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クラスごと勇者召喚されたみたいだが俺の職業は魔王のようです  作者: satori
第二章 貿易都市で商会を始めるようです
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037 侍VS勇者

今回は、榊 紫苑視点です


「はあああ!!」


私は、上段から振り下ろされ迫りくる聖剣を手に持つ【黒煉】で剣の腹を撃ち地面に突き刺さる様に逸らす。


っ!?


勇希は、重心を即座に後ろ足に持っていき、体勢を整えると聖剣でVの字を書く様に振り上げる。

バックステップでそれを躱す。


馬鹿な、こんな高等技術どうやってこの二週間の間に、ぐっ


躱されても速度を緩めず、以前とはまるで別人のような体捌きで、剣を振るう。

距離を置いた瞬間に、


「サンダーレイン」


〈無詠唱〉の恩恵で詠唱せずに、第8階梯の魔法を使って来る。

彼女は迫りくる雷を


〈魔断〉発動


この二週間で習得したスキルの一つで斬り裂いて行く。


なお、現代式の雷属性は精霊の力で引き起こす疑似的な現象である為、古式の物理現象を起こして操る本物の雷に比べて、まさに魔法と言う効果を持ってはいるが、速度ははるかに遅い。

その為高度な先読みの出来る彼女はそれを斬る事かできる。

とは言え、それも彼女ほどの剣速が出せれば出来る芸当である


やはり遠距離は、分が悪い。


〈縮地〉発動


奴に張り付き、剣の勝負で決着をつける。


高速移動のスキルを使いまだ残る雷を斬り裂きながら、一気に距離を詰める。

勇希が聖剣に、


「シャインボルト・ソード、〈極致突破〉」


光属性と雷属性の複合魔法を宿らせ、切り札を切る。


もう決めに来たか………


私は【黒煉】の能力の一つである〈黒炎〉を使う。

更に、


〈刀神〉〈放擲者ホウテキシャ〉発動


自分の持つ最強の称号を使う。

〈刀神〉の方は此方に来たの頃から持っていた身体能力、反射神経、思考速度を凄まじい程の高める自分の持つ最強の称号だったもの。


〈放擲者〉自分の中でどんなモノでも捨てれば捨てるほど能力を高める称号。

今、捨てるモノは、感情これにより一時的に彼女は戦闘マシーンになる。


知っての通り感情には本当に色々なモノがある。


その一つ一つが称号にカウントされ一時的ではあるがS級の戦闘能力を得る。

知っての通り、この級は平均値、つまり何を言いたいのかと言うとこれは純粋に身体能力でこのランクなのだ。


「いくぞ」


完全に感情の感じられない声色で言う。






さて、そろそろなぜこの様な、お互いに訓練と言うには逸脱したレベルで戦っているかと言うと、それは今から二週間前、初のダンジョン攻略の時までさかのぼる。


ダンジョン攻略後入ってきたのは、澪先生を含む四人の死だった。


先生は強くなかったとはいえ、私たちの中でも強い方である神崎と音無がパーティーに居たのに死人が出たと言う事で、クラスの大半が愕然とし気の弱い女子は泣き出したりしていた。


「はあ、先生が死んだ?ふざけんな!!」


向こうでは、勇希が先生を同じパーティーに居た自分の取り巻きに怒鳴っている。


……危険な目にあった自分を思っている者に対しあの扱いか。


「ふざけるなよ、お前らが先生を俺の言いなりに出来るって言うから任せたのに……」


何!?何だ、今の会話は、怒鳴ったのではなく周りに聞こえない様に小さく言った為、周りにいる者達は聞こえた者はいなかった。

今のが、本当の事だと言うのなら、まさか抵抗したから殺した言う事か?そして他の者達は巻き込まれた…………


その時、彼女の中で何かが、切れた気がした。


ああ、私は何でこんな奴らの為に此処に居るのだろう。


もういい、私は私のしたい事をしよう。


私は颯を探しに行きたい。


彼は、間違い無くこちらにいる。


それはこちらに来た時に、見ているから確かだ。


何故か、途中から行方が分から無くなっているが、颯の事だから生きているだろう。





なら、そちらがそう、自分勝手に動くと言うのなら、私もそうしよう。


自分の行動にじゃまな奴は、この手で斬ろう。


こちらなら、本家だの何だのは関係ない、私を縛る物は無い。


私のしたい事が出来る。


それを護る為なら何でもしよう。


全ての行動を愛しい人に為に…………



ハッキリと言うなら向こうの人間性、倫理観の放棄とも言える決意…………いや、利己的に、自分の為に行動する……あまりいい言い方では無いかも知れないが、これも人間ならでは持感情かも知れないか………





感情値が一定を超えたことにより称号を習得します。


称号〈放擲者ホウテキシャ〉を入手しました






その後、此処を出ることで言い合いになり。


私が勝ったら、私は出て行く。


勇希が勝ったら私は彼の奴隷になるそうだ。


何故、奴隷にされるかと言うと、


「決まっているだろう、君は俺に逆らうのだよ。

 【勇者】であるこの俺にだ。

 ならそれ位のリスクはあってもいいだろ」


と訳の分からないことを言い、そう条件を付けて来た。




その後私は、〈放擲者〉を使い、クラスにいる人間に対する全ての感情と殺人の忌避感を完全・・に捨てた。この感情は二度・・と戻る事は無い。


もう、いらないだろうこんな感情は………




フム、記憶はあるが何だろう彼らに対し何も感じない………

消した後に彼らを見ても感じない言う事は、完全にと言う事は、消し続けると言う事か、まあ良いだろ。


感情の変化も彼らが関係しているので、即座に消されていった。









〈極致突破〉による身体能力の倍増で先ほどの数倍の速度で移動し、攻撃速度も数倍となる。

しかし、感情が無い事により極少程の焦りも無く攻撃を捌く。

更に感情を捨てたことで、脳が戦闘に無駄なキャパシティを食わされずに百パーセントが戦闘に使われるため思考速度が数十倍となっている。


俗にいう、ゾーン、明鏡止水、無念無想、心身一如と言った極限の集中状態、悟りの領域の無心の状態となっている。


称号以外の効果で本人が強化させる便利な称号と言えるだろう。


まあ、使いすぎると人間性が………殺人の忌避を捨てた時点で今更か。


勇希は全力でやっているのに無表情のままで攻撃を捌かれ続けられているので焦りが見え始める。



相手が〈極致突破〉を使って居るので長期戦が有効。

しかし防御に回り過ぎるのは、解除される可能性がある。

防除に回りつつ交叉法を狙うのが最善。



無表情のままで戦闘の進め方を計算する。

その冷静さを察したのか、顔に焦りを滲ませ打開のために魔法を使う。


「シャインボルトレイン」


〈極致突破〉により強化された一本一本が、ビル程の大きさの雷が襲い掛かるが、サイズの大きくなった攻撃など的でしか無いと言わんばかりに、斬り落す。


「っぅ」


階梯で言えば第十階梯はあろう魔法をあっさり防御された事に絶望感を顔に浮かばせる。


「くぅ、そがぁぁー」


今ので魔力を使い果たしたのか、身体能力も落ち込み動きに切れが無くなっている。


振り下ろしてくる剣を払いそのままの勢いで、袈裟切りにした。


「ぐ、がぁぁ、くくそがぁ」


再び剣を振るいに来たせいで、こんなものでは負けを認めないのかと認識させ、先程よりも更に容赦がなくなり、剣を持つ腕を肘先から斬り落した。



「え?


 あ、がぁぁ。


 俺の腕がぁぁ」


「………」



まだ、負けを認めないのか。


更に追撃を重ねようと刀を振り上げる、振り下ろす。


「ひっぃ、俺の負けだ。

 や、やめてくれ」


〈放擲者〉が目的の達成を確認し感情が戻る。首を跳ねる寸前に刀を止める。


「………」


勇希は、泡を吹いて気絶している。


「私の勝ちだな」


聞こえてはいないと分かってはいるが、そう言っておく。

刀を鞘に収めその場を去っていく。


称号〈暴戻ぼうれいの夜叉〉を入手しました



ありがとうございました

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