お題。「ハンドスピナー」「なろう」「祭り」 「乾電池」 「一目惚れ」 「最後は幸せなキス」。ジャンル恋愛。
信じられないことだ。
はじめてのナンパ。
出会ってすぐにホテル。
こんなこともあるんだなぁと感動(入り交じる不安)しつつベッドに目を移した。
彼女はベッドの上に座り裸で夏《祭り》で下から三番目の当たりの《ハンドスピナー(事実上の大当たり。プレステやswitchは展示品で当たりやしないことをYouTubeで知った)》をクルクル回していた。
その非現実的な光景……というか恥ずかしながら組んだ脚からチラチラと見える女体の神秘の象徴である聖なる穴に僕の股間の《乾電池》は単4から単1に変貌を遂げた。
彼女は僕の異変に気づくとハンドスピナーの代わりと言わんばかりに僕のものを爪先でつまみ、弾いた。
僕の知らない痛みと快感の同居。
情けないことに僕はたったそれだけで果てた。
彼女と何度か体を重ねた後に僕は無粋なことを訊ねた。
「なんで僕についてきてくれたの?」
「《一目惚れ》よ」
《嘘だよ》と僕が言う前にそ彼女はピュアな童貞なら泣いて逃げ出すような激しいキスをしてきた。
口内の至るところを舌で責められ僕は《幸せだ》と思ってしまった。
潜在的なMが今解放されたのだ。
翌朝財布から現金五万円とカードが無くなっていた。
薬局のポイントカードと病院の診察券と免許証とマイナンバーカードは無事だった。
彼女はいない。
頭が少し痛い。
一杯盛られた。
「セーフ」
テーブルの上に15000円が置かれている。
重石はハンドスピナー。
次からはもっと慎重に《なろう》
僕はホテルを出て始発で寮に帰った。