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以来、俺たちの秘密の関係。
俺はばれても構わないと思ったけど、ちかちゃんの事を考えると内緒にしておくのがいいと思った。
会社ではいつもどうり上司と部下。
亜理紗ちゃんにはうそはつけないと言うからヒロトにも一応報告した。他のやつらには言わないでくれと念をおした。
ライブの後の打ち上げには顔を出してくれる様になった。
でもちゃんと終電には間に合うように帰している。
会社でも必要以上に話はしないが少し不安になる。多分どうして良いのかわからないのだろう。
俺とあまり関わらない様にしているのがみてわかる。
自分がこんなにも嫉妬深いとは思わなかった。
他のやつらと話しているのを見てしまうとイライラする。特に尾崎は彼女によく話しかけている。
「松原さん。もうご飯たべた?」
「いえ、まだですけど・・・・・・」
まわりも俺が声をかけた事にびっくりしていてこっちを見ている。
「じゃあ外いかない?今度の打ち合わせもあるし。」
断れるわけないのをわかっていて誘った。
近くのカフェでテーブルをかこむ。メールでやり取りして彼女の好きそうなお店をリサーチしておいた。
案の定嬉しそうだ。
「ちかちゃんまた俺のこと避けてるでしょ。」
美味しそうにランチを食べる彼女に唐突に聞いた。
すぐに赤くなる顔もかわいい。
「なんか、どうしていいかわからなくて・・・・ 海老澤部長の周りにはいっぱい人がいるし、
別に私は会社じゃなくても話せるし・・・・」
彼女なりに気を使っているのだろう。そういう所は嫌いじゃない。
「じゃあ、2人の時は雄樹ってよんで?」
「無理です!!今仕事モードなんでそんな事出来ません!!」
「じゃなきゃみんなの前でちかって呼ぶよ?あと出来ればあんまり男と2人にならないで、
尾崎とかちかちゃんの事気になってるみたいだし・・・」
彼女を困らせることはわかっている、でも自分でも抑えられない何かがあった。
膨れっ面で口をひらくちかちゃん。
「じゃあ・・・・・・・海老澤部長も、あんまり女の人といちゃつかないでください。
あたしだって・・・・嫌です。だからあんまり見ないようにしてるのに。」
今すぐにでも抱きしめたいと思った。嬉しかったのだ、同じ気持ちでいてくれた事に。
「雄樹って呼んで?」
「ゆ、雄樹くん。」
「ちか?約束したよね?君はつけないって。」
プライベートモードの彼が顔を出した。
付き合いはじめに約束した呼び捨て。
くんがつくのは嫌みたいで雄樹と呼ばせたがる。
でもかなか慣れない、呼び捨てなんてほかの人にもあまりしないのに。
「ゆうき・・・・・・」
呼んでみると満足げに笑ってくれた。 付き合うって難しいなと思った。
「今週さ、土曜日ライブなんだけど、日曜日は何してる?」
「特に・・・・ 土曜日は行くつもりです。」
「そっか、じゃあ日曜日も空けといて。どっかでかけようよ。」
これってデートってやつかな。そういえば雄樹君と出かけるのってはじめてかも。
「はいっ!!」