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30回目のHappy Birthday


唐突な問いだがみんなは異世界に行きたいと思ったことはあるだろうか?

俺はある。



異世界に憧れる人間がどれくらいいるかはわからないが、

『人生をやり直したい』ぐらいを思う人はいるのではないだろうか?


異世界に憧れる人間の大半は今いる自分の現状に満足感を得られていない人間だと思っている。

だから、未知の世界ひいては完全に違う価値観、情報の世界にいき、

自分という人間を評価して貰いたがっている。

そういう人は多いと思う。

俺もそんな凡庸な人間の一人である。



自分が嫌いで、自分を取り囲む環境が嫌いで、自分がいる世界すら嫌いになる。

だから俺は異世界に行く方法を探した。

それはあまりにも無謀な試み。

あまりにも長い時間を掛けた。

周りから奇異の目で見られ狂人扱いされていた。


実際あの時の俺は壊れていたと思う。

絶望し、壊れ、歪み、狂い、そして俺は過ちを犯した。

あの事件から俺はもう生きていないのと同じだった。

異世界に行く方法を探して考古学すら勉強し始めた俺だったが、

そんなのとは関係なく【それ】は唐突に訪れた。



もう異世界に行くことは無理かと諦観が自分の心を支配し始めた時、

大きな地震が起きた。

自分の本棚にある、お気に入りの異世界ラノベ小説が棚からバタバタ落ちていく。

それくらい大きな地震。

落ちた小説が偶然にも自分の周りを取り囲み、

五芒星の模様を描いている様に見えた。

その瞬間、身体が浮遊感に包まれて自分の意識がだんだん希薄になっていくのを感じる。



その時、俺は察した。

『ああ、これでやっと俺は異世界に行けるんだな……』と、

これで俺は楽になれる。


人を殺したという事実から解放される、

その幸せに俺は酔いしれる。


この世界に生まれて30年。

その日は彼の30回目の誕生日であり、ちょうど誕生日の0時であることを時計が示した時だった。

それが神武原(じんむばら)諒真(りょうま)がこの世界からいなくなった瞬間であった。 

この作品はフィクションですし、私自身も本日で30歳の誕生日を迎えましたが本編とはまったく関係ありません。

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