プロローグ 後
「……はっ!」
俺が再び目を覚ますと周りは、何もない草原だった。
服は刺された時の格好で、黒パーカーに黒ジャージの部屋着スタイル。
そして嫌でも感じる身体の変化。
無いはずのモノがあり、有るはずのモノが無い。
髪の毛は肩まで伸びており、染めて茶髪だった筈なのに黒髪に戻っている。
元の髪の毛からそのまま伸びたのか、前髪とか色々鬱陶しい。
顔は鏡とか無いからどうなったか分からないが…。
両手で鼻や口を触り確認。
…あまり劇的に変わった感じがしない。
そのまま女に、なったのか?
それは、それで一抹の不安が…。
というか、やはり最後に見たあの不吉なステータスは、俺の見間違いではなかったようだ。
…ありえぬぇ…。
「あんのポンコツ神…」
ムカつく。
だが…-ムニョン-触り心地は、…最高だ!
胸は絶妙な柔らかさ&膨らみ、股はスースー。
鏡が無いから、顔がわからんが…そう、俺は、素敵スタイルな女性になっていた。
「いやいやいや!マジ何考えてんだあのポンコツ神…いや、落ち着け俺、あの時、性別に気を取られてステータスとやらをきちんと拝見してなかったな…うん…この際、性別逆転は置いといて…ステータス確認をまずしよう!」
もしかしたら、ステータスとかそんなんは凄い強くしてくれたとかだろう!
いや、そうであれ!
最近よく出てる小説とかでは、あるあるだもんな!
「よし!…ステータスオープン」
《斎藤啓太》レベル1
職業
魔物使い《…テイマー》熟練度1 使役上限 1体
性別 女
体力 50 魔力 0 力 2
防御 5 俊敏 300 運 0.5
技スキル
《命令》熟練度100
耐性スキル
なし
特性スキル
鑑定《ミコちゃん仕様》アイテムボックス《容量∞》サーチマッピング
何だろう、気のせいだろうか。
特性スキルとやら以外、そんな…アレだな…特別感を感じないのは気のせいだろうか。
大体なんだ、特性スキルの、鑑定《ミコちゃん仕様》ってふざけた感じ…。
大体、体力やら何か表示されてるけど基準が分からねー…
力や防御が一桁に対し俊敏が300て!
そして運に関しては、0.5…一桁ですらない…。
…大丈夫なんだろうか…嫌な感じしかしない。
「どうしたら…と、取り敢えず自分を鑑定してみよう」
《斎藤啓太》鑑定
レベル1 女になった男 テイマー 二股下衆野郎
「おい!なんだこの適当なのは!」
[申し訳ありませン]
「ふぁ!?」
表示された説明に怒っていると頭に直接何かが語りかけてきた。
え、なんだこの機能。
「えーっと…もしかして鑑定のスキル…?」
[はイ、私はミコ様の知識を元に作られたアナタの《鑑定》でス]
「だからミコちゃん仕様なのか…っじゃなくて!流石にあの鑑定は駄目だろ!」
[…私にはそう記録さレてまス]
…全部、さっきみたいな感じなら使える気がしないぞこれ。
「ステータスに表示されているスキルに鑑定とか使えるのか?」
[はイ、可能でス…後、別に声を出さレなくても念話…念じてくれましたラ会話は、可能でございまス…啓太様は今お一人で喋っテいる怪しい女性でス]
…早く言えよ。
「(じゃあ、取り敢えず…俺の職業…魔物使いとかスキルの意味や効果が知りたい…さっきみたいなザックリ適当なのは無しだぞ)」
[分かりまシた]
魔物使い 鑑定
魔物を使役出来る職業。
テイマーとして熟練度を上げると使役出来る数が増える
テイマーの主な熟練度の成長は、魔物の使役による戦闘、レベルアップ。
[啓太様は、熟練度1なノで、一体を使役可能でス]
「(どうやって契約するんだ?)」
[戦ったり、食べ物で釣ったリ…色々でス、たまに魔物から近寄って来たりするソうでス]
「(“そうです”って何だ?確定情報じゃないのか?)」
[…ミコ様の知識がそのヨうに認識されてるかラ…としか申し上げれませン…]
アイツ本当に適当な性格してるな…。
まがりなりにも神様だろ。
「(後、この体力とか防御の基準とかって分かる?)」
[はイ、啓太様の体力50は、一般的なレベル1の体力ノ半分以下となりまス…]
「へ、へー…それってつまり…?」
[防御が5でスので、スライムの一撃でモ死にまス]
「ソッコー俺の人生、詰んでんじゃねーか!」
[でスが、俊敏は、レベル1でレベル50程の…数値でス、攻撃が当たれバ死にまスが、まず300もあれば当たリませンこの俊敏ノ数値は、数百年前に存在シた、勇者の数値と近いでスね]
つい念話で会話するのを忘れて叫んでしまったが…成る程…だったらなんとかなりそうだな。
大体、日本で生きてきた俺は、戦闘経験ゼロの素人…じゃなきゃ刺されたりしないし。
だから、使役する為の契約に、戦闘するのは避けたい。
武器もないし、防御より低い力のステータス…その辺の雑魚にも勝てないだろう。
「(命令ってのは?熟練度が100も既にあるけど)」
命令スキル 鑑定
魔物に命令できるテイマーの一般的なスキル
熟練度が高い程、命令に忠実に動く。
[魔物は、テイマー以外にモ、飼われていたり、契約もしまス。ですが、最初は、懐かせるのに時間が、かかりまスがテイマーには、技スキルに命令ガあり、契約して直ぐある程度、言う事をきかせラれまス。啓太様ハ、既に熟練度は最大なノで、懐いてなくても命令を聞いてくれまス]
懐いてないのに無理矢理、命令させるのは、俺はちょっと…なんて言ってられないよな~。
寧ろ使役までいけるかが不安なんだがー。
「(取り敢えず、アイテムボックスとサーチマッピングはなんとなく分かるからこれから、移動しながら聞く)」
[分かりマした。]
此処でずっと居ても仕方ない。
取り敢えず、町とか村、人が居るところを目指そう。
そして俺の、不安いっぱいの性別逆転、転生人生が幕を開けた。
取り敢えず、プロローグだけでも。