4
「雄樹どこ行ってたんだよ。」
戻ると入り口でメンバーがまっていた。よくきてくれる子もチラホラ残ってくれている。
「ゆうき~!!今日もかっこよかったぁ!」
褒められるのは正直うれしい。でもなんだか物足りない。自分がわがままになってきたのか、バンドが嫌なわけではない。
打ち上げに向かい酒を交わす。ほとんど見慣れたメンバーだから安心する。亜里沙ちゃんが隣に座ってきた。
「ちか連れて来れなくてごめんねー。あの子一度言い出すと曲げない頑固者だからぁ。」
ケラケラと笑いながら俺をたたく。別にと返すが、正直寂しかった。知り合ったばかりだから仕方ないかもしれないが、少し話がしたかった。
明日仕事か?いや、普通なら休みだ。本当に体調が悪かったのか?
「おい百面相。」
ヒロトに頭を叩かれた。
「お前らのうちあげだろ?もっと楽しめよ、ちかちゃんいないからって拗ねるなよ。もっかい呼んでみる?」
「いや、さっき話したから。電車乗ったと思う。」
そんな俺たちの話を聞いていた周りが面白そうだと割り込んできた。
「なになに?雄樹、お気に入りの子いんの?」
「雄樹に彼女?」
周りがざわつく。
「でも気をつけろよー。お前もてんだから。ファンの子に手ぇだすと、他のファンからその子攻撃されるぞ~。」
なんだそれ、俺はちかちゃんのこと気にいってんのか?ってか彼女は俺のファンなのか?
うっせぇ。と笑いながらごまかし、目の前にあったビールを飲み干した。
俺はどうしたいんだ?