11話 社畜舐めんな
社畜をォォォ、舐ァァァめるなァァァァ!!
間違えて大輝の代わりに友達の名前を書いてしまったので修正www何という間違いwww
「ぬあぁぁぁ!!」
絶雪がミミックベアの脳天を貫き、血を吸い上げる。しばらく放置すれば、勝手に血抜きが完了するだろう。
俺の隣にはシルバーランク冒険者が何十人と集まって狩るミミックベアの死体が山のように積んである。スタリア北の森には馬鹿みたいにミミックベアが住んでおり、北門を通る人はほとんど居ない。そんな場所で、俺はひたすらミミックベアを狩り尽くす。
時は遡り二時間前…
「ん?どうした兄ちゃん?」
「お?ぶ、武器屋のおっちゃん!」
俺がふらふらと町中をさ迷っていると、絶雪を売ってくれた武器屋のおっちゃんに出会った。そういやこの辺りだったわ。
「すげえ顔だぜ?どうしたよ。」
「…。」
「さては女に逃げられたな?」
「近い!近いけど違う!」
俺はこのおっちゃんに、全てを打ち明けてみることにした。
「…成程なぁ、前領主様の娘が…」
おっちゃんはビールを飲みながらつぶやく。店放置していいのか?
「そんなら十中八九犯罪奴隷だな。領主の親族なら死刑は無理だ。しかし、現領主の殺害となると決して軽い刑じゃ済まないしな…奴隷落ちだろうな。」
「奴隷…か……俺がもうちょいしっかりしてれば…」
俺のせいでミーナが奴隷に…俺はもう自暴自棄になって、ビールを一気に飲み干した。にっが。
因みにこの世界、飲酒は15からオッケーだ。俺は昔から甘酒とか大好きだったので、酒場に来てバンバン飲んでる。
「そうヤケになるなよ。奴隷だって、いい主人に買われるかもしれないぜ?人によっちゃ奴隷を我が子のように扱う奴もいるしなぁ。」
「………ん?」
何かが引っかかった。何か大事なことを忘れている気がする。思い出せ、最初から…この世界に転移して…大輝を助けて…王道チートで…
「そ、そうだ!!」
俺は脊髄反射で立ち上がった。周囲の視線が集まる。俺はスススーっと座った。
「おっちゃん、奴隷の相場って幾らだ!?」
「領主の娘…聞いた話でしかないが相当美人らしいしな…大金貨が150枚位いるんじゃないか?」
15億円相当か…イケる!!市場にアレが大量に出回るだろうが、俺ならそのぐらい稼げる!!
「ミーナが売りに出されるのはいつだ!?」
「おそらく五日後のオークションだな…兄ちゃんまさか…?」
「そういうこった!!おっちゃんありがとな!!勘定頼んだ!!」
俺は金貨を机に置き、酒場を飛び出した。
そして今に至る。そろそろかな〜と思った俺は適当な木を数本絶雪で切り倒し、いかだのようなものを作る。その上にミミックベアを積み上げて山を下った。あれ、山って言ってなかったっけ?
「あ、さっきの人、おかえりなさ…えぇぇぇぇぇぇぇぇええええ!?」
「…この場で解体する。幾らだ?」
俺はミミックベアを全部いかだ?から下ろし、絶雪で皮をはぎ目をくり抜き肉を…すみませんでした。はい、自重します。あ、今更だな。
勿論、全部絶雪で血抜きしてあるので、切っても血は出てこない。解体が終わると、人を斬りたい衝動に駆られたので急いで鞘に収めた。
「よし、こんだけ換金してくれ。」
「えっと…三千万クラン…程ですかね。」
「んー…何とかして早く稼げないものか。」
ミーナのお買う上で最低限必要と思われるのが一億五千万クラン、今日で三日目だが、ギリギリそのぐらいだ。俺としては、絶対足りないと思う。
冒険者の依頼もあってはならない量を請け負い、シルバーまでランクは上がったが限界がこのミミックベアの依頼、正直大して足しにならない。
「悪いけれど、一獲千金狙える話って無いか?今めちゃくちゃ金に困っててさ…」
「それならいい話が…あります…けど…」
おっ、幸運億超えは伊達じゃない、こんないいタイミングでそんないい話があるなんて。しかし、歯切れが悪いな。何かあるのか?
「ちょっと詳しく聞かせろ。」
「…分かりました。ついてきてください。」
俺はこの衛兵に連れられて、門の砦の中に入っていった。
「聖騎士様、失礼します。」
衛兵が聖騎士の部屋をノックする。マジか、ここのトップはアイツなのかよ。キツくね?
「いいぞ、入れ。」
「失礼します。」
扉が開き、中では仕事机で書類と向き合う聖騎士の姿があった。
「ん?君は…」
やっぱアルセイドだ。三日間ミミックベアを狩り続けた俺のLvは今や108!!お前にも負けぬ!!
「…俺は依頼の話に来た。今金に困っていてな。この門番から金になる依頼の話を聞いたんだ。」
「ああ、あれか。」
何か気になるというか…嫌な予感はするが、話は聞こう。
「君も知っているだろう、依頼の内容は竜退治だ。アイサ・リノユルドを殺害した竜だ。」
死んでなかったのかそのドラゴン。そしてそいつがまだ近所に居ると。
「王からの勅命でな。ギルドを介さず直接依頼されている。報酬は白金貨3枚だ。どうだい?」
「よし受けよう。」
受けるしかないじゃんそんなの。
「そうか。では私もついて行こう。聖騎士として、一人で行かせる訳にはいかない。」
「いいのか?」
「仕事だからな。」
こいつ、ホントは良い奴なのか?いや、良い奴だったわ。むしろ俺らのが悪かったんだ。
「助かる。」
俺はアルセイドと共に、竜退治に向かう事になった。
「待ってろよドラゴン、社畜の恐ろしさ、その身に刻み込んでやるぜ!!社畜舐めんなぁぁぁ!!」




