プロローグ
初投稿です。この度、読み専から執筆へとシフトしました。妄想が爆発して描いた作品なので、感想で色々指摘していただけたらありがたいです。
いつも通りの日常、いつも通りの学校、いつも通りの帰り道。
ただ、その日の帰りは雨が降っていた、傘を持っていなかった俺は仕方なく雨に濡れて走っていた。
相変わらず天気予報はあてにならない、いつもの事だ。
道行く人も走っている人が多い、いつもの事だ。
バス停には人が溢れている、いつもの事だ。
「・・くそっ」
悪態をつきながら走る。こんな行為全くもって非効率的だ、何の意味もない。
そう気付いた俺は足を止めた。
「どうせ濡れるなら同じか・・」
こんなに濡れているなら歩いても走っても変わらない。だが少し、雨に濡れて不快だ早く帰りたい。
「そうだ、ここの道を通れば近道のはずだ。」
そこは暗く狭い路地裏で、昼間でも人通りが少ない場所、いつもの事だ。
俺は迷わずそこに入った、少しでも早く家に帰る為だ、これはいつもの事じゃない。
暗くて狭くてジメジメしたその路地裏は、まるで怪物の腹の中みたいだ。と、俺は呑気に考えていた。
後に俺は後悔する事になる、”急がば回れ”という諺は事実であり、それを信じなかった俺は正真正銘の阿呆であると。
ーーーーーーーーーーー
狭い路地裏を進むこと数分、俺は違和感を覚えていた。
(この路地裏、こんなに長かったか?)
そう、この路地裏は人1人分しか通る幅がなく、1分ほどで抜けられるのである。
なのに今日は”数分”歩いている、雨が降っているので、気持ち的に早く歩いているのにもかかわらずだ。
(なんだ・・この変な感じ・・)
嫌な予感に思わず振り返り、後ろを見る。
そこにはーーー
ーーー闇が広がっていた
「・・・・・は?」
あまりの事に、思わず思考が停止する。
最初に感じたのは恐怖、素早く前方に視線を戻す。
大体の人は恐怖にかられると、固まって動けなくなるか、逃げ出すかの二択になるだろう。
俺は後者だった。
(逃げなくてはーーーー!?)
その次に感じたのは混乱
(何もない?)
前方にも闇が広がっていた、思わず周りを見わたす。
ーー闇、闇、闇ーー
360度どこを見わたしても何もなかった、念の為、上下を見ても何もなかった。
まずい。そう直感したのもつかの間、急に足が何かに沈む感覚に襲われた。
それはまるで、底なし沼のような、非常に粘性のある液体のような感じだ。不思議なことに服や足にもつかない。
慌てて何かに掴まろうとしたが、掴めるものはなかった。
どうにかしようと何とか足掻いてみた。
「おい!誰か、誰かいないか!!」と、無意味に叫んでみたが誰もいないのはわかっていた。
「くそっ」と、悪態をつく。そうしている間にも、体はどんどん沈んでいく。
最後の抵抗とばかりに、もがいてみるが何も変わることはなかった。結局数十秒もがいたが、何もできずに飲み込まれてしまった。
「ーーーーーー!」
最後に顔が沈んでいく時、誰かがいたような気がしたが、それを確認する前に俺の意識はなくなった。
楽しめていただいたのなら幸いです。
次回から少しずつ長くなっていくと思います。