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働いた事なんて一度も無いのに異世界行ったら社畜だった俺の無双劇。  作者: 粉兎 / パンケーキ
第一章 異世界行ったら社畜になった
13/50

12話 凶星

凶星っていうタイトル、これも伏線です。

 「アルセイド、うどんあるか?」

 「うど…なんだそれは?」

 「知らないならいい。」

 そんな訳の分からない会話をしながら俺達は雪に塗れた山を登る。時折襲いかかるミミックベアを跳ね除け、俺達は山頂付近を目指す。

 

 「あー…あったかいうどんが食べたい…何故この世界にはうどんがないんだ。いっそ作るか?」

 さて、俺の特製うどんに欠かせない白だしはあるだろうか。

 

 「ん?なんだアイツ?」

 「竜星虫だ、竜の体に住む寄生虫、竜に寄生する代わりに一部が外に出て竜を守る。」

 「そんなのいるのか。よし、行くぞ!!」

 「待て!竜星虫は…」

 アルセイドが止めるが無視だ。今の俺のステータスはアルセイドを超えている。

 

 鞘から抜くと、絶雪は雪と太陽の光で煌めき、蒼白い光から蒼に近い光を放つ。

 そしてその刃先が竜星虫に触れた瞬間!!全身の肌を黒煙が焦がす。けたたましい音と共に。

 

 「大丈夫か!!」

 「自爆系かよ…厄介だな。」

 俺は探求者先生の魔法を起動し、遠距離から攻撃する事にする。

 

 「アイスボール」

 俺の言葉に反応して、小さなスーパーボール程の氷の塊が無数に浮かび上がる。

 

 「そんな小さなアイスボールで、何をするつもりだ?」

 「まあ見てろって。」

 俺は氷の一粒一粒を別々の竜星虫に狙い撃つ。そして氷の塊は竜星虫を…

 

 貫通した。

 

 「え?」

 次の瞬間、全ての竜星虫が爆発したことにより大爆発が起こる。

 

 「本当はこんなに強かったのか?」

 「いや、三日で強くなった。」

 「…私なら毎日ミミックベアを狩り続けたとして、半年でレベルが1上がるか上がらないかだ。」

 …マジか。幸運と経験値アップ混ぜたら素晴らしい効果があるのか。

 

 「ま、そこは強さの秘訣って所か?コツがあるんだよ。言わねえけど。」

 「…そうか。」

 深追いはしないらしい。

 

 「んじゃ、さっさと竜の所まで行こうぜ。明後日までしか時間が無い。」

 「明後日…成程な。」

 アルセイドがフッと鼻で笑った。あーこいつ気づきやがった。そんでなんか失礼な事考えやがった。

 

 「…。」

 俺は結局何も言えず、無言で山を登る。竜のねぐらまで、遠回しにロリコンだといじられ続けた。

 

 

 

 「…んで、ここか。この奥か。獣くせぇな…おえぇ…」

 「気を引き締めろ。竜は手強いぞ?」

 「分かってる。」

 俺達は真っ暗な洞窟に向かって踏み出した。

 

 「ライト!!」

 俺の手元に光るオーブが現れる。

 

 「便利だな。君は使い道が多そうだ。」

 「やめて!?俺人間だか…ら…ん?人間なのか?俺。」

 暇魔神だったわ、忘れかけてた。

 つーか種族暇魔神のボーナスとか無いのかね?ステータスはもしかして暇魔神のボーナスとか…?

 

 「…見ろ。」

 「…ん?」

 突然、アルセイドが立ち止まる。行き止まりだ。

 

 「引き返すか。」

 「待て!竜のねぐらは一本道だ!!今竜は留守と言う事…つまり…!!」

 何だ?何なんだ?と思っていたが、俺はすぐに理解する。

 

 「なんだこの地響き!!」

 「くっ、追い込まれた!!逃げ場が無いぞ!」

 この部屋の唯一の出口から、翼を持った竜が現れる。

 

 「マジかよ。」

 「構えろ!!」

 アルセイドと俺が構えると同時に、ドラゴンがこの狭い部屋で咆哮を響かせる。さあ、戦闘開始だ。

 

 

 

 絶雪を抜かないまま飛び上がり、竜の顔の前に浮く。といっても、すぐ落ちるけど。

 落ちる前に絶雪を抜き、迫る竜の牙を斬り裂く。

 

 「居合、絶雪牙!!」

 絶雪牙は居合斬りではなく、居合突きだ。鞘から刀を引き抜く勢いを殺さず、前への推進力に変える。絶雪と竜の牙がぶつかり、火花を散らした。

 しかし、竜の牙は絶雪に対抗している。なんて硬度だろう。

 俺と竜は互いに弾かれ、体格差で俺は吹き飛んだ。そして竜を弾いた隙を狙ってアルセイドが飛び込む。

 

 「セイクリッドソード!!」

 アルセイドの剣は竜の首と胸関節部分辺りに命中し、血が吹き出す。お、凄いな。10メートル位離れてても血吸うんだ。竜の血は絶雪に吸い込まれていく。

 

 「…魔剣か?」

 「惜しい、妖刀だ。」

 アルセイドばかりにいい所を取られてたまるか。俺は岩壁にめり込んだ体を引き剥がし、絶雪を構えて竜に向かって走り出す。

 

 「てやぁーっ!!壱ノ太刀ッ!!」

 俺の斬撃を竜は爪で受ける。しかし、龍の血を吸った絶雪は強化されており、竜の爪を切り落としてしまった。あ、深爪したなこいつ。

 

 「弐ノ太刀!!」

 この隙を逃すまいと俺は畳み掛ける。竜の胴体に何十本も赤い横縞が出来上がる。竜が怯んだ今、トドメを刺す。

 

 「絶雪牙!!」

 絶雪は豆腐でも刺すかのようにあっさりと竜の首に入っていく。そして…

 

 「参ノ太刀ィ!!」

 俺はその状態から横向きに絶雪を振り、大回転斬りを繰り出した。竜の首を切り落とすまではいかないまでも、首筋はぱっくり裂けて血が吹き出す。

 しかし、竜は倒れず、まだ腕を振り上げる。え、マジで?

 

 「セイクリッドスラッシュ!!」

 突如飛来した斬撃で竜の頭部が切り裂かれ、竜は絶命した。俺は後ろを振り返る。

 

 「君にだけいい顔はさせられない。」

 俺はつい、アルセイドを睨みつけた。この野郎。

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