054 暗殺………では無いねもう
ははは、何あれ。あの面白そうな奴、無詠唱?
ははは、つえ~。瞬殺だよ。あの自身満々だった男たちそれなりに強い奴だと思ったんだけどな。
あ~、腹いてえ。っ、
笑っていると電撃が飛んで来た。抜刀して斬り落す。
おいおい気付かれたよ。あそこから相当距離あるぞ、ははは、面白い面白いな~
線の細い糸目の美貌の男は楽しそうに笑っていた。
ああ、楽しみだ。
…………良く反応したな。魔力で打っている分予知出来るんだよな。て言うか最初の奴らもやってたけどそれでも雷を斬るとかどうなんだろうな。
俺は呆れながら次の手を考えていた。
…………撃ち込みまくってみるか。
自分の周りに数十個ほどの雷球を作り出して打ち込んだ。
ちっ、避けるな~先読み系のスキルを持っているのは確定か。こいつは身体能力と戦闘技術でAランク相当と言う事か。厄介だな。
この称号だけで大丈夫だろうか?…………無理だろうけどまあやれる所までやって見ようかな。
アイテムボックスから短めの剣を二本取り出す。これは俺が作った剣で右の手の剣は爆裂系の魔法を左の剣は光属性のレーザーの魔法の魔法陣を保存してある。こいつらは新しい試作品で右手の爆裂は火と風属性の複合魔法で複合魔法も使えるか、左手の光は自分に無い属性も〈付加〉出来るかどうかの実験だ。まあたぶん行けるだろうと思っている。光属性は単純攻撃用でただのエネルギーの塊だし。
なお、どうでもいい事だがこれの名は懺裂に陽光名前は付けると自動的に世界から加護がえられるから付けただけだ。誰かに教える気はないから少々イタイ名前を付けてみたらかなり強い加護を得られた。
クノに聞いたのだがそう言ったイタイ名前を着ける事で成功すればただの鉄の剣でさえ魔剣や聖剣に匹敵するレベルになるらしい。なお名をつけるには功績がいる。
俺に作ると【魔王】製と言う事でそれだけで相当の功績となる様だ。
それを言いながら笑いをこらえている姿を見ていて少々イラッとして〈死者の行進〉と〈魔力分解〉を使って攻撃してやったら本気の反撃があって死ぬかと思った。クノ本気の反撃は無いだろ…………
その後に言われた‘それは神や精霊と言った魔魂体(魂、魔力と信仰やその他だけで出来ており、物質的な体を持たない存在)には致命的なんだからよしてよね’と言う事は印象に残った。
つまり俺は神殺しがリアルに出来るらしい。まあしないけど。
さてと、武器も出したし張り切って行ってみよう。
〈瞬動絶隠〉〈模倣〉〈超直感〉発動
〈技術泥棒〉発動
スキルを発動して一気の距離を殺す。
「なっ」
今まで遠距離からの攻撃しかして来なかったのに一気に接近してきた事に驚いている様だが、俺に手に持つものを見ると顔は喜色に染まった。
うあ~。こいつもか。
剣に刻んだ魔法を使って、光の矢とそれに付随させて爆裂を数十個づつ放つ。あまりの数に壁の様になって前方から魔法が殺到するが、
「ははは」
笑いながら魔法の中に突っ込んできて光の矢は斬り裂き、爆裂は爆心地を何らかの方法で見切り回避する。
そして剣の間合いに入った瞬間に先ほど雷を斬っていた時とは比較になら無い程の速度で刀を笑いながら振って来た。
その攻撃に怯む事無く更に踏み込む事で斬撃を躱し、手に持つ剣で斬りかかるが、それをまるで予め知っているかの様に回避し、斬り返して来る。その刀を剣の腹で打ち払い、逆の手に持つ剣ですかさず斬る。しかしそれもひるがえる長い髪にさえ当たる気もしない程余裕をもって回避される。
その後二人はお互いにまるで決められた手順通りに闘っているかの様な攻防を繰り返す。
一流の舞士が演じているかの様な攻防ではあるが両者とも当たれば常人なら即死する威力の応酬をしている。
しかし、余裕が無いのは颯の方だ。何故なら
このままではまずいな攻撃がかすりもしない。回避法や体捌きは見ていて参考にはなるが、このままだと俺が斬られる方が先になるだろうな。あいつは俺の攻撃に対して防御と言う選択肢を必要としていない。だが俺はあいつの攻撃に対して二、三発に一回は防御を強いられる。しかも俺の動きを見切られた所為かドンドン防御の頻度が増えてきている。
ここは一端。
魔法で攻撃するために一度距離を取ろうとする。だがそれも見切られ頭部を狙った彼の目を持っても剣先が霞んで見える程の突きを放ってくる。
何とか躱すが薄く頬を斬られ血が流れる。
動きが速く追い着かないレベルの速さでは無く動けないタイミングでの攻撃を放ってくる。
っ!?読み切れなかったか………いや予測されたのか。
しかしこれでハッキリしたアイツの持っているスキルは対人用の先読み。
これは……厄介だぞ。
勿論それ以外の先読みも出来る様だが一番得意としているのは対人用だろう。その証拠に〈諸事万端〉を使った観察でも躱す事が出来なかったからだ。
……これは新しい事を試すとかそう言う事をしている場合ではなさそうだ。それに一応実践で使う事は出来たもういいだろう。それにこいつは俺と相性最悪だ
〈魔力解放〉発動
派生スキルの一つを〈紫電の魔人〉の能力である〈魔力変換雷属性〉と合わせて使用し自分の周りに雷をばら撒く。
攻撃がやんだ瞬間に〈アイテムボックス〉から両手に持っている剣と同じ物を五本づつ取り出して〈念動〉の魔法で自分の周囲に浮かせる。自分の一応のメイン武器である強度を強化した槍を取り出す。今彼の周りには十二本の刻印剣と手に持つのは上級魔法にも耐えきる槍。戦闘スタイルが先程までとはがらりと変わった事は容易に予想できるだろう。
「…………」
警戒しているのだろうか、それともこれが何であるかを見極めて隙を狙っているのだろうか、こちらをじっと見ているだけで動こうとしない。
しかし、口を三日月の様にして笑うと。
「はは、あはっは」
笑い声をあげて更に線の様に細かった目が見開かれ瞼の裏に隠された赤い目が怪しく光る。
その剣速は先ほどよりもさらに速い。恐らくより強力な称号を使ったのだろう。
浮遊させている剣で刀の通り道をふさぐ。
「あははは」
楽しそうに笑いながら剣閃が閃く。驚いた事に自分の腕よりも早く動かす事が出来る〈操作〉を使って動かしている剣を八本も使って攻撃を防いでいる。
残りの四本を使って攻撃をしているが今度は防御させる事が出来ているのだが気休め程度にしかなっていない。
くそ、ならこれならどうだ。
攻撃に対して四本を同時に防御に使って刀を剣で挟みその隙に攻撃を仕掛けようとする。
「なっ」
それに対する対処法につい声を上げてしまう。
何と刀から手を離して刀がその剣に当たって弾かれ、刀が半回転したところで斬りかかた手とは別の手で刀を空中で逆手で掴み取り体の回転をそのまま殺さずに斬って来た。
なんて奴だ。武器から手を離すだと、しかもこのタイミング……駆け引きの引き出しの数が話にならない。しかも今の速度は今までで一番速かったつまりまだ先がある。
こいつは……生かしておくと何だか面倒事を起こす気がするな。
ふぅ、完全に私用だけど………死んでもらおう。
〈魔の極〉発動
自分の体から魔力が溢れだすのを〈魔力支配〉で防止するがそれでも気が付いたようで、
「やっと本気?でそうじゃないんでしょ?
さっきまでの腑抜けた雰囲気じゃなくなったのは分かるけど、なめてる?
「なんだ?会話出来んのか?
それなら聞きたい事がある。なんでこんな所で雇われてんだ?」
「ああ、ここにいると今のお前みたいな楽しい奴が来るんだ。
ここはいいぞ。ここの雇主はいろんな所で恨まれてる。
ここに来る暗殺者は一流所ばっかりだ。そう言うのを斬った時に俺は生きている事を実感できる。
奴隷を集めるやつの護衛なんかよりもよっぽど強い奴と戦える。
なあ、お前も解るだろ?」
「知るか。聞いた俺が馬鹿だった。
お前は死ね」
そう言われても奴は楽しそうに笑っている。
「まあ、いいや。楽しければ何でも」
「うるせえ、喋るな」
〈魔力譲渡〉発動
派生スキルを使って浮遊している剣には直接触れずに魔力を流し込み剣に刻んだ魔法を発動させる。
使う魔法は刻印剣を起点に作り出す魔法陣による上級魔法。
火風属性複合上級魔法 爆殻 火の魔法によって生み出された超高温を風の魔法により圧縮し、地殻にさえも影響が出るほどの威力の爆発を起こす。
「吹き飛べ」
どうせ狙っても避けられるのでもう知るかと言わんばかりにやけくそ気味に魔法を発動させる。(真空の膜を半径百メートルの大きさに張っているので音の心配は無く周囲に被害も当然無い。真空の壁の外側と自分の周りには結界を張っているおかげで逃げられる心配も無い。やけくそ気味で使っている割には考えられている。と言うかここの庭広すぎだろう)
自分には聞こえないが轟音が鳴っている事だろう地面が振動している。
俺で如何かなると良いんだけどな。
称号〈死の境界の王〉を入手しました
…………すごいな、生きてるよ。て言うかほとんど怪我無いし。
ああ、殺気が膨れ上がってるよ。
やっぱり向こうも本気じゃなかったか。
〈死と境界の王〉
生と死のの絶対的な境界の創造者
魔力量と結界の生成に極めて大きな補正
特殊属性〈絶堺〉の習得
PS
これってもう〈魔王〉とか〈神〉の方がしっくりしそうだよね。
どうせ同じような効果なんだから変えちゃおっかな~




