4話:特別な者
1級師と判定されて学校に入ると、
受付のようなものがあり他の人達もそこで行き場所を聞いていた。
俺も行ってみるか。
「すいませーん。ルアです。1級師と判定されたんですけど…。」
「えっ、1級師…!
あっ、失礼しました。ルアさん、でしたね。3階でお待ちください。」
「はい。わかりました。」
1級師ってそんなにすごいんだろうか。
受付の右手にある階段を登りながら考えた。
「よいしょっと。あー、疲れた。」
3階に着くとそこは大きなホールで、
ドアが両サイドにあるだけ。
その他に、それといった物は特に何も無かった。
ここで待つのか。絶対退屈だろ。
『コネクト。』
『はい。なんでしょう。』
『暇だからなんかしない?』
『そうですね。それではしりとり、
などいかがでしょう?』
しりとり!
俺はしりとりが前世で大の苦手だ。
いっつも最後に『ん』が付いて負けてしまう。
いや、だって難しいし。
…よし!やってみるか。
『じゃあよろしく頼む!』
『はい。それでは私から。しりとり。…』
…2分ほどやっただろうか。
前世と同じく簡単に負けてしまった。
やはり勝負の決め手は、
コネクトが『る』攻撃をしてきたことだな。『る』で始まる言葉なんか限られてないか?それで攻撃してくるなんて…。
なんて残酷だ。コネクト。
『ルア様、弱いですね。』
『それを言うなよー。』
くそっ、いつかリベンジしてやる!
…すると横の部屋から1人の男が出てきた。
「やあ、こんにちは。」
「こんにちは。」
こいつ誰?
あ、もしかして指導者かな?
「俺は1級師担当の『レザル』だ。君がルアだね。レオさんから話は聞いているよ。転生者なんだってね。」
「はい。」
「いやー、1級師担当なんて久しぶりだから嬉しいよ。それに転生者なんて初めてだよ。よろしくな。ルア。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「それじゃ、さっそく魔力の量を見せてもらうよ。」
「それはさっきやったのでは?」
「ああ。だがあれは大まかなものだからな。もう一度ここで正しく計る。」
それ意味あるのか?
「どうぞ。」
俺はさっきと同じように手をレザルに差し出した。
「ああ、そうじゃなくて、えーと…手に力を入れてみてくれるか?
そしたら多分魔力が出てくるから。」
手に力を入れる?
本当にそんなことで魔力が出るのか?
俺は疑いながらも手に力を入れてみた。
フンッ
するとレザルの言った通り手から魔力(?)が出てきた。
ボッ!
その魔力の高さ3mはあるだろう。
「…こりゃすごいな。さすが1級師なだけある。」
「…もういいですか?少し疲れるんですけど。」
俺は魔力を出し続けていた。
「あ、いいよ。ごめんごめん。」
俺は魔力を出すのを止めた。
これは意外と疲れるな。
「…じゃあ次に移る。次はほうきで飛んでみようか。はい、これほうきね。」
おー、The魔女!
「どうすれば飛べます?」
「そのほうきは加工した魔女専用のほうきでな。ただ跨がれば自動的に魔力を消費して飛ぶ仕組みになっている。」
へー。この世界って色々便利なんだな。
確かほうきに跨がればいいんだよな。
「よいしょ。」
するとほうきはふわふわと
レザルの身長(175cmぐらいかな)の上まで浮いた。
「うわっ。ほんとに飛んだ!」
感動するよ。ほんとに。
まさか飛べるとは。
「それじゃちょっと動いてみるか。動く時は、体重移動だ。」
体重移動?スキーかよ。
じゃあ右に行ってみるか。右に体重をかけて、と…
スウッ
おっ本当にこれだけで動くのか。
「もう少し動き続けろ。体に馴染むくらいまで。」
「よし!これでほうきは完璧だな。どんどんいくぞ。次は魔力操作だ。」
うへぇ、休憩無し?
俺ほうきで30分ぐらい飛んでたんだけど。
「まず火を思い浮かべてくれ。」
火…
「はい。思い浮かべました。」
「じゃあ火を思い浮かべながら、魔力を放出してくれ。」
「放出?」
「さっきの手に力入れたやつ。」
「ああ。あれ。」
火を思い浮かべながら、手に力を入れる。
グッ
そうすると俺の手からは勢いよく火が出てきた。
ボオッ!
おお!やったー!魔法が使えた!
「こんな感じですか?」「
…さすがだ、ルア。じゃあ次だが、
これはいくらルアでも難しいだろう。」
どんなのだろう?
「まあ俺のを見ててくれ。」
するとレザルは右手を左に突き出した。
その時、レザルの右手から火の魔法が
ボンッ、ボンッ
というふうに2つ連続で飛んで行った。
「できるか?これはさっきの応用で…」
レザルが言い終わる前に俺は右に向いてやってみた。
ボンッ、ボンッ
思いのほか上手くいったな。
「…これでいいんですよね?」
レザルはため息を吐いた。
「はあ。君は一体…いや1級師という名と共に天才でもあったな。」