047 次の日………
「はぁ~~」
俺は邸の食堂で大きなため息を吐きながら朝食をとっていた。
慈愛さえも感じさせる、落ち込みぶりだった。
それに見かねた勇気ある人間の子供の一人が話かける。
「どうかしたのですか?」
「ん?え~と、ミーリャさん?」
「はい、ミーリャですが、さんを付けるのは不要です」
彼女は買ってきた人間の奴隷の中で一番年上の子で奴隷には良く有る事だがとても落ち着いている。
「何かな?」
「何やら落ち込んでいらっしゃったので、お声をかけさせて頂きました」
「え?落ち込んでなんていないよ?」
「…………バレバレですよ。
他の者も落ち着かないので僭越ながら、ご相談に乗りましょう」
「……………………実はな」
昨日の事を説明する。
「すごいですね、リル様もレティシア様もお強い。
それでその後どうなったのですか」
「その後はね……
「お~い、大丈夫か」
商業管理局から出て、その場にいつもの高速移動を使い十数秒で到着する。
そしてできるだけ明るい声を出す。
「はい……」
「うん、大丈夫……」
……落ち込んでいるな、まあしょうがないか。
あそこまで圧倒されてしまったらしょうがないか。
「すいません。倒す事が出来ませんでした」
「勝てなかったよ」
「まあ、気にするな。今日はもう帰ろう。
ゆっくり休んでくれ」
「はい…」
「うん…」
その後俺はよくやったとねぎらいの言葉をかけたんだが、それがむしろ自分達が期待されていないのではいかと感じたらしくて、途中からどんどん落ち込んじゃって最後には食事も途中で部屋に戻っちゃったんだよね………
「そしてその後、二人して同じ部屋に籠っちゃってでまともに話をしてくれないんだ………」
「そうですか……
何と言うか、本当に不器用な方ですね」
「うっ」
少し考えたようなポーズを取り、一刺し指をびしっと立てて無表情のままで、
「今すぐに部屋に向かって、押し倒して仕舞えばいいんですよ」
と言って来た。
「………」
俺は無言のままで手のひらをミーリャの頭の上に持って行って、
「そう言う事を聞いているんじゃない」
ミシミシミシ
人間の頭から聞こえてはいけない音が鳴る程の力を込めてアンアンクローをする。
「イタイです、イタイです」
全然痛そうでは無く無表情のままに言い。腕を叩いてタップする。
何なんだ?こいつは、丁寧何だかそれとも適当なんだか…………
まさか、こいつわざとか?俺の事を意外と気さくな奴だと分からせる為にやってんのか?
「はぁ」
溜め息を吐き手を放す。
「全く、痛いですよ」
ふてぶてしく言ってくる。
…………やっぱり気のせいか、もっかいやっとくか。
「すいません。勘弁してください」
やる気出して手を上げると出すと即、謝って来た。
どんなコントだよこれ。馬鹿馬鹿しくなり手を下げる。
「まあリル様とレティシア様も私たちで何とか慰めておきますので、しっかりと市長と話しをつけて来てください」
「………分かったよ、頼むわ」
「お任せ下さい」
馬鹿やって少しは気が晴れた様だ。
「それじゃあ、言ってくるよ」
「いってらっしゃいませ」
しっかりと送り出してくれた。
「リル様レティシア様、ミーリャですよろしいでしょうか?」
「………………」
少しやつれた雰囲気のリルがゆっくりと扉を開けて出て来る。
「………」
少々痛々しいですね。髪の艶も悪くいつもの銀糸の様な綺麗さが無くまるで燻銀の様な感じになっている。
「どうぞ…」
「失礼します………」
颯様の言った通り二人は同じ部屋にいた。
レティシア様は更にヤバそうですね…………
同じく髪に艶が無く、目の下にクマもありまるで幽霊の様だ。
「ああ、ミーリャ…………どうしたのですか」
声にもいつもの覇気が無い。凛とした雰囲気は無く目を話したらいなくなってしまう様な儚げな印象を受ける。
「ど、どうしたんですかレティシア様大丈夫ですか」
「ダメかもしれません。あんなに無様に負けてしまった」
「颯様をそうは仰っていませんでしたよ。むしろよくやってくれたと」
「はぁ、それがダメなんです」
「おにいちゃん私たちの事、期待して無いのかな…………」
深い溜め息を吐きながらリル様が言う。
「そんな事はありませんよ」
即座に否定するが、
「だったらなんで少しも責めないんでしょうか。普通期待してるのなら責めるでしょう」
「それは、颯様は……」
確かに何故なにも言わないのだろう?
二人を子供として見ているから。
有り得そうですね、いっその事二人を焚き付けてみましょうか?
面白そうですねこれで行きましょう。
颯様、女はいくつでも女だと言う事を思い知らせてあげましょう。
「リル様、レティシア様。私によい考えがあるもですが…………
ありがとうございました




