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アレジオ君の説明が一通り終わった後、しばし沈黙が落ちる。

その間、私はずっと頭をなでられている。


「……なぁ」

「うん?」

「このままいけば、君は確実に不幸になる」


今の話が本当なら、確かにそうなんだろうな、とは思う。

肯定は出来ないけれど。


「俺は近いうちにこの国を出ようと思ってる。だから……一緒に、来ないか?」

「一緒に……?」

「あぁ」

「国外に?」

「まあ、そうなるな。ちゃんと目星はつけてあるぞ」


国を出て行く?

私を育ててくれた両親を置いて?

ゲームではエルシアを手放したかもしれない。

でも、この世界がゲームの世界そのままだと言い切れるの?

もしかしたら、このまま家族3人仲良く暮らせるかもしれないじゃない。


「……突然言われてすぐ返事できるようなことじゃないもんな。安心してくれ、答えを急かすつもりはないから。決めるまで待ってるから、とことん悩めばいい」

「うん……ありがとう」


捨てられない希望にすがって黙り込んでしまった私に、優しく声をかけてくれるアレジオ君。

どうしてこんなに気遣ってくれるんだろうか。

同じ転生者で悪役同士というだけの、今日初めて会った相手に。


「そうなると連絡手段が要るな……念話って使える?」

「えっとそれが……魔術とか魔法、使ったことなくて……魔術と魔法の違いもわかりません……」

「まじか……あぁ、そういや実家にいるときは遠ざけられてたんだっけな。初めて触れたのが侯爵家に引き取られてからだったか」


またもや衝撃の事実がポロッと披露される。


「うん、ここは悪役令嬢スペックに頑張ってもらおう。俺も悪役王子スペックにはお世話になってる。さあ、さっそく覚えようか」

「唐突な無茶ぶりがきた」

「そうでもないぞ? なんでも、とはいかないが、大抵のことはすぐに身に付く。でなきゃ、授業免除されてなかったし」

「授業免除?」

「そ。つまらん授業に時間とられたくなかったから自習してたら、いつの間にかコイツ授業やんなくていいだろってことになってた。エルシアもそれくらいのスペックはあると思うぞ? 大丈夫大丈夫、いけるって」


やっぱり無茶ぶりだと思う。


「まずはこう、身体の中でグルグルしてる魔力を小指にグッと集めてだな、指切りげんまんみたいに小指を絡ませる。そして魔力を混ぜ合わせればパスが通るってわけだ」

「ごめんグルグルしてる魔力をなんだって?」

「グルグルしてる魔力をぎゅうっと小指に持ってきてグッと押し込める感じでだな」

「関西人か」

「おっ、よくわかったな」


まさかの関西人。


「周りが標準語の中一人だけ関西弁しゃべってたら変だろ? せやから東京弁しゃべっとってん。あ、魂は売っとらんからな?」


コッテコテの関西弁が飛び出してきた。


「や、なくて。ほれ、やってみ? 思ってるより簡単やと思うで?」


関西弁のまま続行ですか、そうですか。


促されるまま身体の中をめぐっている何かを右手小指に集めるようなイメージを浮かべる。

そのときにちょっと全身がかちんこちんに緊張してアレジオ君に笑われたので、いつか笑い返してあげようと思う。


「はい小指出して」

「はい」


指切りみたいに小指を組む。

そうしていると何かもやもやとして温かいものが小指に伝わってくる。


「よし、これでおっけー」


そう言ってアレジオ君が指を解く。


『もしもーし、どや、聞こえるか?』

「うぇっ⁉」


頭の中に突然声が聞こえてきて、驚きで変な声が出た。


『念話念話。頭ん中でしゃべってみ?』

『えー、もしもし』

「ん、大丈夫そうやな。なんかあったらこれで連絡してくれ」

「うん。ありがとう、アレジオ君」

「あー、ジオでいいよ。ルーシェって呼んでも?」

「どうぞどうぞ」

「どうもどうも」


二人でぷっと吹き出した。

ひとしきり笑ったあと、ジオが言う。


「で、迷子の悪役令嬢さんはこの後どうする?」

「あ」


迷子なの忘れてた。

作者は家庭の事情で混じりっけありの関西弁なので、混じりっけなしな読者さんはここ変、というところがありましたらご指摘お願いします

m(*_ _)m

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