級友の目的
一体どれくらい無言のまま固まったのだろうか。
中学時代の事が何度も頭をよぎる。
「松田君…?」
僕は浦野さんの心配そうな声で我に返った。
「大丈夫?」
「あぁ… 大丈夫。 ところで、何でそれを浦野さんが?」
あまり親しくも無かった浦野さんが来た理由とは何なのだろう?
とても気になる。
「私達あまり話したことなかったよね?
」
僕の心の中を察したのか、はっきり言われる。
「うん。」
「私、あの頃明くんがあんな目に遭ってる時に何も出来なかったのが悔しくて…
」
なるほど…
人が辛いときに何も出来なかった罪悪感からの罪滅ぼしなのか…
「そんなのじゃないよ…」
やばっ!思ってた事が口に出ていた。
「ごめんっ!つい…」
必死に訂正する。
「やっぱり私達の事許してないのね…」
まぁ許してたら、こんな遠くまで来ていない。
「うん。」
「明くんがそう思ってるのは分かったし、どれだけ辛かったかも分かる。」
分かってたなら助けろよ…
「もう行くね?」
「うん。わざわざありがとう。」
心にもないことを言う。これが今の僕が出来る強がりだ。
そう言った後、浦野さんは少し複雑な笑顔をして走って行った。
走っていく浦野さんの背中を見ながら、浦野さんの事を信じても良いのだろうか?
と半信半疑になってしまった。
数分経ち、冷静になってから帰ろうと思った。
その時!!
「おーい!そこの君~」
後ろから誰かに呼ばれる声がした。
主人公は元々ここまで疑い深い子だったのか?
それとも中学時代の一件が原因なのか?
さて、次の話は久々の直人くんの登場です。
お楽しみにー(笑)