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8.副団長

(推薦状? 一体誰からの?)

 

 アリサは困惑した。

 公爵家の当主であるカイルよりも上の存在など王族以外に思い当たらないが……。ヴィクターが関係のある王族などそれこそ限られていた。


(となると、他の誰か? でも思い当たる節が一切無いな)


「……分かった。あの方がお前のことをそこまで評価なさるのであれば、一団長に過ぎない俺が意義を申し立てるわけにはいかないだろう」


 カイルがそう言って待機状態にあった魔術式を壊した。

 ヴィクターはご満悦だったようで胸を大きく張る。


「当然だ! 我が天才であることは揺ぎ無いが、それでもその師匠から認められるのに5年かかったのだからな!」


(5年前……。私の病気が治るのと同時に、貴方は私の前から姿を消した……。その理由も、いつか教えてくれるのかな?)


 アリサは喜ぶ彼の横顔を見て、そんな哀愁に駆られた。


「さて、それでは早速今の特務騎士団の現状について教えて貰おうか?」


 彼がそう言ってソファにドカリと腰掛けるのと同時に、廊下からガシャガシャとした足音が近付いてきた。


「カイル団長!!」

 

 大声と共に扉を開けたのは緑髪に眼鏡をかけた青年だった。


「どうしたサヴァン副団長。何か問題が発生したのか?」


 カイルは冷静にそう返すと、サヴァンは興奮気味にまくし立てた。


「どうしたじゃありませんよ!! 建物内で団長が魔術を発動なされるから何かあったのかと思って……、って、お、お前!? ヴィクター!?」


 サヴァンはソファでくつろいでいるヴィクターを見て驚愕のあまり口を大きく開けた。


「どうしてお前がここにいる!? 落ちぶれたお前が今更騎士団に何の用だ!?」


 まくし立てながら近付いてきた彼を見て、ヴィクターは愉快そうに笑う。


「はっはっは! 相変わらず元気そうではないか。サヴァンよ」


 サヴァンは一瞬ぽかんと口を開けた後、すぐに茹蛸の様に顔を憤怒に染め上げた。


「ふ、ふざけるな! たかが平民の分際で、この私に何て口の利き方だ!?」


(まあ、実際誰にでもあの口の利き方してるなら、軋轢は生まれて然るべきだよねぇ……)


 アリサは自身も失礼な態度を取られていることは気にせず、そんな感想を抱いていた。


「まあそれは置いておいてだな」


「勝手に置いておくな!?」


 サヴァンはある意味貴族らしい貴族なため、この反応はある意味で正しいものだった。クラウゼヴィッツ王国では強力な魔力を持つことが多い貴族は必然的に魔力の少ない平民よりも偉いという常識が根付いている。


貴重な時間を割いて拙作を読んでいただきありがとうございます。

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