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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

バトルディシプリン岡島

作者: 田中ステルベン

誰やお前

「うんこぶりぶり」

バトルディシプリン岡島がそう言い放った瞬間、彼の足元から半径300メートル圏内が爆発炎上した。爆発の直前まで彼に小銃を向けて投降を促していた男たちは無残に吹き飛ばされてしまった。


「なんてことだ。全滅だ」


監視員から報告を受けたブチョルチンは落胆した。彼はCIAで働く職員で、今は岡島監視センターのリーダーを任されている。


「構わん俺が直接やつのところに行く。ヘリを回してくれ」

ブチョルチンは我慢の限界だった。長年岡島の動向を監視し、チャンスを見出しては特殊部隊の人間を送り込んでいたが、いつも寸前でやられてしまう。今回は岡島が投降の素振りを見せたので確保を指示したのだが、それが失敗だった。奴はとうとう自爆攻撃を行った。しかし、まだ生きている。


「バカ言わないでくださいよボス、まだチーム2019なら即時展開可能だ」

「どうせそいつらもすぐに炭化する。もう俺しかいない。俺にしかあいつは倒せない」

しかしボス、と歩み寄る部下を突き飛ばし、ブチョルチンは言う。


「俺を誰だと思ってる。10禁やぞ」


*


2019年9月24日。ブチョルチンはアフガニスタンに降り立ち、岡島隔離作戦を開始した。

バトルディシプリン岡島は特異な能力を持つ人でなし、すなわち亜人であるので、早急に確保し、隔離することで外界から断絶する必要がある。

ポケットがたくさんついた防弾ベストを身に着け、M4A1カービンとグロック拳銃で武装したブチョルチンは、早速現状を監視センターに報告した。

「こちらブリッチョ1、ヤツの庭に潜入した。報告の通り、あたり一面は焼け野原だ。人が住めるような状態じゃない」

「了解だブリッチョ1。ターゲットを捕捉次第確保


うんこもれた ぶりぶりぶりぶり

どうしたブリッチョ1、応答しろ 応答ーーーーー


「こんちわ!」


ブチョルチンには何が起こったのか分からなかった。とにかく自分が何故か地面に突っ伏していることは理解したので、立ち上がろうと手を地面についてみる。しかし、力がうまく入らない。


「こんちわ!」


声がする。朦朧とする意識の中で、なんとかその声の方向に顔を持ち上げようとするのだが、やはり力が入らない。


「誰やお前」


また同じ声が、ブチョルチンには聞こえた。ブチョルチンは震えた。こいつはまさか。


「俺の庭に入ってきて無事で済むと思うなよ。手始めにお前の排泄物を頂戴する」


ブチョルチンは確信した。この、わけのわからない言葉で呼びかけてくる声の主こそが、自らが長年追ってきたターゲットであると。つまり、


「俺はバトルディシプリン岡島。聞いとんのか、お前のうんこは俺のもんや」


ようやく体に力が入った。岡島が放った銃弾をブチョルチンは間一髪横に転がってかわし、そしてそのまま起き上がる。まだ目は霞んでいるが、なんとか人の像を5メートル先に捉える事ができた。こいつが岡島、俺の宿敵。


「やるやん、でも次は外さないぜぇ」

「やってみろクソ野郎」


ブチョルチンは弾倉一本分の弾をバラまきながら後退し始めたが直後におしっこが漏れた。これでは恥ずかしくて人前に出れない。ミッション失敗です


「どうや、俺のおしっこ召喚術は。これは相手の小便を座標MP19から呼び出すことで尿意を麻痺させ、そしてそのまま垂れ流させるというものだ。ブチョルチン、貴様はもう自分の意思でおしっこができない」


ブチョルチンは絶望した。自分の意思とは関係なく垂れ続ける小便が、履いているコンバットパンツを濡らしていく。気持ち悪すぎて吐き気もしてきた。

しかしそれでも自分の目前にある標的を捕らえなければならない。ブチョルチンは弾倉を撃ち尽くしてしまった小銃をスリングで身体の左側面に放り、それと入れ替わるように右手で拳銃を引き抜いた。

引き金を連続で絞る。2発、3発と岡島の胴体へ向かって撃つのだが、直後岡島が瞬間移動を行いブチョルチンの背後を取り、カンチョウを行うまでわずか3秒だった。ミッション失敗です


「終わりだ、ブチョルチン。俺は今、お前の肛門を制圧した。わかるか、肛門だ。ヒトは毎日食事と排泄を行うが、うち後者がもうお前の意思でできなくなる。お前の肛門はもう俺のだ」

岡島はそう言い放つ。黒いバラクラバで顔面を覆った彼からは表情こそ読み取れないが、その声はとても楽しそうだった。こちらはうんちとおしっこを支配されて笑い事ではないというのに。


「触るな、くそ。どこ挿しとんじゃぼけ」

ブチョルチンは痛みをこらえながら必死で声を絞り、岡島を罵倒する。カンチョウの衝撃で拳銃は取り落としてしまっていた。


「肛門開放。座標MP9より排泄物うんこを召喚する。放て」

岡島がそう唱えると、たちまちブチョルチンのおしりからぶりぶりぶりぶり マザファカ


「やばいやん なにしてくれとんねん」

ブチョルチンはもううんこを一年分くらい漏らしていた。その量は大変なもので、その自らの肛門から発生したうんこタワーによって、自身は地面から10メートル程上空に突き上げられていた。大体マンションでいうと3階くらいの高さに相当する。


「最後の仕上げだ。お前は今から自分の心臓を口から排泄する。口からな」

岡島はうんこタワーに突き上げられたブチョルチンを地面から見上げつつ、宣告した。


「何を言ってる…!?心臓は排泄物じゃない、頭がおかしいのか」

「俺は至って正気さ、ブチョルチン。いいか、身体から出てくればそれはもう全部排泄物なんだよ。どんな豪華な食事でも、吐いちまえばもう排泄物でしかないのさ」


岡島は足元にある、ブチョルチンが落としたグロックを拾い上げた。そして見てろ、と言うなりスライドを引っ張り、弾薬をひとつ排出してみせた。


「今こいつから出てきたちっこい弾は、いうなればこの銃の排泄物だ。吐き出された"これ"がまだ機能を失っていなくても、"これ"を"これ"たらしめる何かから出てきちまった瞬間、そいつはもう排泄物になっちまうのさ」

岡島は拳銃からマガジンを引き抜いて、先程抜き出した弾薬を再び装填した。


「教えてくれ岡島、何がお前をそうしたんだ。お前、昔はそんなんじゃなかったろう。MITでMP6を一緒に研究してた時は、こんなクソ好きのクソ野郎なんかじゃあ、決してなかっただろうが!」

ブチョルチンは叫ぶ。かつて研究仲間であり、そして唯一の親友だった岡島へ問いかける。


「いいさ。最後に教えてやろう。俺を変えた、MP6突撃銃についてな」

岡島は続ける。

「MP6突撃銃は、日本の文化だった。MITにいた頃、俺は初めて日本に行った。そこで見たのがMP6だ。全国各地に職人がいて、それを手作りしている。国民は皆この小銃を扱う特殊な訓練を義務教育課程で受けていて、誰もが使い方を熟知している。そんな小銃だ。飯を食うときもトイレに行くときも寝るときも、みんないつもMP6突撃銃を抱いて寝るのさ。そしてその薬室の中にはうんこが詰まってる」


ブチョルチンは苦しかった。ケツがいたい。しかしそれでも、岡島の話を聞こうとした。これだけは聞いておかなければならないのだ。


「他国にはない異端な小銃さ。うんこもそうだし、銃身は遠心力を利用しているし、近距離戦闘では触手で相手を捉えることが出来る。まさしく最強の小銃なので俺はこいつを自作し、YouTubeにレビュー動画を投稿したが高評価はたったの3、低評価は780もついた。俺はもう我慢の限界だお前を殺す」


「やめろ岡島、俺が悪かった!頼む、せめて最後まで話をー」

「うんこぶりぶり」


岡島がそう言い放った瞬間、地球が赤道に沿って分割された。そして宇宙へと放たれたブチョルチンの心臓と岡島の心臓が融合し、次世代電動ガンG36Kへと進化。太陽と交戦を開始した。

「レイダー1、目標確認。これより排除する。」

ウィポポポポポポポオギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアバリバリバリバリバリ

ギアクラッシュですお疲れ様でした さいなら

読むな

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― 新着の感想 ―
[良い点] MP6突撃銃が伝統的工芸品 +99 しかし、いかなるドライバーも遠心力に逆らうことはできない [気になる点] 二酸化炭素は本当にゴミなのか? 速さは足りなかったかもしれない? [一言…
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