第七夜 忍者と悪魔と普通の学生
七話目です。
やはり、周りの人間(悪魔一体含む)は異能力者です。
主人公に逆転劇は起こるのか。
タイトル(あらすじ)詐欺にならないように頑張ろうっと。
「魅了の魔法とか得意ですねぇ。飛行の魔法で対象者に一時的な飛行能力を付与したり、遠隔視とか、読心術で人間の心を読んだり…」
と、不意に虎を不思議そうに見つめる。
「でも、虎さんにはあたしの魅了の魔法が通じないみたいねぇ。まさかあっちの方?」
俺は虎を見た。素早く自分の体を両手で抱き抱える。
「いや、大輝が考えているような趣味はねぇよ」
とりあえず安心した。俺の貞操は守られた。
「あたしが奪っちゃいましょうか」
いやらしい上目遣いはやめろ。
「そうだ。実際に見てもらったら分かりやすいですね。ちょっとこのテレビ借りますね」
「何するんだ?」
「遠隔視です。このテレビに先程話に出ていた氷目さんの現在を流しましょう」
今は消してあるテレビのリモコンを手に取り…普通に電源のスイッチを押した。
「魔法って呪文とか詠唱するんじゃねぇの?」
虎に一票。
「悪魔は人間とはメカニズムが違うんです。信仰の対象にもよりますけど。ちなみにあたしは魔王ルシファー様の配下ですけどね」
魔王とか本当にいたんだな。案外、この世界も異世界のような感じがしてきた。
虎は何故かあっさり納得している。こいつも普通じゃないよな。
テレビの液晶には、見覚えのある場所が映し出された。
狭い室内に立ち並ぶ灰色のロッカー群。あぁ、これは更衣室だ。そして、下着姿の氷目。うん、彼女らしい。可愛い熊さんパンツがよく似合う…って!着替え中じゃないか。
「あぁ、これから学園の道場で稽古すんじゃね。それにしても、相変わらず幼稚な下着だよな」
(他人に身内の下着姿見られてんだぞ。止めろよ!)
と喉まで上がってきた言葉を飲みこんだ。
(これはこれで役得じゃないか)
チラリと横目でサキュバスを見ると案の定ニヤニヤしている。
「マスターのエッチ」
(がっ!)
精神的ダメージを食らった。
「道場に来たな。お、いるいる。予定通りだな」
虎は初めから知っていたかのように、テレビに映る男を頬杖をつきながら見ている。
「あれは空手部の胴着…げ!進藤じゃねぇか」
進藤権蔵。空手部二年の期待のホープ。と言えば聞こえはいいが、ゴツい岩のようなニキビ面と強靭な肉体を併せ持つ、正に人間ゴリラ。初見だとプロレスラーと言われても間違えるだろう。
しかも、無類の女好きときてる。厄介な奴だ。
「おぅ。須藤。今日は空手部が道場使わせてもらうぞ。わかってんだろ?」
身長2メートル近いゴリラが身長140センチちょいの氷目に威圧をかけている。
「今日はうちが借りてるはず。空手部の顧問にも話してる」
流石、雪姫。表情一つ変えず、ゴリラの威圧を受け流している。
「顧問は顧問。俺は俺だ。とりあえず、今すぐこの場で謝るか…さもなくば力ずくで行くぞ」
「こちらも練習相手の虎が逃げ出して組み手の相手が欲しかったとこ。いつでもどうぞ」
淡々と語る口調と、全く構えをとらない氷目を見てゴリラ(進藤)は目を血走らせて速攻の正拳突きを繰り出した。
が、驚くなかれ、一瞬のうちに2メートルの巨漢が道場の板敷に這いつくばり肩から腕の関節技を極められていた。
「右に一度フェイント入れてからの須藤流裏風車か。あれ決まったら死ぬほど痛いんだよなぁ」
全く見えなかった俺に対し、虎が解説し、サキュバスはそうそうと頷く。
俺は一般人なんだなぁとつくづく思い知らされた。
というか、こいつら忍者と悪魔なんだよな。
忍者と悪魔が仲良さそうな感じに終わりました。
主人公ハブられてるぞ。
と、批判浴びそうですが八話に続きます。
ちなみに氷目は可愛い。筆者お気に入りキャラです。
登場回数増やそうかな(笑)
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。