02 ホルン村、村長は美人で変わり者で、親切でした
あけましておめでとうございます!
相変わらずのんびり更新ですが、今年もよろしくお願いします。
村に入れてもらい、二人の後を付いていく。
村長さんに、挨拶しろって言われたけど、どんな人だろうか。
そんな、俺の表情を見ていたのかセリトが、話し掛けてきた。
「大丈夫大丈夫!村長、優しいから心配しなくていいよ」
セリトは、そう言うと、俺の横に来て歩きごく自然に俺の肩に手をまわしている。
「こら!セリト!女性の肩に気安く手をまわすな!」
「えー!もう、ハイルは堅いなぁ…ねぇ?」
「あはは…」
セリトとは、対照的にハイルは、ムスッとしていて眉間には、皺が寄っている。
性格も、正反対って感じ。
見た目も、セリトは、金髪でなかなか髪が長いのか、ポニーテールにしており、爽やかになびかせている。
顔も、イケメンだ。
ハイルは、黒髪に短髪、背も二メートル近くありそうだ、眉間に皺が寄っていて強面だけど。
日本人とは、違って二人とも掘り深いのも羨ましい限りだ。
俺がマジで女の子なら、目がハートになっていただろう。
だがしかし!
俺は、身体は女になろうとも心は、啓太のまま…男なのだよ…えぇ。
だから正直、イケメンに肩を回されても、微塵もうれしくねぇ。
寧ろ、離れやがれ。
である。
あぁ、髪が伸びて、前髪も鬱陶しいのに、そろそろセリトもかなり鬱陶しい。
ハイルが注意してくれているが、全然聞いていない。
けど、村に入れてもらえたのは、セリトのお陰でもあるしー…。
あんま、邪険に出来ないしなぁー…悪い奴じゃないんだよな多分。
ちょっとおチャラいだけで。
『こいちゅ、ほんとになんでち?ありゅじに、なれなれちいにも、ほどがあるでち!ちょっと…けんちぇいしてやるでち…』
俺が、セリトの対応を考えていると、足元でズリズリ歩いて?いたタローが何やらブツブツ言いながら、頭のてっぺんまで這い上がってきた。
「うわ!タロー何?」
『ちょっち、おまえ、ちょうちのんなでちよ!』
そう、タローがセリトに言いはなった瞬間ー。
「ん?」
ーパコン!
セリトの顔面に向けて、タローがボールみたいに丸くなり、体当たりしたのだ。
「いってぇぇ!」
「うわぁああ!ちょ、タロー!何して…うわぁぁぁ!」
『ちゅらいむだからって、なめちぇると、いたいめ、みるでちよ…』
「こ、こらタロー…ボソ(助かったけど)だ、駄目でしょうが!ご、ごめんなさい大丈夫ですか?」
セリトは、おでこの辺りを抑えながら唸っていた。
「だ、大丈夫…ぬおぉぉ…まだ、地味に痛い…小さいのに、普通に石あてられたくらい痛い!」
「ケイ、気にするなコイツが悪いから。使い魔のスライムも主にベタベタするセリトが気に入らなかったのだろう。」
まぁ、何故かタローは、セリトの馴れ馴れしい態度が最初から気に食わなくて機嫌が悪くなってたのは、何となく、分かってたけどさ……ここまでするとは。
『ふふん、こにょ、おっきいやちゅは、わかってるでちね!』
「だからって、体当たりなんかしちゃ駄目!」
『ぶぅー!』
あ、多分、拗ねてしまった。
雰囲気というか何か空気が、拗ねている。
そっぽを…向かれた気がする。
セリトを確認すると、おでこの辺りが少し、赤く腫れていた。
やべぇなタローの体当たり。
石とか土ばっか吸収させてたからか?
「まったくセリト…お前は、ちょっと反省しろ」
「いつつ…はーい…ごめんねケイ?」
「え、あぁ、いいえ!こちらこそタローがすいません」
セリトが、子犬のような目で謝ってくる。
女の子なら母性の一つや二つ芽生えるもんなんだろうが…すまんセリト寧ろ、ちょっとキモい。
「すまないなケイ」
「あ、本当、おー…私は、大丈夫ですから」
ハイルは、まだ申し訳なさそうにしている。
「あ、そろそろ村長の家に着くよ~。ほら、あの一番おっきな家!」
ハイルが指差した方を見ると、周りの家より一回り大きい家が、建っている。
真っ白な清潔感のある壁に、屋根も透き通った感じの空色。
他の家もそうだが、この村の家は、ちょっと不思議な感じ。
透明感があるというか…。
壁も屋根の感じも普通じゃ、出せなさそうな…まぁ、専門じゃないから、素人判断もいいとこなんだけど。
まぁ、異世界だし此処、違う物質あっても不思議じゃないわな。
「あぁ、お前の行動も報告するからなセリト」
「げー…」
あからさまに嫌な態度をしたセリトに、ギロリと睨むハイル…怖ー。
「…ゴメンナサイ」
やり取りを見ながら歩いているうちに、村長の家の前に着いた。
角が生えた馬が描かれた扉だ。
ハイルが扉をノックする。
コンコンー
「村長よろしいでしょうか?」
扉の前でハイルが村長に呼び掛ける。
すると、カチャリと音がしたかと思うと、扉か勝手に開いた。
だが、開いた扉の前には誰も居ない。
「え、あれ?」
「失礼します」
「大丈夫だから、行こう」
セリトに背中を軽く押され、家に入る。
「お、おじゃましまーす…」
『ぷー!このいえ、なんか、いぢゅらいでち!』
「え、別になんもないけど…大丈夫?タロー」
「どしたのー?」
「いや、何か、タローが…ちょっと」
家に入った途端、タローが家に居づらいと言い出した。
俺や、二人は、何も感じないのだけど…どうしたんだろ。
「使い魔の調子が悪いのは多分、魔抜け草の効果かもしれないな」
「わぁぁあ!」
キョロキョロしていると、いきなり背後に長身の綺麗な女性が立っていた。
「…村長、いきなり現れるのは、止めてください」
「うーん、そう言えば、何か…微かに臭いがするよ村長」
二人は慣れているのか、ハイルは呆れながら、その人に注意し、セリトに至っては普通に会話している。
ハイルとセリトが村長というその人は、笑っている。
「あぁ、驚かせてすまないな客人、使い魔も。ちょっと奥で、魔抜け草を煎っていたのだ」
「村長、迷っていた末にこの村に辿り着いたらしく…」
「あぁ、視ていたから知っているよ」
「えー!?じゃあ出てきてよ村長」
「えー…魔抜け草を煎ってたしなぁ…それに、お前がスライムに顔面を体当たりされたのもちゃんと水晶に映像を保存済みだぞ」
「げっ!?」
まぬけそう?なんだそれ?
間抜けな草なのか?
って言うか最初から全部見てたとかいってたよなこの人。
お尻辺りまで伸びた銀髪に、金色の目。
…何者なんだ?村長っていうから、てっきりお爺さんかなとか思っていたが、出てきたのは、不思議な美女。
「村長、ケイが困っています」
「あぁ、すまないすまない。私がこの村の村長で、名は、カナリアと言う」
「あ、先に名乗らず、すいません…私はケイです、えっと、そしてちょっと肩で、ぐでんとなっているのが、使い魔のタローです」
「魔抜け草の成分が煎っている時匂いと一緒に充満してしまったのだろう。セリト、ハイル窓をあけてくれ換気したらマシになってくる」
二人に窓を開けるよう指示すると、カナリア村長は、目を細め笑いながら俺を見ていた。
「歓迎するよ客人、すまなかったね私のせいで使い魔の調子を悪くしてしまって」
「いいえ此方こそいきなり村にお邪魔してしまい…」
「構わないよ、君からは、何も悪い感じないからな。ゆっくりしていくといい」
「あ、ありがとうございます」
カナリア村長は、そのままタローに目をやる。
「それにしても、スライムを使い魔にしているテイマーなんて初めてみたよ」
「まぁ、だと思います…でも、ベビースライムでちょっと珍しいスキルもってて」
「ほー!どんなスキルなんだ?」
興味があるのかカナリア村長は、目をキラキラさせている。
「えっと、吸収スキル(微)です」
「おぉ!いいスキルを持っている…ふむ…だったら…」
「えっと~…カナリア村長ー?あのー?」
そのままカナリア村長が何かブツブツ言って考えだして、扉を開けて、隣の部屋に入ってしまった。
呼び掛けても、完全に自分の世界に入っている。
さっきから、ちょっとおいていかれてる感半端ない。
すると、家の窓を全部開けて戻ってきたのかセリトとハイルがいつの間にかお茶を持って立っていた。
「すまない、そう言えばお茶も出してないと思ってな」
「村長ってそんな気、全然まわんないからねー」
「それは、いんだけど、カナリア村長…なんか、ブツブツ言いながら急に…」
「んー?あぁ、いつもの事だから、気にしないで!また暫くしたら戻ってくるから」
そう言うとセリトは、気にせずテーブルにお茶を置き、ハイルがお菓子を置いている。
「村に居ていいって許可もらえたでしょ?最初から村長、視てたみたいだし駄目なら最初から出てきただろうしね」
「あぁ、だからそのままお茶の用意をしてきた。ほっといたら大丈夫だ。さぁ、お茶でも」
気のせいだろうか寧ろ二人がお茶飲んでお菓子を食べたいようにしか見えない…!
「さぁ、ケイ座って座って!棚に美味しそうなお菓子が置いてあってさ~」
「お茶は、俺たちの村で作った茶葉なんだ甘い菓子によく合う」
二人は、既に椅子に座っている。
「えぇ!ちょっ…勝手にはマズイんじゃ」
俺が、あたふたしていると突然。
ーバァアアアアアン!ー
すごい音を発ててカナリア村長が扉を開け、仁王立ちで立っていた。
「はわわわ…おれ…じゃない、私はお菓子食べてないですますよ!」
「ケイ…!」
「ひゃっ、ひゃい!」
セリトと、ハイルは座ってお茶をカップに入れ出した。
おいこらぁあああ!!
「ケイ!」
「はい!」
「お前…処女か?」
…………ん?