このゲームのクリア条件
石造りの街を歩きながら、そもそも何を持ってこのゲームをクリアしたと言えるのだろうか。
刻印というゲームシステムを一切教えるということなく、プレイヤーに無理やり理解させるということをしておきながら、このゲームのクリア条件というのは一切語られていない。ゲームクリアが目標であるはずなのにおかしなことだ。
実現可能なのか、不可能なのか、それすらもわからない。
何を目的として俺たちを、プレイヤーをこの世界に幽閉にしたのか。
考えれば考えるほど、謎は深まるばかりだ。
ふと、鼻の奥を香ばしいパンのにおいが通り過ぎた。
「どなたかー、パンを買ってはくださいませんかー?1巾200ギルです!」
背の低い、見るからに幼い10歳を過ぎる頃だろうかという少女が大きい声を出して、路上でパンの販促を行っていた。ゲームだとはわかっているものの、その匂いを感じているとどうしても空腹感に襲われた。
しかし、腹立たしいことに、このゲームのパンの買い方すら俺にはわからなかった。
チュートリアルすらないという不親切な仕様もあって、所持金がいくらあるのか、そういうことすらも不明だ。いきなり拉致をしておいてこの仕打ちはないだろう。
思わずため息が出てしまう。
「もし、そこの旅の方、パンをお買いになりませんか?」
町娘が立ち止まっていた俺に気が付いたのか、手を振ってそういった。
適当に見物してから断ろうと、俺は彼女がパンを売っている荷車に向かって歩いた。
「いらっしゃいませ!」
溌溂な声で彼女は言った。見るからに買ってくれることを期待していた。
ゲームの癖に断りづらいことこの上なかった。
「どんなパンを売っているんだい?」
そう聞くと彼女は荷車の中から1巾の食パンと、ロールパンのようなパンを出した。
「今はこの2種類です、もう少しお金とか材料がそろえば他にもいろいろ作ることが出来るんですけど...。」
そういった彼女は申し訳なさそうに表情を沈ませた。




