086 魔女の過去(2)
予想はしていましたけど、ブックマーク件数が下がりましたね。
分かってはいましたけど結構ショックでしたね。
二度と目覚めると思ってなかった私は、目が覚めて自分の状況を確認した時、愕然とした。
幾ら殺してやると思っていたとはいえ、それは最後の時まで屈しないでいようと言うあがきの様な物であった。残念な事に自分が生き残るとは、少しも思えなかったからである。
そして、私はそう思う事になった最大の理由は、自分が【魔人】となった事にある。そして、自分のスキルを確認したときに私は、更なる絶望を覚えた。
私がこの状態になった事によって手に入れたスキルは、〈再生〉〈魔力吸収〉〈痛覚麻痺〉の三つ。
私は〈再生〉により細胞の一片でも残っていれば、死な無く…………いや、死ね無くなった。しかも再生に使われる魔力は、〈魔力吸収〉によって、自動的に辺りから集められる為に、〈再生〉が出来ないと言う状況にはならないだろう。
ついさっきまで襲われた者にとっては、普通ならこの事は、悪意のある者にこの事が知られたら、先ほどの事の様な事を永遠とされてしまうのではないかと思うかも知れないが、この様な感情は〈永遠を望んだ復讐鬼〉…………【魔人】化系の称号をいや、もっと言ってしまえば、称号を持ってるものは、その称号が示している様な人物、人格に変化して行くと言う副作用の様な物がある。
この事は、この世界では意外と知られていないと思う。だってそうだろう?もともとそう言う人物が手に入れるべくして、手に入れるのが称号なのだから。
私の様な事故としか言えないような状況で、こんな強力な称号を手に入れた者がどれだけいる?そして、称号、スキルを比較的簡単に手に入れる事が出来ると言われている召喚者もどれだけいる?
こんな例外は、ほとんどいないだろう。
いや、もしかしたら例外にしか起こらない現象かもしれないが、その例外が力を使い易くする為に…………もしくは、その例外が称号を与える者達にとって、都合のいいように動く様にされているのかも知れないが………
まあ、この事から私は、恐怖と言う感情を殆ど感じない様になっていた。
私は一週間かけて、街の死体を供養しきった。その時、気が付いたのは疲労や時間の感覚にも麻痺がある事だ。この事はみんなの供養を予想以上に早く終わりに出来たからよかった。
……………食事は、危惧していた事にはならなかったのは、良かった。
供養する為の遺体を探している時に食糧庫が無事であった事が分かり、臭いを嗅いだ感じでは、問題はなさそうであったので、意を決して食べてみたらちゃんと美味しかった。その時、不意に涙が出た。自分の食事は【人食鬼】名前通り人を食べなくてはいけないと思っていたので、それが食べられた時、私は化け物にならなくて済むと思った。
街の残骸の中から旅に使えそうなものを探した。
【魔人】達の目的は人間を殺す事だったからしく、意外と物は壊されていない。
逃げる者達は〈魔力探知〉によって簡単に見付けられたのだろう。
【魔人】となりその手の感知系の能力はかなり高いレベルになっているので、その事は容易に想像がついた。
私の魔法適正は、多くの属性があったがそれを極める為の深度が無かったので諦めていたが、【魔人】となる事によってそれも改善されていた。
そして攻撃用の魔法が使える様になった所で、街を出た。
その後私は、帝国にある迷宮で取りあえず力を付けようと思って、探索者になった。
冒険者では無く探索者を選んだのは、小難しい事を考えずに唯、魔物を殺していればいいので、冒険者よりも楽に感じたからだ。それに、私はさっさと一定の力をつけたかったからでもある。そして最大の理由は、地上よりも空気中に存在する魔力が多いから、〈再生〉を使う時及び、魔法を使って戦う私にとっては、これ以上闘いやすい場所は無いからだ。
この時の人間関係は上手く行かなかった。
自分の戦闘で特に〈再生〉を使う所なんて見られるわけにはいかないので、ずっとソロで潜っていた。
当然ミスで死にかける様なときもあるが、私は死ぬことは無い。
魔物が私の事を食べようとした時や苗床にしようとした時は、体に刻んでおいた〈自爆〉の魔法を使って如何にかした。迷宮なら私は〈自爆〉で粉々になっても半日くらいで再生する。
ある時はそれを一か月以上ぶっ通しでやったりとする事を五年続けた。
魔法使いがソロで潜っているのに死なない事と私の見た目が変わらない事から〈不死の魔女〉なんて呼ばれ出した時には、びくりとした。
この時の私のランクはA-級。潜り始めた初期と身体能力はたいして変わってなく、魔法でずっと魔物を殺していたので魔力しか、あがって無い様な感じがする。
まあ、身体能力は魔力使えばあがるし、リミッターを外すなんて事をすれば如何にかなったので、そこまで気にしていなかった。
魔法だけで見ればランクをもう一個、二個位ならあがるくらいに強くなった。
しかし、その時私は一定の力をつけると言う目的を果たすのと同時に、限界も感じていた。
限界を感じたからこそ、私は禁術に手を出したんだろうね…………
それは基本的に厳重に保管されている。しかし、その研究はどこの国でも行われている。
私は、世界中の国を回った。
基本的に国力に禁術の研究は、比例していると言えるが戦争が多い国は、その例外と言えるだろう。
もちろん警備もそれなりに厳重ではあるが、大国ほどでは無い。
そんな危険な国を中心に回った。
極稀に主戦力級の戦士が警備をしている事があり、それらに見つかった時は死にかける事が多かった。と言っても死ぬ事は出来ないから、捕まると言うのが私にとっての最悪であるので、体に刻んだ魔法は全て逃亡用にしておいた。確実に死んだと思わせる場所に落ちるのが、追っ手を撒く常套手段になっていた。
五十年間に亘って国が秘匿している禁術を盗み続けて、満足できるまで集めた。
それらを比較して、自分なりの物を作り出すために、人が少ない場所で実験を重ねて行った。
様々な国で指名手配されながら、世界中を回り続けた。
その時聖国のスラムは、人体実験をする為にわざと人が集まる様にしていると言う噂を聞いた。
来て確認してみたが、それは事実だったし、ある程度の逃げる手段が有れば、人が居なくなっても誰も気にしないここは禁術の実験をするには丁度いいとも言えた。
そこで、アイツに会ったんだよね。
今代の【勇者】輝崎 勇希。
何故、【勇者】が禁術に手を出したのかは、その時は分からなかったけど話を聞いてみれば、案外扱い易そうな奴だと思った。
こいつを利用すれば、私の禁術の研究に役立つと思った。
その予想は正しかった。
意外と必要とあれば、自分の恋人を殺せるとは思わなかった。
その様な事をほのめかしては見たが、私はこの腑抜けではそんな事は出来ないであろうと思って、只の雑談のネタとして使ったとしか思っていなかった。
それを言った二日後。
勇希はここを訪れた。
いつもよりも間隔が短いなと思って、対応したがその時の一言目が。
‘これで、作れるか?’
だった。〈アイテムボックス〉から四人の女の首を取り出して聞いてきた。
その時の私の表情は、過去ないレベルの笑みを浮かべていたであろう。
ああ、こいつなら私の復讐に利用できる。
長らく、禁術の研究の為に多少は、薄れていた復讐心が湧き上って来た。
そして私は、こいつなら気を許していいのかも知れないな……………こいつの単純な思考は、ここまで来ると可愛さも感じるし、利害関係だけでつながっている関係は、意外と心地よかった。
はは、私は意外とアイツの事を気に入っている様だな、今のこの時間は悪くない。
自分の過去を一通りと思いだした所でこう思った。
次の更新は8/9(土)の00:00です。
毎日更新出来るかな~なんて思っていましたけど無理そうですね…………
ありがとうございました




