プロローグ
それは、灰色の景色を一瞬で変えた。
全てを覆す 魔法の薬
ずっと止まっていた秒針の針は動き始めた
そう、それはー?
***
「今日で退院ですね!御めでとうございます。」
若い女性の声
笑みを含んだ、優しい顔が想像できる。
「いえいえ、こちからこそ
長い間、お世話になりました」
ぺこりとお辞儀をする
「演奏頑張って下さいね!それに‥早く外できっと待ってますよ」期待を含んだ瞳で見られる。
「ははは‥まずはリハビリをしなきゃです。
それにもう‥」
途中で口を止め、鼻をすすりながらお礼を述べる。
少し胸が痛い。
(研修医だった彼女には彼の相談や他にもお世話になった‥‥本当に本当にありがとうございます)
病室で辛かった時、話し相手になってくれて、その笑顔が僕の生き甲斐だったなどとは死んでも言えないけど。心で沢山の感謝を述べる
様々な手続きを終え。
大きなバックと黒く光るケースを大事そうに抱え
彼は病室に一礼し扉へとゆっくり向かう。
その足取りは何処かぎこちない
一瞬、振り返る
見える筈の無い、光景が目にうつった気がした。
【それは黒い影。口があり動物の形をして居る】
一瞬で元の景色に戻る
もう2度と此処には帰りたくない。
3度目は本当に無いんだ‥私は進む。
歩みを進める
ー遠くで影が笑った気がした
***追憶***
”運命などは存在しない。数かる可能性の中から君がが選んだから起きた事、それは偶然では無い、必然なんだ”
M.F
**
***次回予告***
時を同じくして別の場所
彼は半死半生を彷徨った。
そして突然、身体の感覚を失い、ここで長い間リハビリをして居たのだ。戻らぬ事実 時間 現実。
しかし、彼は取り戻す
その出会いは奇跡か、はたまた悪夢の始まりか?
時に大きな代償や痛みが小さな救いともなる。
この先に2人の男女から始まる。
ひいてはこの世界の常識を変える出来事が待ち受けてるのは、彼らはまだ知らない。