19話 ヴォルーシャ
元の世界での知り合いは友達がモチーフです。どいつもこいつもキャラが濃いので、殆どそのまんまでも個性が出ます。颯太のモチーフになった友達は、ガンオタです。
「んぅ…おはようございますご主人様…」
目を擦りながらミーナが起きてくる。反則だ。そう言えば、ミーナより先に俺が起きていたのはこれが初めてだな。
「おはようミーナ、その可愛さは反則だ」
「じゃあ、ナデナデして下さい〜」
そう言ってミーナはふらふらとこちらに歩いてきて、俺をぎゅっと抱き締める。な、何だこの可愛い生物は!?寝起きのミーナが可愛すぎる…今度から5時に起きよう。
一通りミーナを撫でてから、朝食の準備を頼む。10分ほど待つと、昨日の残りとパンが出てきた。
「ご、ご主人様…さっきの事は…」
ミーナが顔を真っ赤にして言う。なるほど、料理してる間に目が覚めてきたのか…俺も鬼ではない、さっきの事はしっかり…
「脳に刻み込んでおこう」
「ご主人様!!忘れてください!!」
ああ、今日はいい事がありそうだ。
と思っていた時期が私にもありました。森の中を四天王を走らせて進軍していると、右の方でバキバキと木が倒れる音が聞こえる。それと共にチュイィィンという機動音も聞こえるようになる。この世界にそんなハイテクなものが!?いや、探求者先生が知らない。これはこの世界のものじゃない!
俺は四天王を止め、馬車から飛び降りる。
キュイン。
俺は反射で青白い光を絶雪牙で弾き飛ばす。
「誰だ!!…っつってもアイツしかいねえよな…」
アイツもいるのか…これはもう、皆来ていると考えるべきか…やだな。そして俺のすぐ近くに、俺がその中で最も出くわしたくない奴がいる。
そしてそいつは姿を現し…何こいつ!?それは真っ白なボディが全身を包み、手にはそれぞれビームサーベルとビームライフルを持った、3メートルほどの人形の機械兵が浮いていた。人間の様に滑らかで、ガ○ダムやI○の様なカクカクした感じは全く無い。そして、顔などのパーツも一切ない。目の部分に青いゴーグルの様なものがあるだけだ。
『…ん?』
そしてその機械の中から声が聞こえる。それと同時に機械兵の頭部がガシャガシャと開いていき、中から見知った顔が出てきた。
「美輝じゃんか」
「お帰りください颯太様」
「何でだよ!!」
ズビシッ!!頭に衝撃が走る。こいつ、今は俺の方が強いんだぞ!!という気持ちを抑えて、言う。
「邪魔だ」
「ほぉ、俺の一撃を食らいたいのか!!」
颯太の右手の装甲が開き、光を放つ。ま、まさかこいつ、アレをやるつもりか!!やめろ、この小説が消される!!
「クレイジーフィンガー!!」
うお、スレッスレや!!二つの意味でスレッスレだわ。俺は絶雪でそれをいなした。うお、指が全部刃物になってる!!触れたらひとたまりもないだろう。
「あぶねえな!!俺がガチート持ってなかったらどうするつもりだったんだ!!」
「その時はお前は偽者だと判断するぞ」
無茶苦茶や!!俺はイラッときたので颯太の頭を絶雪の峰で叩く。
「いてぇ!!何でだよ!!」
「逆に何故怒られないと思った?」
「ご主人様、そちらの方は?」
うわ、やべえタイミングでミーナがひょっこりと馬車から顔を覗かせる。ミーナには首輪がついており…
「お前こんな小さな子を…やはりロリコンだったか」
「違うわ!!ミーナは俺の一つ下だ!!」
「えっ?冗談だろ?」
「わかる、分かるぞその気持ち。身長も低く服装もワンピース、そしてあの胸…いや着痩せしてるだけだけど…のサイズ。だが15だ。」
「ちょっと待て、何で気痩せしてるとか分かるの?」
「…あっ」
不覚!!まさか誘導尋問だったとは…颯太!謀ったな颯太!ちくせう、これで俺はロリコンの汚名を被ることになるのか…
「ご主人様、それでそちらの方は…」
「あ、俺颯太。美輝の事殴っていいぞ」
「何でだよ!!」
「それではお言葉に甘えて…」
「え、ちょま…ミーnグボァ!!」
俺の顔面にミーナの拳がクリーンヒットする。俺、なんかしたっけ?あ、胸の話か。
「さてと、美輝、突然だが王都まで連れてけ。準備OK?」
「ヤメテ」
「ダメだ(無慈悲)、コロス、はい死んだー!!ドゥルルルルル…じゃねえよ!!クレイジーフィンガー!!」
「壱ノ太刀!!」
俺はすんでのところで颯太の右手を弾き返す。
「…腕を上げたな」
「お前は俺の師匠か!!あぁもう疲れた、行くぞミーナ」
「分かりました、さようなら颯太さん」
「おい待て待て待て乗せてってくれよ」
「嫌だ!!そんな重そうなの乗せてけるか!!」
馬車の床抜けるだろ!!
「ん、ならこうするわ」
颯太の言葉に反応して機械兵は折り畳まれ、颯太の腕にリングだけが残った。
「ホント何なのそのロマン装備」
「いいだろ?」
「いや、俺は実用性重視だ」
俺は颯太を馬車に投げ入れる。
「おま、扱い…な!!これ人をダメにするソファじゃねえか!!一体どこで…」
「企業秘密だ」
「教えろよ!!」
「嫌です。四天王!!全力で行け!!」
俺は叫びながらミーナをだき抱えて馬車に飛び乗り、人をダメにするソファに座った。と同時に四天王が嘶き、馬車が走り出す。
「なっ、お前速すぎだろ!!」
「コレがウチの平常運転だ」
「な…くっ、横になっていればどうということは」
ガッタン!!
「アバーッ!!」
ゴロゴロゴローっと颯太は転がる。俺は相変わらず離れないミーナを撫でながらくつろいでいた。
「おま、何でそんな余裕なんだよ!!」
「ステータスの恩恵だ」
「くそ、ヴォルーシャがあれば…グワーッ!!」
どうやら先程の機械兵はヴォルーシャと言うらしい。がしかし、俺の馬車の中では使わせん!!颯太にはもっと転がってもらおうか。
ヴォルーシャの名前、例の友達に決めさせました。




