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奴隷から始まる異世界ライフ  作者: りょーか
1/1

よろしい、ならば転生だ

取り敢えず一話目投稿です


今日中にもう一話あげられたらいいなぁ・・・


自分を一言で表現してみろ。


これはよく採用試験での面接なんかで使われているらしい、そこらにありふれた質問なのだそうだ。


恐らく自分という人間をアピールする際にどれだけ短く簡潔にまとめ、相手により分かりやすく伝えられるかが試されているのだろうが・・・かくいう俺も高校の面接試験対策で面接官役の先生からこの質問を何回かされたことがあった。


しかし聞かれる度によく思ったものだ。



これって、あらかじめ答えを決めておかなきゃ殆どの人が咄嗟に返せないんじゃね?と。


だってそうだろう。


誰も彼もが自分を一言で表現出来ればこんなややこしい世界になっていないと思うんだ。


特に昨今の世の中では「自分元気だけが取り柄っす!」とか言って入社してみたはいいけど、その一ヶ月後には人間関係や勤務内容によって鬱病、酷ければ自殺、なんて事も多々あるご時世である。


故に尚の事偏屈に考えてしまうのだろうか。


兎にも角にも、俺が言いたいのはつまりはそういう事。


結局、ただの一言では自分という本質を伝える事は出来ず、精々が存在をイメージ付ける事しか出来ないのではないか?という事である。


そう、俺以外(・・・)は。


あ、誤解しないでくれ。

確かに俺という存在は一言で表現できる。


出来るのだが・・・決して自慢ってわけじゃないんだ。


むしろその逆。


見た目も育ちも言動もそれら全てがただただ平凡。


むしろ平凡な無個性こそが個性であると言い切れる程に普通(・・)なのが俺こと佐藤 (さとう みのる)なのだ。


それこそこの世に最も無個性な奴が優秀出来る大会があれば不動一位として君臨し続けられる自信があるくらいには。


RPGゲームでいえば村の名前を口にするだけの案内人--よりも劣る、全く出番のない村人Aといったところか。


な?普通、の一言で表現出来ちまうだろ?


と、ここだけ聞けばかなりアレだけど、実際は案外普通っていうのも悪くなかったりする。

俺的には、だけど。


まず、言葉の通り他よりも秀でてる事もなければこれといった欠点がないのだ。


ここだけ聞けばん?だから?と思うかもしれないが地味に欠点がない、というのは凄い事じゃなかろうか?


何せ何をやらせても普通(・・)程度にはできちまうんだから。何々?器用貧乏?知らないねぇそんな言葉。



そんな俺という存在を否定するかのような四字熟語は置いておくとして。

勿論他にも普通で良かったと思える事がある。


それは自分が普通じゃない事に遭遇した時、大袈裟なくらい感動できる点だ。



例えば、非日常的な事が起こった時とか。


普通の人ならばまず混乱するところから始まる事でも俺くらいになれば感動から始まるのだ。


普段の生活にはない、ちょっとした事でも感動できる感性を持てるというのは中々に素敵な事なんじゃないかと俺は思う。


例えば何かの事件に巻き込まれた時だとか。


まぁこれだけじゃ余りに漠然とし過ぎてて上手く伝わりにくいだろうから俺が実際に今現在体験(・・)している事を例に上げるとしよう。


学校の帰り道にたまたま周囲をウロついていたらしい通り魔に襲われ、抵抗する間も無くバッチリ腹にナイフを生やす事になった、とか。



「ふぐッ、まさか俺みたいな普通な奴が通り魔なんていう超レアイベントに遭遇するとは・・・!」


例え「あれ、これ普通にヤバイんじゃね?」という勢いで血がドクドクと流れていても俺くらいになればまず真っ先に感動する事から始まるのだ!


「・・・ってヤベ、バカな事考えてないで助けよば・・・なきゃ」


しかし、あくまでも俺は普通の男、佐藤 実。


内心感動したとはいえ咄嗟に取ろうとする行動は普通なのだ。

何故ならば普通なのが取り柄だから。えっへん。


・・・と、余りにも急な出来事にかなり現実逃避気味な思考をしていた俺だが、急に身体に力が入らなくなり地面へと倒れてしまう。


多分、血を失い過ぎたのだろう。もう痛みもないしね。

本当、バカな事を考えずにサッサと助けを呼べばよかったと後悔するが時すでに遅し。


何となく、助からないんじゃないかな〜これ。と感じた俺はせめて、最後くらいは!と、力が入らず震える指を必死に動かし自らの血で「犯人はヤ」という文字を書く。犯人が誰かなんて本当は全然知らないけど、コレを書いておけばバッチリなような気がしたのだ。


だが後一文字、後一文字で完成する!という所で---ついに力尽きたのか俺の指はピクリとも動かなくなり同時に俺の意識は昏い闇の底へと沈んでいく。


そして俺はこの世界で余りに呆気なく死に---

















異世界へと転生をした。








♢♢♢


「・・・ッつー、アイツら今日も思いっきりやりやがって」


俺はアイツらがいなくなった事を確認すると地面へと滴る血を拭いながらそう愚痴った。


その声は以前(・・)の俺の声よりも数段高く---まるで幼い子供のような声であった。


「まぁまるでというか何というか、実際に四歳児なわけだけど・・・」



ふと思った事に対して自分でツッコミを入れる。

これが世に言うセルフツッコミというやつだ。



そう。


俺は今絶賛四歳児中であった。

何かよく分からない日本語になっているけれど、実際にそうなのだから仕方がない。


俺があの世界で死に、こちらの世界で生まれ変わってからおよそ四年ほどが経っていた。

いや正確にいうならこっちの世界で物心ついてから四年だから実年齢でいえばもうちょっと上かもしれないけど。


ちなみにあの世界、というのは言わずもがな地球の日本である。


ある日いつものように学校から真っ直ぐ家へと帰っていた俺は偶々うろついていたらしい通り魔に襲われ呆気なく死んでしまったのだ。


まぁ自分の死体を直接見たわけでもないから実際のところどうなのかは分からないけど、こうして異世界(・・・)にいる事を考えたらやはり死んでしまったと考えた方が良いだろう。


そう、俺が生まれ変わったのは日本ではなく・・・それどころか地球ですらない異世界だった。多分。


多分、というのは実はこの世界に生まれ変わった俺は物心ついた時から自分の今いるこの部屋から一歩も外へ出た事がなかったりする。

なので本当に違う世界なのか確証がないのだ。


あ、勘違いしないでくれよ?

別に引きこもりってわけじゃないんだ。


ただ事情があって出たくても出られない、というだけだから。


それでもこの世界が地球ではないと予想できるのは単純に俺のいた星にはなかった力があるから。


もしかしたら、俺が死んでしまってから気が遠くなるような時が経ってようやく発見された力なのかもしれないけど、部屋の造りや与えられる食事なんかを見る限り文明レベル的にはむしろ退化している気がするのでその可能性は少ないだろう。


ちなみにその力っていうのは「魔法」の事だ。

そう、アニメやラノベなんかでよく見かけるあの魔法である。


この力の事を知った時には別の何かとも考えたのだが俺自身もある程度使えるし、アイツらもよく「魔法」という言葉を口にして普通に使っているのでまず本物(まほう)と見て間違いないだろう。


とはいえ、俺自身は魔法が使えるといっても自分自身にしか魔力を流せないんだけどね。



いやね?出来れば俺だってこう、ド派手な感じで魔法を使ってみたいさ。


火を出してみたり、風の力で空を飛んでみたりさ。


それこそアニメやラノベのように。

日本にいた頃には誰しもが憧れ思春期真っ盛りな頃は一度でいいから使ってみたいと思うよう力だぜ?そう思ってしまうのも無理はないだろう。


だけど、俺には出来ない。


別に実力不足だとか、魔力が足りないとかいう問題じゃない。


だけど出来ないんだ。


何故なら---俺はこの世界で生まれた時から「奴隷」だから。



この石造りで何とも無骨な薄暗い部屋から一歩も出れないのも、魔法という力があるのに好き放題ぶっ放せないのも全ては奴隷だからだ。



まぁ魔法に関しちゃ奴隷というよりどうやらこの首に付けられている従属の首輪の効果らしいけど。


そう、俺は異世界へと転生した後気が付けば奴隷となっていた。

いや本当に気付けばいつの間にかなっていたのだ。これには実もビックリ仰天。


本来異世界への転生ってもっとこう、心踊るようなもんだと思ってたけど転生して早々に奴隷身分とか中々にキツイ待遇である。


ラノベとかによくいる女神なんかがいたのならば断固として意義を申し立てたい。

もっとこう、色々とお約束を守れやッと。


実際この四年間もかなり大変だったしな。



まぁ女神云々は実際見てもいないし冗談だとしても、これだけは声を大にしてハッキリと言いたい。



---普通だった俺の人生、どこいった、と。








よろしければ評価、ブクマお願いします!



さてはて、主人公は「犯人はヤ」の後何を書こうとしたんですかねぇ(すっとぼけ

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