059 日常風景 リル・レティシア⑴
お兄ちゃんが朝、部屋に来て三日間自由にしていいと言われたんだけどいざ、一人で何かをしようとか、いまいち思い浮かばない。
「ねえ、レティはどうするの」
あの落ち込んでいた時以来一緒の部屋にしてもらった今や親友と言えるくらいに仲の良くなった女の子に話し掛ける。
「ん?そうだな。私は………街にでも行こうかな。よかったら一緒に行かないか?」
あ、それでいいかな。せっかくお小遣い貰った事だし。
「うん。それにする」
「それじゃあ、食堂に行こうか。そろそろ子供達も食べ終わったころだろうし
私達も子供だと思うのだけどレティはお兄ちゃんが関わらないと大人に見えるよね。
まあ、関わるとすごく子供と言うか女の子らしくてかわいいけど。
それと二人が子供たちと時間をずらしているのは二人は強く、颯とよく一緒に居るのでその所為で近寄り難く感じられていてそれを本人も自覚している為だ。
「あ、おはようミーリャ」
「お疲れ様です」
「リル様、レティシア様。おはようございます」
何時も食堂に居てもうここにいるのがデフォルト化して来ている黒髪を肩の所でバッサリと切りそろえたいつも無表情だけどどこか、温かみのある印象を受ける少女に挨拶をする。
「ミーリャ、敬語はいいと言ったはずだが?」
「これは癖なので。レティシア様こそ私に敬語は不要と言ったはずですが?」
「こちらも癖だ………」
あらら二人共なんで会うたびに、こんな意味の無い言い合いをするの?
話が進まないから止めて欲しいのだけど………まあ、二人からしたら挨拶の様なものなのかな?
「これくらいでいいだろう」
「そうですね」
「………待ってるこっちの身にもなってほしんだけど」
何時も大体このやり取りに数分間は時間が潰れる。どうにかならないのかな、この二人。
「す、すまない」
「すみません」
「………まあ、いいや。ミーリャこれから二人で出掛けようと思っているんだけど、一緒に来ない?」
「いえ。すいませんがお断りさせてもらいます。
私はもう予定があるので」
「そう残念」
本当に残念だね、少しお兄ちゃんに近づきすぎなんじゃない?って釘を刺そうと思ったのに本当に残念。
「予定があるのなら仕方ないな。
では、すまないがミーリャ朝食を用意してくれないか?」
「はい、少々お待ちを」
今日の朝食和食って言う種類の料理でお兄ちゃんがここに来てから作り始めた物で今まで食べた事の無かったけど、食べてみたらすごっくはまった。味が凄く繊細で食べやすい。味噌汁と煮物って言うのが美味しくてお気に入り。
レティの故郷ではこれが基本だったみたい羨ましい。
今日もここのごはんは美味しかった。
「ところでレティ街に行くって言ったけど何所に行くか決めてるの?」
「………リルまさかと思うがそれを分からずに誘っていたのか?」
「自分で行きたい事は決めてたよ………」
ははは、そんな無責任な誘い方はしないよ………
「…………私が今日行こうと思っていたのは、颯様に何か贈り物をしようと思ってな。
それの関連の店を回ろうと思っていた、どうだ?」
「うん、いいよ」
確かに今まで贈り物とかした事が無いね。
今まで一緒に居てそれに気が付かないなんて…………
「どうした?急に落ち込んで」
「………何でもない。さあ、行こ!!」
「ちょ、押すな」
私は強引にレティを引っ張って会話を打ち切る。
え~い、こうなったらレティよりもいいものを見つけてお兄ちゃんを喜ばせてあげるんだ。
颯が見たなら勝負じゃないと思うがと言って苦笑しそうな光景だ。
その後いろいろな店を回った。
意外とレティは趣味が悪いと思う。選んでくるものが大体黒なんだもん。
お兄ちゃんも黒が多いけど髪と肌は白いんだからもっと明るい色が似合うよ、そう言ったら。
「それは女性の場合だ。颯様がいくら女性の様に見えても男性なんだぞ。
男性なら威厳の出て、どっしりと構えた雰囲気の出る黒にするべきだ」
「そんな事無いよ。だったらなんでこの国の王様や市長さんなんかは白を基調にして赤とか金色かとで装飾してあるの?そっちの方が威厳も出るよ」
「それは違うぞ、それらの者達はそういかにもと言う格好をしないと威厳が出せないからそうしているだけだ。颯様にそんなものは関係ない」
「て言うか。レティは自分と同じ色にしてペアルックにでもしたいだけなんじゃないの?」
「それを言ったらそっちもじゃないか…………
と言う具合に終わりの見えない不毛な言い合いが続いた。
これはちょっと人に特にお兄ちゃんには見せられないね。
お互いに言い合っている時に人が集まって来て、その視線に耐え切れなくなって言い合いをやめた感じだし…………
ちなみに私は蒼い石の付いた白いネックレス、レティは黒い髪留めを買った。
両方とも男性に贈る者としてはどうかと思うが……………似合いそうだらかいいって事?
その後にはまた気を取り直して店を回っていた時、レティが黒い耳飾りを見て顔を赤らめていたのでその時の唇を読んだら‘いつか颯様にこれを贈って貰いたい’だった。
おそらく、婚約の時を渡す物は種族によって違うのだろう。
お兄ちゃんがうっかり渡さない様にしっかり見張っとかないと。
ちなみにこの世界で婚約の時に渡すものは、人間は指輪か腕輪もしくは教会でお互いの名前を古代文字(漢字ではない別の古代文字で)で体に刻む事これはほぼ王族貴族のみとなる、強力な個体の多い妖精族・魔族・龍人族は耳飾りとなっていて、そしてリルが一番外見に出ている銀狼族と言ったイヌ科やネコ科は首輪が多い。
おそらく首輪は間違って渡すことは向こうの文化的に考えて有り得無いだろう。
更に言うとそしてこれの関連の事はすでに調べてあり、間違えて渡すことは無いだろう。間違って渡すのは以外とテンプレ化しているので俺はそんな轍は踏むまいと思っているからだ。
重力魔法を刻印してある腕輪をレティシアにだけ渡してリルには渡していないが証拠だろう。
と言うかリルは特に多いので気を使っている。そこまで神経質になる必要も無いと思うが…………
この後は簡単にお茶をしてもう暗くなって来たので邸に戻った




