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僕、サイボーグなんだ  作者: 吉原マサシ
1/5

プロローグ

あまり上手に書けているのか分かりませんが、楽しく読んでいただけると幸いです。

「さあ、行くぞ!」

「ちょ、ちょっと待ってよ!進お兄ちゃん!」

「もう、進!守を待ってあげなよ!」

仲の良い三つ子の兄弟がいた。

姉の名前は片岡ヒカリ。兄の名前は進。そして、弟の名前は守。

しっかり者の姉、やんちゃな兄と、泣き虫の弟。

「ねえ、待ってってば!」

「ここまでおいで!」

「二人とも!ゆっくり行かないと危ないわよ!」

遊ぶときはもちろん、トイレに行くとき、寝るとき、お風呂に入る時、三人はどこに行くときもいつも一緒だった。

「進!危ない!」

「進お兄ちゃん!」

「えっ?」


ドンッ!!!


キキキー!!!!ドーーーーン!!!


この事故がきっかけで三人の運命の歯車が狂い始めていくことになる。


「いたたた……危ないな、もう。助かったよ、守」

「守!しっかりして!ねえ、目を開けて!守!」

「姉さん、守がどうしたの?」

守はぐったりとして、ピクリとも動かない。

「あれ……守?守……大丈夫か!守!」

大型トラックの存在に気付かなかった進をかばって、守は進を押しのけてトラックにはねられた。

「返事をしてくれ!まもるーーー!」

何度も、何度も声をかけても返事をしない守。


ピーポーピーポー


ざわざわざわ……

誰かが呼んだ救急車のサイレンと、それをただ傍観している野次馬の声があたり一帯を騒音に変える。

「守を……守を助けてください!」

「お願いします!」

救急車で運ばれていく守と、それを見守る進。


そして……

危険な状態だった守は、なんとか一命を取りとめたが、そう長くは生きられないと医者に告げられた。

「先生、なんとかならないのですか?」

「最善は尽くしましたが……もう……」

「弟を助けてください!弟が助かるなら、なんでもします!」

「……。それでしたら……一つだけ救える方法があります」

医者は兄である進に四肢と臓器の提供を求めた。

そうすることで、守が以前と変わらぬ生活を送れる可能性があるのだという。

だが、成功する可能性は限りなく低く、例え手術が成功しても10年と生きられることができるかどうか分からないらしい。

そして、その代償も大きく、臓器を提供した進の命も危険にさらすことになるという。

「進、私がやるわ!」

「ありがとう、姉さん。だけど、僕がするよ。僕がやらなくちゃダメなんだ!」

「進……」

「先生、僕はどうなっても構いません!すぐに始めてください!」

寸分の迷いもなくの進の答えは返ってきた。

「絶対に成功させてみる!任せてくれ!」

医者は進の強い意思に心を惹かれ、力強く返事をした。

この人ならきっとなんとかしてくれる。この時、ヒカリと進は医者を信じようと思った。

「さあ、行こうか!」

「はい!」

「ファイトです!」

医者と進は力強くこぶしを握って応えてみせた。

ヒカリは手術室へと赴く進と医者の心強い姿を見て、全てが上手くいくようにただ願っていた。


そして……

手術が始まってから十時間が経過した。

手術中のランプが消え、

「もう、大丈夫ですよ。手術は成功しました」

手術室から出てきた医者は、額にかいた汗を軽くぬぐいながら、笑顔を作ってそう言い、

「これからお姉さんにお話ししなければならないことがあります」

と、神妙な顔つきで言ってきた。

「守君の方は、進君のおかげでもう大丈夫でしょう。ですが、進君の方は…日常の生活では支障はありませんが、もう以前のようには戻れないでしょう」

「そうですか…」

肩を落とすヒカリ。

「本題に入りますが、これから話すことは二人には…特に、守君には言わないと約束できますか?」

「よくわかりませんが、約束を守ると誓います」

「分かりました。気をしっかり持って聞いてください。実は…」


手術が成功してから一年の月日が流れた。そこには、リハビリを終え元気に草原を駆け回る二人と、見守るヒカリの姿があった。

だが、三人は知ることになる。これから先の二人の未来が決して長くはないことを。

三人は知ることになる。これから先の未来が二人の仲を狂わせることを。

この時、三つ子の新しい物語が始まった。

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