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働いた事なんて一度も無いのに異世界行ったら社畜だった俺の無双劇。  作者: 粉兎 / パンケーキ
第二章 前世の友達が鬼畜すぎる
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29話 病的愛に嗤う

社畜Evolveの使い所…効果は決まってるんですけど使いどころがありません。

 LUCのステータスは必ずしも高ければいい訳では無い。何故なら、この値は運の良さではなく、運の上限下限と変動値を指し示すからだ。つまりどういう事かと言うと、この値が高い程運がいい時と悪い時の差が大きいという事だ。

 

 さて、目の前の現象を俺は喜んでいいのだろうか?アルラウネがこの場で出てきた事は俺達が助かる為には幸運だろう。しかしアイビーか…どうも気がかりだ。

 

 「呼んだのは俺だ。この窮地を脱する為にお前に力を借りたいんだよ」

 「嫌。」

 「…え?」

 なんでや。召喚したあと自分で契約結べと。俺がキョトンとしている間にもエーデラは話を続ける。

 

 「契約?して欲しかったら、一個言う事聞いて」

 「…何?」

 「秘密。」

 「はぁ!?それじゃあ判断出来ねぇだろ!!」

 こんなやり取りをしている間にもゴブリン達は前線を進めてくる。ああ焦れったい!!

 

 「それじゃあ助けられない」

 「分かったよ!!分かったから助けてくれ!!」

 俺は叫んだ。その瞬間エーデラの目が光った。

 

 「契約成立ね」

 突如周囲の森の木が変形し、木の根や幹がゴブリン達を串刺しにする。うっわぁ強すぎィ…ゴブリン達が死滅するまで、一分かからなかった。

 

 「お前…強いな」

 「…約束」

 「あ、ああそうだった…何だ?」

 俺がそう聞くと、エーデラは恥ずかしそうにモジモジとしながらこう言った。

 

 「私と…結婚して」

 「「はい!?」」

 俺とミーナの声がシンクロした。

 

 

 

 「…何で俺?」

 「何か…分からないけど…可愛い」

 「俺が分かんねえよ!!」

 「私は反対です!!出会ったばかりで結婚など馬鹿げています!!」

 この時、俺の懸念はゆっくりと輪郭を帯び、形を成し始めていた。

 

 「でも契約は契約。約束は守って」

 「…いやでもなぁ…ミーナがいるし…」

 「そんな女捨てて」

 「俺とミーナの軌跡を全否定!?」

 「私だけでいい、そんな女捨てて私と結婚して」

 俺はミーナに目で合図を送る。それだけは絶対しないと。

 

 「でもお前言ったよな、一個言うことを聞けって。それだと二個になるから、片方しか聞けないんだよ」

 「ぐっ…」

 よしよし、いい感じだ。

 

 「じゃあ結婚して!!」

 「待て待てお前何なんだ話を聞け」

 俺はもう大分うんざりしてきた。ああ、ハーレムアニメの主人公、もっと苦労してんだなぁ…本命がいるのに迫られるのと、本命がいない時何人もに迫られるのとじゃ苦労の度合いが違うよなぁ…

 

 「…ご主人様、妾というのもどうでしょう?」

 「え?いや俺はいいけどさ…ミーナとエーデラは納得するのか?」

 「私は嫌ですけど…ご主人様ですから仕方無いですね。いつかこうなるのは予測してました」

 「嫌。」

 うわめんどくせえ。

 

 「さっきから楽しそうに盗み聞きしてるそこの颯太、何とかしろよ」

 「無理だ!!知ってるだろ?そういう修羅場は主人公がボコされる事でしか解決しないんだ!!」

 「うわぁぁぁ嫌だァァァ…」

 「ご主人様!!」

 「結局!!」

 「「どっちを選ぶの(んですか)!?」」

 二人が同時にこちらを見て問い掛けてくる。お前らホントは意気投合してるだろぉぉぉ!!

 

 「せめて言論の自由を先に下さァァァい!!」

 

 

 

 …という訳で妻が一人増えてしまった。俺、まだ、16、おーけー?

 因みにエーデラとミーナは完全に意気投合してしまった。そしてその会話の中に、「監視」とか「拘束」とか聞こえてくる。え、俺の名前出てくるし俺の話題だよね!?

 

 そして王都へ到着する。クソ!!どれもこれも全部皐月が強引に俺を魔王退治に行かせたからだ!!この落とし前はキッチリつけてもらうぜぇ…

 

 「ここがミキの屋敷…大きい…」

 「そうです。ご主人様は凄いのです!!」

 家に着くと同時に二人がこんな会話を始めた。はぁ…皐月への殺意がむらむらと…ああぁぁぁイライラするぅぅぅ!!俺は二人を抱えて王城へと走った。

 

 

 

 「よっす美輝!!おかえり〜…増えてる?」

 「どれもこれもお前のせいじゃボケェ!!」

 俺は問答無用で皐月を殴りつける。

 

 「痛!?えぇぇ!?」

 「お前のせいで俺は…俺はァ…うぅっ…」

 「皐月、お前のせいでコイツ面白い事になったんだ、労ってやれ」

 「颯太!?面白いって言った!?」

 「そうか…おーよちよち」

 「…(無言のアッパーカット)」

 「ブゴフッ!!」

 俺は皐月を吹き飛ばした。もはやこれが日常となり、兵士達もやれやれと傍観している。

 俺は皐月に事の成り行きを説明した。

 

 

 

 「…それで、何が問題なんだ?正直俺には自慢にしか聞こえん」

 「…それがさ…?俺、気づいてしまったんだよ」

 「ミキは私の」

 「いえ、ご主人様は私のです、譲りません」

 二人がそれぞれ腕に抱きついてくる。

 

 「…マジで何が問題なの?」

 「…黙って見てろ…」

 「ミキ、一生離れない」

 「私も…ご主人様は離しません」

 「…重いな」

 皐月が呟いた。ああその通り、俺が言っている問題はまさにそこなのだ。

 

 「薄々感づいていると思うが…俺の妻は二人ともヤンデレだった」

 皐月と颯太はその言葉を聞いた瞬間、かつて無いほどの大声で大爆笑し、顎が外れるという事態に陥った。なんでや!!

 

 

 

 アイビーの花言葉は『死んでも離さない』

どうしてこうなったorz

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