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短編詩集

あの日のことを忘れないために

作者: 楠木 翡翠

【作者より】


拙作は「あの日に生まれてきてくれてありがとう(https://ncode.syosetu.com/n4680de/)」の7年後のお話です。

あの日から7年が経った


私にとってこの7年間は


はじめてで慣れない育児に


地域や自治体の復興に奔走し


慌ただしく過ぎ去ってしまったなぁ……


徐々に復興が進むにつれて


あの日のことを忘れ去られてしまいそうで怖いの


まるで眩暈(めまい)だと感じられるほどグラグラと大きく揺れた病院に


ドサドサと音を立てながら落ちていく病室に置いてあったテレビやマグカップ


停電で温風ヒーターや電気が使えず


徐々に燃料が少なくなっていく石油ストーブや限られた範囲を照らす懐中電灯に頼りながら暗くて凍えた不便な日々


必死に走って津波から逃れたとしても孤立してしまい


助けを求めて大声を出していた人たち


周りに気を遣わなければならなかった避難所生活


原発事故の影響で風評被害を受けざるを得なかった農作物


それらの影響で今まで住んでいた故郷を離れ


新たな土地で生活を始めたという人たちもいたから


当時の私はすごく悲しかった


そして、忘れてはならないたくさんのボランティアや自衛隊などといった支援してくれた人たちの存在は今でも忘れられない


あの日に生まれた娘は元気に楽しく幼稚園に通っていて、もうすぐ卒園


それに続くかのように小学校に入学する


物心がついた頃からあの日の映像を見るのは怖かったと思うけど


これから生まれてくる子供たちに伝えなければならない大切なことだからね


娘は納得してくれたかどうかは分からないけど


そうせざるを得ないのは本当のこと


まもなく時計の針は震災が起きた時間である14時46分になろうとしている


私は娘と旦那と一緒に手と手を合わせて黙祷した


あの日のことを忘れないために――

最後までご覧いただきありがとうございました。

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「あの日に生まれてきてくれてありがとう」はこちらから
― 新着の感想 ―
[一言] この時期になるとテレビでも報道されているので、忘れることはないのかも知れませんが、それはもはや、過去の歴史としてのものです。 記憶を後世に伝えることが大切なのだと思います。 体験した僕たちが…
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