27話 皐月倒すべし、慈悲はない
最近悪ノリが過ぎる気がします。こんな超絶おふざけ小説でいいのか。
因みにこの章のボスはデゼスプワールではありません。
「ご主人様、それで何か弁解はありますか?」
「はい、全くございません」
今の状況は俺がミーナに土下座し、デゼスプワールが俺に土下座し、俺達をゴミを見るような目で見ているのがミーナ、それを見てケラケラ笑っているのが颯太、という図だ。
「全く…節度ある行動をして下さい!!今のご主人様はただのご主人様ではなく私の…お、夫…なんです…から…」
その一言にまず俺がテンションを上げ、デゼスプワールの俺を見る目がゴミを見る目に変わり、颯太は怒りとかミーナの可愛さとかで感情が交錯してヴォルーシャで俺を殴り始めた。
…何だこのカオス。
「まぁあの魔法の効果も試して見たかっただけだし、今回は大目に見てくれ。それとも、ミーナが実験台に」
「やめなさいよ!!」
ファッ!?突然背後から放たれた突きに混乱するも、俺はミーナに当たらない様にレイピアを掴む。レイピアって刃もあるんだね(要訳:手が切れて痛かったです)。
「あぶねえな…さっきのもっかい食らいたいのか?」
「ご主人様!!」
ミーナの怒号が響く。そしてベタな展開ではあるが、その声ももう一つの怒号に掻き消された。
「うるっせえな!!今何時だと思ってんだ!!」
「「「「ごめんなさい!!」」」」
俺達はノリと勢いで宿屋の主人に土下座した。
「ふあぁぁ…ねむ」
昨日遅かったせいか、起きるともう日が昇っていた。ミーナはまだベッドで眠っている。
デゼスプワールとネロスは治療して転がしといた。死んではいないはずだ。
「起きろミーナ…朝だぞ」
「んむぅ…ご主人様…それは四天王じゃなくて…国王様です…ふにゃ…」
「夢の中で俺は皐月にどんな仕打ちをしてるんだ…」
俺は軽く溜息をついてからミーナを揺り起こす。
「ミーナ、起きろー」
「ん…ご主人様、おはようございます…」
「所で、何の夢だったんだ?」
「え…そんな!!言えません!!」
ミーナは心底怯えきった顔でそう言った。何の夢か余計に気になってきた…ううぅ…
まあそんな事気にしてもしょうがないので俺はベッドから降り、魔族二人を起こす事にする。
「おーい、魔王起きろー」
「んー…貴方ね…それは馬じゃなくてこの国の王よ…むにゃ」
「ミキ殿…それは馬ではなくこの国の王です……」
「何だ!?何でみんな同じ夢を見ている!?俺は皐月に何をしたんだァァァァ!?」
今日も暇しない一日になりそうだ。
因みに隣の部屋へ颯太を起こしに行くと、「美輝…皐月は四天王じゃないぞ…」と言っていた。
その頃の王室では。
「…んぐぅ…美輝…俺は馬じゃないぞ…?スヤァ…」
「さて、やっぱりあったかフカセ商会」
「ご主人様、フカセ様はどうして行く先々に店を建てているんでしょうか?」
「知らねえな」
俺はミーナと颯太、魔族二人を連れて店内に入る。
「いらっしゃいまs…って美輝じゃね」
「言わせねぇよ!?」
例のテンプレ台詞を言おうとする大輝を強引に遮った。
「何だよ…所で、今朝何かお前が皐月に馬車を引かせてる夢見たぞ?」
「あ、私もです」
「え、大輝もか?」
「私も見たわ」
「奇遇ですね、私もですよ」
「ってお前らの寝言とミーナの態度はそれが原因かァァァァ!!」
「うるっさいわね!!朝っぱらから何騒いでんの!!」
「「「「「ごめんなさい!!」」」」」
非常にテンポのいい会話をしたあとで俺達は本題に入る。
「んで美輝、今度は何の用だ?」
「おう、魔王引き取ってもらいに来た」
「「はぁ!?」」
魔族二人が揃って疑問を投げかけるが無視する。
「こいつら悪いヤツじゃねぇし、何より昨日間違えて魔王城に隕石落として爆破しちまってさ…」
「ちょ、お前マジか」
「という訳だ。(それに、魔王お前の好みだろ?)」
「そこ問題じゃねぇし!!」
くっ、言葉選びを間違えたか?いや、感情把握によると押せばいける!!
「まあまあ、善意でなんとか…頼むよ」
「嫌だな、責任ぐらい自分で取れ。金払うなら引き受けてやるけどさ」
「魔王の扱いな」
俺はそう言いながら適当に大金貨を大輝に渡す。
「お前…金銭感覚狂ってるのか?」
「フッ、釣りは要らねえ…」
「え、ちょっと待ちなさい!!え、ちょ、えぇぇ…」
俺達は魔王を大輝に押し付けてフカセ商会を去った。
「という訳で悪は去った!!これでミーナとのんびりまったり異世界スローライフだ!!」
「ご主人様、魔王はまだ12人も残っていますよ?」
「そうだったァァァァ…」
俺は頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「フッ、無様だな美輝、いいぞ、俺が一人でも」
「本当か颯太君、本当なんだね!!そうかそうかありがとう!!頼んだよ!!この世界の命運は君にかかっている!!僕は君を信じているよ!!それじゃ!!」
「え、いやちょっと待てーい!!」
わしっと襟首を掴まれた。
「冗談だろうが」
「…チッ」
「舌打ちした!?」
今日も俺達は平和だ。
「…まあ百歩譲って魔王を倒すのは良いとして、俺は皐月をシバかねばならないんだよ。」
「ふーん…つまり、お前の皐月に対する怒りの表れが今朝のあの夢だったって事か…」
「成程、納得です。ご主人様は国王様を馬のように扱いたいんですね!!」
「何で今朝の夢に結びつける!?いや確かにちょっとやってやろうかと思ったけどさ!!」
そんな議論もあって俺達はバレリアの町を去った。王都を目指すか次の魔王城へ行くか、議論は馬車の中でも続いた。
その頃王室では…
「ぶぇっくし!!…ん?風邪か?そう言えば何か寒気もするな…何というか…鳥肌が立つというか…」




