078 集落で訓練をつける
久しぶりに訓練を付けてくれと言われたので軽く実践形式の訓練をしたのだが……
「ああ、頭痛い……」
何て言いながら全員を倒すのはどうなんだろうね。
と言っても魔法で戦う事が基本なので〈平速思考〉で痛みを思考の外に追いやってから戦えばそう言った事は無視できるが、一応手甲と脚甲も装備して接近をする者には接近戦をして魔法を使う者には魔法で戦っていたので本当に真っ向から圧倒したと言う事だ。
………最近こう言う事も人間離れしてきたなぁ、と思うが気にしたら負けだと俺は思っている。だって最初からそんなもんだもんね。
「…………ここまで手も足も出ないとは」
疲労から多少は回復したアルが話かけて来る。
……俺の持っていたよりも実力が付いている様だ。もちろん俺は訓練効率を上昇せる〈鬼畜な鬼教官〉も使っているのにこの回復の速さは驚愕にあたいする。こいつが一番能力の上昇が高いな。と言っても皆、連携や戦闘の技能の向上には目を見張るものがあるな。
「強くはなっていると思うぞ。連携もうまいし技量も上がっている。一国家の近衛騎士団くらいの実力はあるだろ」
嘘偽りの無い俺の本音だ。子供たちの事は分からんがここのいる者達は最低でもC級相当のランクはあるだろう。それと、
「………お前らもやるのか?」
俺達を見ている孤人達に話し掛ける。何やら俺達が訓練しているところを見ていたから、そう話しかけたのだが。
ぶんぶん。
すごい勢いで頭をしかも尻尾まで横に振るう。
何でだろう?リルやレティシア達なら喜んで参加すると思ったのだけど……
と言うか孤人族は否定の時に尻尾まで振るのかリルは基本的に尻尾は小さいし隠している事が多いから他がどうかは………
あ、部屋割りの時にそう言えば尻尾を振っていた者もいる事はいたか。
「何故?」
そう呟くと。アルが話かけて来る。
「この訓練をついて来れる者はそうはいないかと………
俺達にしても慣れているからでして……そこまで本格的に訓練をしていない者達がこれをやるのは無理ではないかと」
「そうかな、リル達なら喜びそうだけど」
「………彼女たちは例外だと思いますよ。おの二人は生まれながらに強者ですから己を高める事が喜びの様な人種なのでは?昔その様な者の事を族長から聞いた事があります」
「族長?ここのか?」
「いえ、自分の所のです」
「…………すまない。昔の事を思い出させたか?」
軽率だったな。ここのじゃ無い事を考えれば簡単に分かる事じゃないか……
「いえ、その族長は生きているので………あ、そうです。
颯様は刀を持って笑いながら戦う長髪の男をご存じなのでしょうか?
動きに似たような雰囲気を感じたので」
どういう事だ?その特徴に合致するのは一人知ってはいるが……
さまか……もとは亜人たちの集落を襲っている様な事を言ってはいたがまさか………
「ある貴族の屋敷を護衛していた時の奴に会った事がある。
そしてその時に闘ったのだがあいつの接近戦の技能は俺の会った事のある者達の中でもっとも技術が高かったので動きの根幹を盗んだんだよ」
しかし鋭いな。俺は今徒手拳術しか使っていないのに良く分かったな。
まあ、恨みのある相手だったから分かったのかもしれないが。
「そいつは今どこにいるか分かりますか………」
殺しちゃったけど大丈夫かな。そう言う相手は自分で殺したいと思うものだろうし……
「そいつなら俺と戦って死んだ」
短く伝える。
「………あれを倒す事が出来たのですか」
あれ?なんか思っていた反応と違う。
自分で倒したいと言う念を感じるがそれよりもそれを倒せたことに対する尊敬の念の方が大きい。
こう言う事は聞かない方がいいのだけど。知りたいな、こいつの今の感情を………
「余りこう言う事は聞かない方がいいにかも知れないが、聞かせてくれ。
自分で殺したかったのではないのか?」
「いえ、俺はあいつに対してはそこまで恨みを抱いてはいません」
「え?だって自分の身内とか殺されたりしたんじゃないのか?」
俺は呆気にとられてポカンとした表情になってしまう。
「それについてはもう折り合いをつけています。
俺がアイツに抱いている感情はあいつに勝ちたいと言うものです。
俺はアイツに無残に負けていますから」
ん~、この世界では肉親とはあまり重視されないのだろうか?
……でもまだこっちの世界であまり家族を見て来てはいないな。
知っているのはリルの家族くらいのものか。
こっちの世界に心理学の様な物は無かったし、それに歴史書は出鱈目なのか本当なのか魔法と言う要素があるせいで判断がとてもし難い。向こうに世界ではおかしいと一蹴に出来るのにこちらの世界でと検証が必要になるししかもそれがどこまで持っているか検討のしようが俺にはないし………
ん~、人に聞くのもあれだしな……
今考えても仕方ないな。
「そうか」
「俺としては超えたかった壁でしたけど。今は颯様に仕える事と子供たちの面倒を見る方が俺の中では大切です」
「そ、そうか」
「こ、この話はやめにしましょう」
アルもこんな事を言うのは多少恥ずかしいらしい。と言うか俺も使える事が大切何て事をこんな直球に言われるのは俺に恥ずかしいね。いや子供たちのついでかな?
「次は〈魔人化〉ありでつきあって下さい」
ほう、〈魔人化〉ありなら手加減状態の俺と最低限やれると言う事か。
でもそう言えばアルは皆との訓練の時は使っていないな、何でなんだろう?
「じゃあ…………まだ動けそうに何から」
今だに倒れている者達に重力魔法で軽量化して無属性の操作を使用して訓練に使用いていた広場のすみに運ぶ。
ちなみに重力魔法をかけているのは操作で使用する魔力量を減らす為と地面に置くときに衝撃を軽減するが格段に楽だからだ。
それと本人はこんな事を思っているが普通の奴は二種類の魔法を同時に使う事は出来ないのでそんな事を知ることも出来ない。
この世界では魔法は最低限の物理法則をむしる事は出来ないが物理は発達していない。
まあ、それでどちらが低コストか分かったとしても二種類以上の一定以上の魔法適性を持つものはまれである為にそれが有効であると広まることも無いだろう。それに出力や調整が出来なのならもっと魔力使うがこの世界では常識だからだ。
この後、彼が魔石を使って魔法陣の一時保存利用して遅延詠唱の様な事によって魔法を掛け合ませる事を比較的簡単に出来る様にするのは少し後の話。
本当に学者になればいいのにね。なんか最近彼がこういった事でお金持ちになって孤児院の様なものを作って行った方が世の為になる気がするよ………
あんまり表に立って動くと凄まじい騒動しか起こる気しかしない。
今日から三週間は大学のテスト直前の為、更新量を少なくします。
今までは最低3話は投稿するのを目標にしてましたがこの期間は1話の投稿にします。
あとこの期間中に出来るだけ誤字のチェックをします。
ありがとうございました




