とばっちり
13章 とばっちり
ほんとにこいつらは馬鹿だ。
何を争ってるんだか。
ていうか敵は目の前にいるぞ。
「あの~、天川さん?でしたっけ?」
ケルべスが話しかけてきた。
一応敵だよな?
「あの二人っていつもこんな感じですか?」
思わず、苦笑した。
憐れみの目を向けるな。
「いや、今回が初めてだな。」
「何で争ってるんでしょう。私もいるのに。」
「そうだな、いわゆる馬鹿ってやつだからだろうな。」
「そうですね、そうでなきゃこんな敵がいて無視とかしませんよね。」
正論だな。
と、そろそろあいつらを起こさないとな。
ちなみにあいつらは今も口論を続けている。
「おい、そろそろ馬鹿やってないで早く戦うぞ!」
「「馬鹿ってなんだよ馬鹿って!」」
ダメだ、話を聞いてはいるがめんどくさい。
「もうあの二人がペアでよかったんじゃないのか?」
「いやそれはだめです。」
そういったのは櫻木だった。
「ほう、それはどういう?」
「い、いや別にあの人は私の初めての友達になってくれたので、いっしょでよかったな~って感じで…。」
うん、つまりはそういうことだよな。
まぁそれはそれでいいんだけど。
とりあえずあの馬鹿どもを何とかしなきゃ。
敵だがケルべスに頼むか。
「ケルべス、一発でかいのを頼む。」
するとケルべスはめんどくさいといった表情で、
「いいですよ、意識がこっちに向けばいいんですよね。」
「あぁ、なるべく殺さないように頼む。」
「別に僕にしては殺してもいいんですけど。」
「すまないが頼む。」
「はいはい、わかりましたよっと。」
そういうとケルべスは二人に向かって死砲を打った。
それに信二は魔功複製を使って防いでいた。
「おいケルべス…」
「「邪魔すんじゃねぇ!」」
予想通り二人はケルべスに向かって攻撃を仕掛けた。
ほんとあいつら馬鹿で単純だ。
琴音は剣を信二は刀を使って攻撃していた。
「これってとばっちりじゃないですか?」
ケルべスが言った。
「そうだな。まぁそれが運命だあきらめな。結局倒される運命だったってことだ。」
「そんな運命なんて信じたくありません。」
攻撃を防ぎながらそう言っている。
ていうかあの二人息が合ってるな。
初めての共闘かこれ?
「もっと力強くやりなさいよ!」
「そっちこそもうちょっと早く動いてよ!」
まぁまぁ仲がいいこって。
「「仲良くないって言ってんだろうが!」」
あそこまで聞こえてんのかよ。
地獄耳か?
隣では櫻木が機嫌悪そうに向こうを見ている。
「初めての人とあんな風にコンビネーションが取れるなんて…私もしたいのに…。」
隣からなんか殺気を感じるなぁ。
気のせいかな。
「…後でお仕置きします。」
うん、気のせいだな。
…強く生きろよ信二。
せめて死なないようにな。
てかこいつの性格的にやばいことになりそうだな。
「こいつ倒したらお前のこと殴ってやるからな!」
「それは私のセリフだよ!」
「倒したらって、私倒される前提ですか。」
「とりあえずお前を倒さないと話が進まないんだよ!」
「それは、私がお二人を倒す方向でもいいんじゃないですか?」
「馬鹿が!それじゃあ俺がこいつを殴れないじゃねぇかよ!」
「…馬鹿はあなたたちだと思うのですが?」
「「だから馬鹿じゃねぇって言ってんだろうが!」」
すると二人は、ウィンズスラッシュ
「「風の力よ我が敵を切り裂け、風切…!」」
二人とも同じ魔法を使った。
あいつら絶対仲いいだろ。
それにケルべスは、
「これくらいよけられ…え?」
みると右腕が切られていた。
「「よっしゃあ!もうすぐこいつをぶん殴れるぜ!」」
同じこと考えてたのか。
「これはちょっと…やばいですかね。」
ケルベスが苦しそうに右腕があったところを抑える。
あいつらの馬鹿のおかげで敵の力は少し収まったな。
「「馬鹿じゃないって!」」
もうそれ心読んでんだろ!
エスパーの領域はいってるだろ!
「私は…まだ死ぬわけには…いかないのです。」
ケルベスがかすり切った声で言う。
さてと、これからが正念場だな。
とりあえずケルベスを倒す。
そのあとは…多分何人か負傷者が出るだろう(主に信二)。
頑張らなきゃな。
14章に続く