3話:魔女学校
「でもなんで俺が魔女にならないとダメなんだ?」
「別にそうなことは言ってないよ。ただ身近でできる職業が魔女ってだけ。」
なるほど。いやしかし…
「魔女になるのも、そんなに簡単じゃないだろ?」
「まあね。
でもこの世界には魔物がうじゃうじゃしてる。
だから必要最低限の力は身につけておいた方がいいと思うよ?」
確かに。レオの言うことはいつも正しいな。さすがサバヴィレの長。
「わかった。俺は魔女になるよ。」
「さっすがルア!それじゃ魔女学校に飛ばすね。」
え?
「いやいや、さすがにいきなりすぎないか?」
「大丈夫!」
何がだ。
「期間は遅くても1週間だし、必要な物もないし!それじゃ魔女学校に飛ばすね!」
いや早い、早い。
「ちょっと待て…」
「行ってらしゃーい!」
俺が言い終わる前に、
ブーン
という音と共に、俺は学校へと飛ばされた。
【魔法学校前】
気がついたら俺は校舎の前に立っていた。
俺が立っている地面の下には、魔法陣のようなものがある。
約1.5m横の地面にも魔法陣はあった。
恐らくだが、俺の漫画の経験から、
これを基点にしたのだろう。
そして前方には大勢の、女子の高校生がいた。
彼女達もこの魔法陣を通して来たのだろう。思わず俺はため息を漏らした。
「はあ。レオって手荒だなぁ。」
すると横の魔法陣からも女子が出てきた。
髪はレオと同じロングでメガネをかけている。
The真面目って感じ。
すると横の女子はこちらに気づいた。
「こんにちは!君も今日魔法学校に入学するの?」
「うん。そうだよ。」
[も]と言ったから彼女も同じ入学者かな?
「私は『ティア』。よろしくね。」
「ルアだ。よろしく。」
「よろしく!それじゃ行こうか。」
「どこに?」
「え?いやいや魔法学校だよ。
だいたい入学しに来たんでしょ?」
あ、そうだったな。
急に行かされたから自意識が無かった。
「そうだった。じゃ行こう、ティア。」
俺はティアに男だと隠すのは何だか嫌で、
これまでの異世界での出来事を全て話した。
「そうなんだー。転生で性別が変化ねー。」
「ああ。」
「それで村長が急にルアをここに来させた、と。」
ティアは半笑いで話した。
「な?すごい話だと思わない?」
「うん。でもルア。本気で魔女になりたいの?」
「え?」
俺は別に本気と言うことではない。
だがこうゆう真面目そうな奴には、本気じゃないと言ったら何か言われそうだ。
ここは本気だと言った方が…
「私は別に本気じゃないけどね。」
「やっぱりティアは本気でなりた…え?」
「ん?だから私は本気で魔女にはなりたくはない、って言ったんだよ?」
「え?なんで?てっきりティアは本気で魔女になりたいんだと…」
「ううん。違うよ。
この村サバトヴィレッジは魔女の村だからね。15歳になった女の子は魔女学校にだいたい通って魔女になるんだ。
その他に魔女になりたくない女の子は他の村に行ったりして別の職業につくんだよ。」
「へー。そうなのか。」
「だからね。今ここにいる女の子達はほとんど本気じゃないと思うよ?」
「ふーん。」
まじかよ。
まあでも確かにレオもここは魔女の村って言ってたな…。
それだけ自分の身を守るのは大事なんだろう。
俺は前を向いた。
今まで見ていなかったから気づかなかったが女子達は何かのグループで別れて、学校の中に入っている。
「あれって何?」
「ん?あー、あれはグループ分けだよ。」
「何の?」
「そうだねー。簡単に言うとクラス。魔力の量で分けてる。」
魔力、魔力ねー。
魔力ってあれだよな。
魔法使う時に消費するやつ。
…やっぱり異世界だなー。
「んでどんなグループなの?」
「さっきも言った通り魔力の量で決めるんだけど、規定の量が0~300が『10級師』と呼ばれるグループで10級師が1番下の位。
301~600が『9級師』、
601~900が『8級師』、
901~1200が『7級師』
みたいにグループ分けがされてって、
1番上の位が3001以上、
『1級師』になるね。
そしてこれがそのグループ分け表。
もう私は使わないからルアにあげるよ。」…表を渡されたが、ちょっとよく分からん。
「わからないでしょ。」
「ああ。さっぱりだ。」
「ふふっ。まあ1級師の人なんか村長しかいないんだけどね。」
ティアは少し笑いながら言った。
「へー。やっぱりレオってすごいんだな。」
「もちろん。歴代最年少の長だし。」
おっともう少しで俺達のグループ分け番だな。
「もう少しだね。」
「ああ。」
「ルアは何級師だと自分で思う?」
「さあ?ティアは?」
「私はもちろん7級師ぐらい。私ぐらいの歳ならみんな、そんなもんだよ。」
「そうなのか。てことは俺も7級師ぐらいかなー。」
ティアの番が来た。
「行ってらっしゃい。またね。」
ティアは頷いてくれた。
その後ティアはグループ分けをしている鑑定士の前に行き、手を見せていた。
おそらく、手で魔力の量を計るんだろう。
おっと次は俺の番だな。
ティアは何級師だったんだろう?
俺はそんなことを考えながら鑑定士のもとへ向かった。
「はい。手ー出してー。」
「はい。お願いします。」
…ん?ティアより長くないか?
「あのー、どうしました?」
「…。」鑑定士は黙っている。
長いから少し心配になってくる。
するとやっと鑑定士が口を開き、戸惑いながらも口にした。
「君は…1級師だ。」
は?
「いやいや僕なんかが1級師なわけないじゃないですか。もう1回計ってください。」
「悪いが俺もそう思ったから、何回も計り直した。
だから間違いない。 君は1級師だ。」