなら、より傷は浅い方がいい。


マイナスを少なくすれば、その分プラスアルファの要素がそれほど大きくなくても、充分に選ばれるようにもなる。私もこのままでは「現金で10億ドル」持ってなければ選ばれる事もないだろうが、「ブス界のイケメン」くらいになれれば「代官山のタワマン最上階に部屋を持ってる」くらいで選んでもらえるかもしれない。つまり、あとはLOTO6の結果次第でどうにでもなる、という事である。未来に光明が差してきた。



そう思い至った私は、次の日よりさっそく笑顔を心がけるようにした。会社でも常に表情を明るく! そう、俺は昨日までの俺とは違う。昨日までのマイナス100点の私よサヨウナラ、今日から私はブス界のイケメン・・・!!



「お前、普通にしてるとブサイクだけど、笑うと笑顔は6倍キモいな」



もはや、私に残された最後の希望はドクター・タカスのクリニックのみ。


私のモテは、結局LOTO6の結果次第のようである。



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