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2話『ステータスを確認する田村レッタさん』


 聖地に行くのはただでさえ治安が悪いってのに、オレはこの現在の華奢なボディを見下ろしてため息混じりに肩を竦めた。


「そんでオレはちびっ子シスターってわけか。どうせならマッチョでニグロイドのハンサムにしてくれれば楽勝だったんだがな」

『無茶を云うな。あとこの世界での能力値というものを説明する。通鏡に触れて[自己(セルフ)]』と唱えろ」

「グーグル・セルフ!」

『グーグルは要らない』

「昔の友人の言葉に、グーグルを信じるのはユダヤ人を信じることと同じだから気をつけろってのがあったな。関係ねえけど」


 ぼやいていると、スマホの画面が地図から変わって何やら文字が並んだ。英語のようだが、スラスラと理解できる。



 *****

 

 ステータス


名前:ピエレッタ

称号:隠者

職業:聖職者

種族:人間


LV1

HP30

MP80 

腕力9

法力200

体力12

敏捷10


スキル

聖術LV1

鑑定LV10

言語LV10


聖乙女

祈り

隠者の言葉

天の声


スキルポイント10



 *****



「誰!?」

『お前だお前』

「そうだと思ったぜ。ピエレッタってのは……この体の持ち主の名前か。田村でいいんだけどオレとしては」

『気にするのはそこか……』

「ピエレッタ田村。男風にするとピエール田村か……完全に胡散臭いフランス人みたいだな。イメージ的にはジャン・ドゥ・バトン」

『誰だジャン・ドゥ・バトンとは』

「ゴッサムシティを守るアメコミヒーローだよ。フランスパンとかオニオンリングとかフランス人っぽいパワーで戦うのが特徴だ。ちなみにフランス人じゃない」

『意味がわからん……』


 まあアメコミの話は置いといて。


「ええと、まあ数値のところはギリ理解できるような……法力って何? ひょっとしてフォースの力? オレっちジェダイマスターになるのが子供の頃からの夢だったんだけど」

『それは聖術を使った際の効果に関わる数値だ。お前はスキルの補正で常人よりかなり高い』

「スキルねえ……よくわからないけどよ」

『安心しろ。そこに[鑑定]というものがあるだろう。それは[天の声]スキルに付属した私の職能で、ヘルプ機能のようなものだ。気になる単語などはそれを使えば説明される』

「へー」


 言われてオレは適当にひとまず[天の声]というのを鑑定してみた。



《天の声。 

 神や天使から囁かれる情報や指針を得ることができるスキル。

 所持することで法力に+補正が掛かる。また、聖職者としての格が上がる。

 天から職能を与えられることもある。ピエレッタに語り掛ける天使カイムの場合は鑑定と言語がそれにあたる》



「あんたカイムって名前だったのかー。いや、カイム様とお呼びすべき? それともエンジェルカイム?」

『……呼び捨てでいい。別に気にしない』


 どことなく悲哀を感じる。コールセンター担当天使は大変だな。

 何となく天使カイムという単語も鑑定してみた。



《天使カイム。天界序列53番。参謀部の総裁。鳥の翼と猫の瞳を持ち、あらゆる動植物や自然物の声を聞く職能を持つ》



 割りとお偉いさんじゃないの? なんか情報から想像する見た目は羽の生えたニャンコっぽいけど。渋い声のニャンコだな。

 なんか職能がコールセンターに便利だから回されてる感あるな……見なかったことにしてやろう。大天使様が人間から軽口叩かれる職場に左遷されたんだ。色々可哀想にもなる。

 他に気になるステータスの用語も確認してみる。



《法力。ステータスの一つ。聖術効果の増減、及び呪いへの耐性が上下する。まったく法力を持たない者も珍しくない特殊なステータス》


《聖術。聖職者の基本スキル。レベルを6まで上げることが司祭の叙任条件になっている。また、6以上は特殊な条件が無ければ上がらない。10には神に認められなければ上がらない。

 LV1 洗礼(パプテマス):洗礼用の聖別された水を出す》


《隠者の言葉。隠者のスキル。話す言葉が不可解や無礼でも特殊な知識から放たれる言葉だと相手が思い込み、信用されやすくなる》


《隠者。称号の一つ。聖職者系。コミュニティとの接触が少ない立場にある独立聖職者。通常の聖術以外に聖医術の習得に優れる。ただし俗界聖職者として高い位につくことはできない》


《称号。職業とは別に生き方で付属するサブクラス。能力補正、社会的立場の変化などが発生する。自分で付けることを選べる場合と、強制的に付けられる場合がある》


《祈り。祈るスキル。祈りによって様々な秘跡の効果が発動するが、習得した術より効果は低い。

 数十年祈りを捧げてきた者などが稀に発現するスキル。法力値に加算を与える》


《鑑定。道具の名前、解説を見るスキル。自分以外のステータスも見ることができるが、低レベル時には高確率で失敗し、開示される情報量も少ない。

 レベルを上げるには多数の書物に学ぶ必要があり、必然的に殆ど高位聖職者しか高レベルになれない》


《言語。言葉のスキル。古代語知識も含まれる。レベルを上げればあらゆる国の人間どころか、知性ある魔物とも会話が可能。文字の読み書きにも適応される》


《聖乙女。特殊スキル。神に認められた乙女のスキル。あらゆるスキルの所得・レベル上昇に大きな補正が加わる。スキル所有者の若さも保つ。法力にも加算が加わる。

 ただし、乙女性を失った際に所持している全てのスキルを剥奪される。また、乙女の証を奪った相手は地獄に落ちる》



「ん?」



《乙女性の喪失。異性との粘膜同士の接触がそれに当たる。性交、接吻など》



「わお。いやまあ、別に男とキスする趣味があるわけじゃないけど、これで偉大なるパーパとキスはできなくなったわけ。知らねえけどパパ」

『祈り・天の声・聖乙女は神から与えられた特典だ。持っていると何かと聖職者社会では有利になる。妬まれることもあるがな』

「あれ? 別に産む趣味もねえけど子作りもできなくね?」

『子供が欲しければ同僚の天使レオナルドに頼んで受胎させるが』

「天使から乙女が授かったら生まれるのジーザス・クライスト・スーパースターだろ」


 まあ別にいいか。どうせ聖地でアーメンすればこの世界からおさらばできるんだ。

 男とアレする趣味とか全然無いし。前世の知人に同性愛者が居たが、差別は駄目と思いつつもちょっと引いた。いやホント悪いとは思うけど。オレが狙われてるとどうしてもね?

 しかし治安が悪いと無理やりアレされるかもしれねえからそこは気をつけねえとな。いや、スキルが消えるとかじゃなくてオレの心に消えないトラウマが残りそうで。


「このスキルポイントってのは?」

『それを消費して現在持っているスキルをレベルアップさせたり、新たなスキルを覚えることができる。レベル3までなら一つごとに10ポイント払えばレベルアップできる』

「ほーん。それ以外でレベル上げるには?」

『経験を積むことだな。大抵は多くの相手に使えば上がっていくが、数年掛けて一つレベルを上げるということもザラだ。お前は聖乙女の効果で上がりやすいだろうが』


 使えば使った分だけレベルアップね……どれどれ試してみるか。


「えーと、スキル[洗礼(パプテマス)]使用っと」


 すると目の前に、ヤカンで注ぐ程度の水が虚空から現れてじょろじょろと頭の上あたりから地面にヤカンを傾けたように落ちる。その途中で手で掬って飲んでみる


「わお。便利かも。んーこいつはミネラルウォーター……しかもコントレックスみたいな味がするな。多分。おフランスだからかしらん」

『いや待てお前……飲むなよ』

「えっ。飲料水出す魔法じゃねーの?」

『……普通はこの術で出した水は飲まん。神から洗礼用に授かる水だからだ。お前の常識で云うなら……寒いからって聖書を燃やして暖を取るようなものだぞ。別に私は構わんが……人に見られたら顰蹙を買うだろう』

「そいつは罰当たりなコトだ。わかったよ。なるたけ人の見てるところじゃやらない」

『……まあいいか』


 凄い便利に思うんだけどな。庶民が覚えてれば絶対使うぜ。

 多分この聖術ってのは聖職者しか使えないもんで、その聖職者は当然ながら神様でメシ食ってるわけだから不敬な真似はしないんだろうな。名前からして洗礼のときぐらいしか使わないかもしれないし、軽々しく庶民の飲料水に使ってたらありがたみが薄れる。

 

「よし。大体スペックは確認できた。後は聖地に行くだけだな。パリからテルアビブまで直行便とか出てたっけ? パスポートの用意は?」

『飛行機は当然ながら存在しない。そして一人旅は言わずもがな危険が多い。まずは近くの村に向かうといい』

「村?」

『そこにある教会の司祭の養子という立場がお前だ。修行の為に一人で隠者をしていた。なので一旦司祭の元へ行き、旅の許可を得てから村に来る商隊などに加わり旅に出れば楽になる』

「なるほど。旅は道連れ世は情けってな。聖地ってんなら、オレ以外にも巡礼するツアー団体とか居るだろうしそれに混ぜて貰うか」


 というわけで方針は決まった。まずは村を目指す。そこで旅の用意をして、行商だかなんだかに加わりつつ聖地を目指す。

 大変そうだな。SUVとかオフロードで走れるクルマでもあれば一人旅も出来るんだけどよ。


「さてと……しっかし、外はそろそろ薄暗くなってきたみてえだな」

『村に行くのは明朝にした方がいいだろう』

「そうね。つーかさっき水飲んだせいで催して来たんだけど……トイレって何処だこれ」




 *******




 オーマイゴッド。

 とんでもねえ罪悪感を排泄後に感じるとは。

 完全に自分のオリジナル女体化ボディならまだしも、他の人が復活した体に憑依したもんで、他人様の体でお小便をしてすげえ気まずかった。

 しかしこれからも毎日メシは食わにゃならんし、トイレには行かないといけない。気が滅入るぜ。


「オレの友達でさ、身も心も女になっちまったオカマ野郎が居たんだけど……あいつだったらこんな気まずさは無かったんだろうかな」

『知らん。私に聞くな。そして排泄実況をしようとするな』


 不安すぎたのでスマフォを耳に付けて喋ったままトイレしようとしてたら一方的に向こうから切られちまった。

 まあ、コールセンターの人も何が悲しくて電話先の排泄に付き合わないといけないんだって話なんだが。

 もともと男なんだからさ。その辺気を使って欲しいわけよ。まあカイムじゃなくてこの世界の神様がやったんだけどよ。


「しかも何処を探しても紙とかねえし……」

『生憎とまだこの世界の時代ではヨーロッパまで製紙技術が伝わっていない。中国に相応する国では開発されていて、中東までは伝わっているが』

「仕方ねえから洗礼の水でアソコ洗ったよ」

『人に云うなよそれ』


 仕方ねえじゃん。聖なる川ガンジスで体だって洗うんだ。神聖な洗礼ウォーターでケツ洗って何が問題だろうか。聖なるウォシュレットの神聖かな。

 

「ま、とにかく今日は一晩ここで過ごすか。ええと、この焚火の跡に熾き火とか残ってそうだけど」


 何日も、或いは何ヶ月もここで暮らしていた感じがする。食料は定期的に村に貰いに行くのか? それでも火が無いと大変だろう。焚き火の跡がある。

 むしろさっきから気になってんのは、身につけてる修道着メッチャ痒い。シラミとか居るんじゃねえの?

 メシは……うっぷ。


「この木箱の中にあるのがご飯でございますか? 石ころみてえなパンに腐ってると思しき魚があるんだけど」

『保存性を高めるために固く焼いたパンだろう。それに干した鯉だ。処理が甘いのか、残念なことになっているが』

「壺の中に入った豆は納豆になってねえのが不思議な酸っぱい匂いだぜ」

『豆類は貴重な栄養源だ』

「そしてこのワインらしい液体が入った壺は……今年のボジョレーヌーボーの出来は最悪! 暗黒時代の到来です」

『ボジョレーヌーボーではないが、まあワインの出来もよくは無いな』


 というわけで本日のディナーは、石ころパン、腐り魚、酸っぱい豆の塩スープ、エグいワインでございます。

 いやね、これでもクソ貧しい食事をしたことがないかと言うとそうでもないから、我慢できないってことはないんだが。

 ぼそっぼその蒸した玄米に塩とワカメだけ入った潮汁、カラッカラの干し魚にそして塩という献立とか、生命の息吹を感じるボコォって発泡してる一口で吐きそうになった自家製どぶろくとか飲んだことある。

 しかしまあ、あまり清貧な食事が好みってわけでもない。

 水で戻した豆スープに放り込んでふやかした堅パンを口に入れて嚥下しながら呟く。


「もしドミノ・ピザをプレゼントしてくれるやつが現れたら結婚してもいいぜ」

『居ない』

「ですよね。ん? ちょっと待てよ。スキルポイントで何かメシ系覚えられないかな」


 オレはスマフォを操作して、スキルポイント使用の一覧を出す。

 例えばジーザス・クライスト・スーパースターは石ころをパンに変えたり、水をワインに変えたり、魚を増やしたりしていたはず。

 同じような宗教世界だったらそれが術になってねーかな。


《聖術LV4 聖体(プロスフォラ):パンとワインを聖別する》


 あっこれそれっぽい。聖別したら味とかアップしない?

 しかし腐ってるっぽいのはな……それに聖術ランクアップするにはポイント足りねえし。

 他に現在のスキルポイントで覚えられるもので無いかな……


《聖法術。戦闘に於いて攻撃、防御を行う術系統。

     LV1 法撃(フォース):光弾で相手を攻撃する》


 フォースと共にあるのは魅力的だが今はいらねえ。


《聖武術。戦闘に於いて自分や他者を強化する術系統。

     LV1 自己治癒(セルフヒール):自分の傷を治す》


 傷とかじゃないしな。これも違う。


《聖医術。自分や他者を癒やす術系統。

     LV1 治癒(ヒール):対象の傷を治す》


 これも違うな。自分か対象か選べる違いか?


《祓魔術。悪魔祓いの術系統。

     LV1 晴眼(センスアイ):悪魔や妖精を看破する》


 そんなもん見ても仕方ねえ。

 他にも剣術、弓術、槍術、棍術というのがあるけど明らかに違う上に、聖職者だと棍術以外は必要スキルポイント高すぎで碌に覚えられそうにない。


《召喚術。特定の動物などを召喚する術系統

     LV1 鳩呼(コールバード):鳩を呼び出す》


「おっこれいいんじゃねえの?」

『何がだ? ……ああ、召喚術か。この世界ではマイナーな術式だな。あまり使い手は居ない』

「そうなの? 便利そうだけど」

『聖職者でなければ習得できないが、基本的に聖職者というのは聖術さえ上げていれば安泰な暮らしだ。

 追加で覚える余裕があるならば癒やしの術でも習得すれば信者からの人気は絶大になるだろう。戦場に行くのならば攻撃系の法術か、武僧の武術を取る。

 一方で召喚術は上がりにくいし、宗教的に邪道なのではないかという議論も起こっている。鑑定で覚える術を全部見てみろ』

「どれどれ」



《召喚術一覧。

 LV1 鳩呼(コールバード):鳩を呼び出す。

 LV2 蛇呼(コールスネーク):蛇を呼び出す。

 LV3 鳩召喚(サモンバード):鳩を召喚して従える。

 LV4 蛇召喚(サモンスネーク):蛇を召喚して従える。

 LV5 燭火召喚(サモントーチ):火を召喚する。

 LV6 使魔召喚(サモンサーヴァント):何かを触媒に使い魔を召喚する。

 LV7 召喚強化(ブーストエンハンス):召喚したものを強化する。

 LV8 聖獣召喚(サモンビースト):自分に従順な聖獣を召喚する。

 LV9 聖霜召喚(サモンマナ):マナを召喚する。

 LV10 神降(コールゴッド):神を呼び出すが、術者は死ぬ。



『見えたか? つまり、習得難易度が高い癖に序盤では言うことすら聞かない鳩か蛇しか呼び出せない。

 しかも蛇を出すのは悪魔っぽいので印象が悪い。

 更に云うと神を呼び出すのはとんでもない行為だとして秘匿されているし、これまで使われた例では呼び出された神が周囲に災害を齎したので完全に自爆にしかなっていない』

「ははあー」


 自分で設定した術で呼び出されて不機嫌になって周辺ぶっ壊す神様なのか、或いは不敬なやつをあぶり出すトラップなのか。

 どっちにしてもそんな災害起こすような系統だと、覚えた途端に聖職者社会からうしろゆびさされ組になっちまうんだろうな。


『腕の良い聖職者でも専門で術系統一つだけ鍛えて、どうにかレベル8になるかどうか。10にいけば聖人に近いとまで言われる中で、こんな半端な能力しか覚えない上に世間の評価も低い系統は、新興宗派の怪しい教祖ぐらいしか覚えないだろう』

「オーケイ! スキルポイント使用! 召喚術LV1習得!」

『おい』

「オレはいつでもチキンが食いたいんだよ!」

『出て来るのはチキンじゃなくてピジョンだ……そしてマジか食うつもりか』


 ステータスのスキルポイントが0になって、スキル欄に召喚術LV1が加わった。 

 早速オレはスキルを使用してみる。


「カモン! 鳩呼!」


 すると伸ばした手の先に何やら魔法陣っぽいのが生まれたかと思うと、野生の白い鳩がオレの掌に現れた。

 突然のことで鳩も戸惑っているのか、翼を慌てて広げて飛んで逃げようとする。

 鳩呼の術じゃあ呼び出した鳩は野生同然で命令も聞かない。


「確保!」


 オレは即座に鳩を両手で捕まえる。

 そして、


「キュー!ってな」


 なるたけ力を込めて鳩の首を捻った。こきりと軽い音がして鳩が動きを止める。

 

『マジかお前……洗礼の水だけじゃなく、召喚した鳩まで……』

「トリモチで捕まえた鳩は食ってもよくて、召喚した鳩は食ったら駄目って云うのも妙だろ。同じ命。命は平等。全てのものに愛を。オール・ユー・ニード・イズ・ラブ愛こそ全て」

『……私は構わんが、人前でやるなよドン引きされるぞ』

「そうかな。預言者モーゼなんか、ユダヤ人連れて荒野うろついてたとき食糧不足で神様にウズラだかなんだかをデリバリー頼んでたじゃん。あれと同じだと思うけど」


 確か聖書でそんな場面があった気がする。

 出エジプト記だとモーゼについていったユダヤ人たちは、やれ水が足りないのメシが無いのと何度も不平不満を漏らして神の奇跡をねだる。そこで神が遣わせたとして、大量のウズラが飛んできて人々はそれを捕まえて食べたとか。

 考えるにエジプト王の前でモーゼは蛇を出してエジプト魔術師を倒してた話もあるから、この世界だとモーゼは召喚術スキルを使ってたんじゃないか。同じような話が伝わってたらだが。

 それにレベルが上がればマナ召喚もあるしな。マナって確か神がパンを降らせるって言ったやつだろ。ますます自給向けのスキルだ。ちなみにオレが聖書に詳しいのは敬虔な信徒だからだ。アーメン。

 一応オレは鳩に手を合わせて祈る。


「南無阿弥陀仏。来世はブッダになれよ」

『ならんと思うが』


 呆れきったカイムの声を無視して、オレは鳩を捌いて軽く塩を振って焼いて食った。鳥の解体なんてボーイスカウトやってたから余裕さ。





明日から一日一話ずつ更新していきます


キャラクター紹介

田村

アメリカ系奈良県民。自称マッチョでハンサムナイスガイ。

子供の頃から死ぬまでだいたいこんな性格のままだったお調子者。

特技はバスケとジュードー。狩りなども慣れている。順応性が高い。


カイム

中間管理職天使。レッタの予想だと姿は羽の生えたニャンコ。声は渋め。

特技は解説。

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