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宝石   はじめ四篇            梅野 りつ

  宝石

             梅野 りつ


頭の中の宝石が

差し込む細い光にきらめき

その光がまた別の石を輝かせ

ちかちかぎらぎらと眩く反射しあうので

どんなささいな物音も

あなたのすてきな告白も

おんなじように響くのです

いらいら、と


この頭が割れるまで

輝きの大合唱は止みません


ですから黙っているのです

差し込む細い光にはじまる

焼けつくほどのきらめきを

堪えているのでわたしは精いっぱいです




  くず



ぼろぼろの

すかすかの

くずには


月が親しげに話しかけ

街灯はそっと頭を撫でる


よれよれの

ぼさぼさの

くずにも


気づかないときも

そうでないときも

今も


きっと今も




  海



海は手を伸ばし大地を削る

こいねがう潮騒の音


一つだったものが二つに分かれ

届かない空ばかり見るので

もう一度

もう一度と

柔らかな砂に

険しい岩壁に

鮮やかな珊瑚に

人の足に

打ち寄せては引いてゆく


空はあおく

海もあおく

潮騒の音はまだ止まない




  この星



日の光がべたべたと触れてくる

顔を背けても

青色が空から滴り落ちて

目の中へ入り込もうとする


月はこちらへ駆けてくるし

見上げた空はまんまるで

引力は頭の方をぐいと引っ張る

雲は溶けて、ぼろぼろはがれ

雪のひろびろに落ちていく


私という持ち物を落っことさないよう

引っつかんでいる間にも

辺りは

ぐるりと

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