表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスごと勇者召喚されたみたいだが俺の職業は魔王のようです  作者: satori
第二章 貿易都市で商会を始めるようです
37/139

033 リルVSレティシア


さて、今俺は、この状況をどう表わせばいいんだろうな………


そこは街から十数キロほど離れた荒野。

俺が用意した武器を構え、常人なら気絶しそうな程の殺気を放つ二人の少女(幼女?)達。

二人共戦闘準備は万全の様だ、両者ともスキル、称号の強化は、完了済。


片や、黒と白の双剣を持った西洋人形の様な銀髪美少女。


片や、自分より大きな刀を持った日本人形の様な黒髪の美少女。


レティシアの方は恐らくランクS-級はあるだろうから、リルはかなり分が悪いとは思うが、俺との訓練で最近俺の技術を盗み始めたから、良い勝負はすると思うが………


「あー、お互いに相手の命を奪う可能性のある攻撃を禁止。

 勝敗は、俺が介入された側か、降参したら負けだ。

 いいな、出来るだけ怪我の無い様に」


はぁ、本当になんでこんな事に………




「ダメです、絶対にダメです」


「ふっ」


「なんです」


「君に指図される筋合いは無いのでは、ないかい?」

 

レティシアは挑発するように言った。


「そ、それは」



返答に困ったような雰囲気になる。

リルが俺の方を見て来る。

そして決心したような、顔に成り。



「お」


「お?」


「おにいちゃんは、わたしのものです。

 だから、そんな事はさせません」



と、少々耳を疑う様なことをリルが言い、



「………」


「………」



再び睨み合う。


これ、どうすればいいんだ?



「決まっているでしょう」


レティシアが俺の思考を読んだ様に何か確信した様な顔をして断言する。


………思考を読むなよ。



「ええ」


「は?」



リルがそれを間入れずに肯定するので、驚きでつい声が出る。


「「決闘だ(です)」」


ああ、こういう面では、同じ様な性格だったのか………


まあ、やらせればいいか。


はぁ………


自分の周りにはこの様な性格に者が多いなと思いながら疲れた様にため息を吐いた。




「おにいちゃん、レティシアの武器を用意して下さい」


丁寧な口調ではあるが有無を言わせない雰囲気で言う。


「レティシア、何を使うんだ?」


俺はもう止める事をあきらめてレティシアの武器を作るタイミングとしても丁度いいかと思いながら、レティシアに使う武器を聞いた。


「大刀を」


「属性は?」


適性のある属性を続けて聞く。


「火、風、闇です」


「分かった、少し待て」



さて久々に、作るか。





よし出来た。


作ったのは、以前手に入れた【黒煉】をモチーフにした武器にした。


まあ、今回は〈白焔〉を付加させているから、色は白だが。


とは言え、刀身を伸ばし能力は付加していなく、その分のキャパシイを攻撃力の上昇に回している。

一撃の威力は、オリジナルを超えているだろう。


そして、なぜ固有属性を付加させているかと言うと、リルが‘同レベルの武器を用意して下さい、そうでないとフェアじゃないから’とか言ったので、こんな物騒なものを作らされた。

その言外には、‘同レベルの武器で倒して、言い訳をさせない’と聞こえた気がするが………


出来れば、模擬刀でやって欲しいんだが………おそらく言っても無駄になるであろう事が考えていた。


これを渡した時は、その場で跪いて、主に永遠の忠誠を………とか言い出して、さらにリルの機嫌が悪くなったりした。






さて冒頭に戻ろう。


「それじゃあ、お互い怪我の無い様にね」



と言って俺がそこを離れると、その瞬間にリルが飛びだし、双剣を剣先がかすんで見えるような速度で振るう。


レティシアはそれを危なげなく、刀で防いでいく。


始まりから、数秒で数十合の剣閃がぶつかり合い、その衝撃で、地面が弾け飛んでいく。

リルは、空中を歩くことが出来る、その為そんな事の影響は受けずにさらに速度を上げ、全方位から同時と言ってもいい程の間隔で、時には突き、蹴りを織り交ぜ攻撃を繰り返す。


レティシアは、交叉法狙うタイプだろうか?リルを攻撃完封しているそのことから、リルに焦りが見えて来ている、下手な攻撃をしないといいが、こう言う場面になるとそれは、難しいんだがどうなるだろうか・・・


「はぁぁぁ」


魔力を、全開にし、巨大な氷を剣に纏わせる。

巨大な大剣となった双剣を担いで、一気に振り下ろす。


おいリル、それは、下策だぞ。


レティシアは攻撃の瞬間に、この模擬戦が始まって初めて、その場から動いた。


リルの頭上に、まるで瞬間移動をしたかの様に、回り込み刀を振り下ろす。

刀から放たれた、膨大な魔力がリルを飲み込む。


その時、急に周囲に温度が下がった。


リルが、双剣の能力を発動させ魔力の塊を斬り裂き、レティシアに斬りかかる。


「ちっ」


レティシアが、舌打ちをして、刀に魔力を流し込み、〈白焔〉を発動させる。


そろそろ、間に入るか。


〈魔力支配〉発動


〈白焔の魔王〉〈死氷の魔王〉発動


〈魔力支配〉により〈白焔の魔王〉と〈死氷の魔王〉によって増加され溢れ出す魔力を隠匿する。


「はぁぁぁぁ」


「やぁぁぁぁ」


リルの二振り、レティシアの一振り、合わせて三振りの斬撃が〈死氷〉〈斥斬〉、〈白焔〉と言うこの世界でも埒外と言える威力を持った魔法を纏わせて振り下ろされる、その瞬間に、


特殊属性初級魔法 死剣・白剣 を発動させ〈死氷〉と〈白焔〉でナイフを作り。


〈諸事万端〉発動


強化した、知覚能力で剣の動きを予測し、


〈瞬動絶隠〉発動




そこに音も無く割って入る影。


〈白焔〉が宿った刀を〈死剣〉で受け止め、〈死氷〉の宿った剣を〈白剣〉で受け止める更に、〈斥斬〉が宿った剣を、体の前で交差した腕と体でリルの腕を抑え込む事によって剣を止める。



「おにいちゃん!?」


「颯殿!?」


先ほどまでいた場所からの高速移動か、目の前にいて魔法まで使っているのに魔力を感じないことか、はたまたこの曲芸とも言える程の攻撃の封じ方か、どれかは分からないが驚いた声を上げた。


「ここまでだ。 

 二人共、終わりだ」


二人の間に入りそう告げる


「な、なぜですか」


レティシアが抗議するが。


「これ以上は、危険だろう。

 あんなものまで使って」


ため息をつきながら、そう告げる。



「・・・」


「今回は引き分けだ」


「分かりました」



俺は土属性上級魔法 燥殻 で傷だらけになった、荒野をもとに戻し、屋敷に戻った。






やはり、颯殿は私の見込んだ通りの方だった。


先ほどは、気が立っていて、失礼な事を言ってしまったことは、後悔している。

後でこの事は、別に謝らないといけないだろう。


先ほど、鱗片だけだろうが見せられたものは、格の違いを理解するのは十分と言える。

極僅かな気配も感じさせずに接近されたことも、あの完全な魔力操作技能も、そして私たちの動きを完璧に予測して間に入って攻撃を封じ込めた体捌きも………


どれ一つとっても、遥かな高みを感じさせる。

私も彼の隣にいるためには、今までに無い程の鍛練が必要だろう。




私を奴隷商から救ってくれた。

これだけでも返しきれない恩が有ると言うのに、これ程までに素晴らしい刀を下さった。


しかもこれは、颯殿がお作りになったと言うではないか。


武芸だけで無く、工芸にまで精通しているとは、本当に多才でいられる。


まさに私が、命を、生涯を賭して従うのに、これ程ふさわしいお方は居無いだろう。


まさか奴隷に落とされた私は、もう従えるべき主を見つけることは、生涯出来無いと思っていたが、颯殿は私に希望をくださった、必ず私が颯殿にもっとも重用される者になる。


リル殿には、負けない必ず次は勝つ。

今度は、少しの苦戦もせずに圧倒する。


レティシアは人知れず決意をしていた。





感情値が一定を超えたことにより称号を習得します。


称号〈赤誠者セキセイシャ〉を入手しました








レティシアは、お兄ちゃんをわたしから取ろうとした。


お兄ちゃんとは、まだ一緒にいた時間は少ないけど、自分の身内にはどこまでも優しい人だ。

だから、お兄ちゃんならあれ程まで自分を慕う人を奴隷のままにして置く事はしないと思う。


そして、過去奴隷であっただとか全く気にも止め無いと思う………


渡さない、お兄ちゃんの一番は、わたし。


ルナさんにも当然レティシアにも譲らない、ここは私の場所。


次は、勝つ止める暇が無いくらいに圧倒的に、今のままでは力が足りない。


わたしは強くなる誰よりも、お兄ちゃんの隣にいるために。

そして、お兄ちゃんをわたしの物にする為に………


才能が今まで誰よりもあったリルの初めての力の渇望だろう。

そしてそれは彼女が初めて、他人を絶対的な敵と認識した瞬間であるだろう。





感情値が一定を超えたことにより称号を習得します。


称号〈爛熟者ランジュクシャ〉を入手しました



ありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ