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クラスごと勇者召喚されたみたいだが俺の職業は魔王のようです  作者: satori
第二章 貿易都市で商会を始めるようです
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048 交渉開始?

さて、気を引き締めないと。相手はこの商業都市を取り仕切っている凄腕の貴族。交渉事は経験の差は話にならないだろう。

昨日の事は一時忘れて、集中しないといけないな。


昨日と同じように受付で昇降機の使用のための許可証代わりに使われている。

金属板を受け取り、昇降機に乗る。


連続で昨日登録をしたばかりの者が市長の面会を許される事で何かあるかと思っていたのだが、何も無い。

少々拍子抜けだ。


どういう事だろう、絶対に何かあると思ってたけど…………嫌な予感がする。


市長室の扉の前に着いた。

市長室の扉を開けると落ち着いた声で迎えられる、と思っていたのだが、


「よく来てくれたな」


「こんにちは」


何だか昨日よりも随分軽い印象を受ける明るい声で迎えられた。


…………いったい何が有るんだ?嫌な予感しかしないぞ。


貴族相手の初めての交渉は、すでにもうこの時点で流れを持っていかれかけていた。

俺は不安を出来るだけ隠して、昨日と同じソファーで辺境伯ウェイン・カールスルーエと対面した。


「ところで、今日は連れの女の子は居ないのかい?」


まずは世間話から始めるようだ。


「ええ、今は、邸の方にいます」


「そうか」


何やら残念そうに返事をした。


「どうかしましたか?」


「兵士や冒険者たちがな、銀と黒の少女に助けられたと報告が上がっていてな、何でもほぼ全ての魔人を二人で倒したそうじゃないか」


「そみたいですね……」


マジかよ。二人の事しか見てなかったから知らなかったよ。て言うか全部倒す気だった見たいだけどそんな倒したのかよ。


「何やれあの強さと可憐な容姿で今、騎士や兵士、冒険者の中で大人気になっているみたいだよ。騎士や兵士達があれは誰だと収拾がつかなくてね。

 どうにか近い内に二人を連れてこられないかな?」


「ええ、いいんですが………」


何か口調が非常に軽い昨日の印象とまるで違う………


「ああ、口調かい?今、私は休憩時間なんだ。だから意味とはプライベートで会っているんだよ。

 オンとオフはしっかりしないとまいってしまうからね」


考えを読んだ様に説明を入れて来る。

この会話をするために時間を調整したって事か。いやまだ何かある筈だ。


「そうですか」


「ところで君は紅髪の悪魔を知っているかい?」


急に話題を変えて来る。今度は少々俺が動揺する様な内容だ。やっぱり面倒事がありそうだな。


「紅髪の悪魔ですか?」


動揺が外に出ない様に気を付けて返す。

俺の事だよな。どんだけこの人は情報収集能力が高くて精確なんだ………


「その悪魔がどうしたんですか?」


「どうやらそいつは私の叔父のレーベルヒトを殺そうとしている様なんだが」


「叔父が狙われているんですか?」


え?そんな事無いよ。何どう言う事?


「最近奴隷商から賄賂を受け取っているらしく。丁度いいから死んでも握りつぶそうと思うのだがどうだろう?」


「そうですか」


え、何?殺して来いって事?どう言う意図なんだ?それを俺に話すと言う事はそうなんだよな。


「その方はどう言う事をしたんですか?」


「ん?さっきも言ったが袖の下のもん受け取って、亜人を扱う違法な奴隷商を見逃していたらしい」


…………よし。仰せの通り殺しに行こう。生きている価値無いねその人。

何だかいい様に使われている気がするけどこれ位はいいだろ。

それにこの事をバラされたく無ければの流れだろうし。

て言うかあそこだけに亜人が居たのはそういう理由だったのか。


「そうなんですか。ありがとうございます参考に成りました」


「そうかそれは良かった…………頼むよ」


「…………了解です」


お互いにボソッと言い、黒い笑みを浮かべあう。


「ふむ、そろそろ時間だね」


懐から懐中時計を取り出し時間を確認して言う。

雰囲気が百戦錬磨の商人のそれへと変わっていく。


「君の作りだした技術についての話をしようか」


「そうですね。何から聞きたいですか?」


「通信の魔法具に攻撃用に魔法具。この二つはどう言った共通点があるのかな。

 報告書の中にはあんな物は無かったが、あれも君たちが作ったのだろう?」


あんなものとは俺が昨日使ったスナイパーライフルの事だろう。

ああ、それにしても本当に有能な人だな、この人が知りたいのはこれの根幹的部分である物体への魔法陣の保存法。

ここまで正確に名称までは分かってないと思うが、昨日見ただけでどんなものであるかあたりを付けて来たのだろう。

そしてこの技術を他の所で流用できないかと言った事だろう。

ここは中身を公開して恩を売るか?どうせ作るには数年単位でかかるだろうし。


よしここは恩を売る方向で行こう。


「この二つの共通点は魔法陣を内部に書いていることです」


お解りですね。


「内部に魔法陣を書く事は今まで何度も試されて来ました。

 しかし、上手く行かなかった、それは何故か?」


理由はお分かりですね?


「魔法陣を書いた線が形成の時に歪んでしまう事。

 歪まない様にすれば線が太くなり大きな魔法陣を書く事が出来ず、大型化してしまう。そう方法を使われて作られているのは、我が国の王都を護る結界くらいだと聞いている」


「その通りです。それを踏まえて私はとある特殊スキルを使い既に形成してある物に直接内部に書きました」


「ほう、その様なスキルが…………」


それでは流用する事は無理か。と思ってそうだが一応教えておくか。


「〈魔力操作〉と言うスキルをご存知ですか」


「当然だろう。そのスキルは手に入れるのが難しく持っていれば、それだけで周囲より一目置かれると言うスキルだろう」


「ええ、自分が使ってスキルはその上位スキルです。

 名は〈魔力支配〉効果は周囲に自分の魔力を散布する事によってその空間中に存在する魔力を操作することが出来ます。そして自分は〈魔力操作〉なら楽とは言い難いですがある程度誰にでも手に入れる方法を見つけています」


「何と………」


「その方法を使い、うちにいる者のほとんどは〈魔力操作〉を持っています。

 その中で適性がありそうな者には自分の持つスキルを習得で出来るか試すつもりです」


「はぁ、君とは頃合を見計らってから言いだそうとは思っていたが。


君、貴族にならないか?


 もうすぐこの街の男爵が一人いなくなる予定なんだが」


「嫌です」


即答する。

え言うかその男爵ってさっき俺に殺して来いって言ったあんたの叔父の位じゃあるまいな。


「即答かね」


「あなた以外まともな貴族を見た覚えが無い、それに俺はこんな国に所属したくない」


あ、勢い余って言っちゃった…………

反省はしている後悔はしていない。


「はははっ、まあそうだろうな」


急に笑い出すので俺は予想していた反応と違ったのでキョトンとしてしまう。


「え?」


「俺だってこんな国の貴族をやめて商売でもしたいわ!!」


本音を暴露した。

うゎ~、嘘言ってないよ。

ストレス溜まってんだな…………


「ははぁ」


これは聞かれちゃあ本当に不味そうだ。

風属性中級魔法 虚空 発動

もうお馴染みの遮音魔法を使っておく。


これが相手の思惑通りとは知らずに


「聖都の貴族なんてバカばっかりで自分の事しか頭の無い。

 知っているか?あそこの2割がスラムなんだぞ有り得るか?昔の【勇者】のおかげで多少昔よりはましらしいが、それでもあそこが首都なんぞ考えられんわ」


何だか行き成りぶっちゃけ始めたよ、しかも全部本音だし………


「あのちょっと抑えて」


「と、すまない。取り乱した」


「…………行き成り如何したんですか、しっかりしてくださいよ」


て、ん?何かこっちに人が走って来るな…………あ、部屋を覗いていた奴だ。もしかして聞き耳立てんじゃなくて警護のほうなのかな…………


不味いな。これは、


「ウェイン様大丈夫ですか!!」


「あ?何だ慌てて」


「あれ?」


入って来た秘書の様な長身のモデル体型の銀髪の美女が中の状況キョトンとしている。


「………」


「…………」


「何をしたのかな?」


何があったのか悟ったのか俺に質問をしてくる。


「ヤバそうなことを口走ろうとしたので遮音を」


「………」


「………」


「ふむ、〈無詠唱〉も持っているのか」


「持っていませんよ!!これは〈思考詠唱〉です」


「ほう、と言う事は〈並立思考〉か」


げっ。


「君は護衛の子よりも強いようだな」


「そんな事は………」


「君が一人でここに来た事でそれは予想がつく。

 何か理由があるのだろうがそれでも戦闘能力の無い奴が此処に一人で斬るとは思えん。

 それに加えて君のあの反応は魔人が昨日ここに来る事を知っていたのか予想が出来ていたのではないのか?」


え?え?

この人ヤバい。なんでこんなに人の思考を読めるの?て言うか知られちゃいけない情報を読まれ過ぎだ。


逃げよう此処にいると面倒事率100%だ。


「おっと逃がさんぞ?ぜひ私に協力してもらうぞ」


「もう体裁を取り繕うと言う気は無いんですか」


「くくく」


「すいません」


秘書の人が謝って来る。援護してくれんのか?


「諦めてください」


唯の追い討ちだった。更に耳疑う様な事を言う。


「実はここまでの流れは誘導されていたんですよ」


「は?」


まるで錆びた人形の様にぎこちなく、ゆっくりと辺境伯の方を向く。


「どういうことですか」


「ははは、脅迫する気はないかな。ちょっと一緒に教会を潰さないか?」


無視して要求を言ってくる。しかしそれは俺の気をそらすには充分だった。


「は?」


今買い物行こうみたいな感じで何言ってんだこの人は…………って、そうじゃねぇ。


「ウェイン様、過程を飛ばさないで下さい、固まってしまってますよ」


秘書の人を無視して、


「おいおい、君を目標も教会を潰す事だろうに」


「…………」


どこまで読まれえているんだ。くそ、分からない。


「まあ、そこまで無茶な事は言わないから安心してくれ。

 表向きには俺が動く。君と君の仲間には直接ぶつかれとは言わんよ」


「…………はぁ」


何だかもう戻れないような状況になってしまっている感じがする。

俺は本当に大丈夫なんだろうか?



まあ、こうなりますよね。

経験豊富な貴族に交渉で勝てるわけありませんね。


ありがとうございました

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