030 カールスルーエ到着
あれから五日馬車に揺られた後、貿易都市カールスルーエに到着した。
貿易都市カールスルーエは皇国と聖国の国境上にあるいわゆる経済特区の様なものでこの街は関税が免除されている。此処に来れば世界各地の特産物や有名な鍛冶氏の武器、迷宮の魔法具手に入らない物は無いと言われている。
各国首都を凌駕する規模の都市の一つ。
その性質上人の入れ替わりがここまで激しい都市は他に無いと言うほどだ。
それとこの都市は【料理勇者】が基礎を作ったと言われている。その影響かここに出店する事が一種のステータスとなっていて、飲食店はすべての国の店がこぞって支店を出している
ここなら、俺の目的も果たせるだろう。
何事も無く、門の中に入り、まず宿屋を探すことにした。
「リル、あの護衛の人におすすめの宿を聞いたからそこでいいか?」
「うん、いいよ」
「分かった」
その宿屋は、正直に言うと、小鳥の泊まりにサービスで数段劣り、値段が数段高かった。
リルも何だか嫌そうな顔をしていた
こことしては、普通ランクの宿ではあるがここは、根本的に土地代が高く、宿屋は高いと聞いていたが、ここまでとは次に泊まる宿は、高くとも良い宿に泊まろうと思う。それと小鳥の泊まり場は元々リルの両親の趣味でやっている様なもので根本的に利益度外視でやっているのでこれを値段の面で上回るのは無理であろう。
「リル、気晴らしに行こう。
此処に居てもしょうがない」
「行こう」
即答だった。
それとなぜ同室かと言うと、セーラさんとセトさんに必ずそうしろと、言われているからである。
これはどうなんだろうな、確かに危険だから一人で旅をさせなかったと言うけどこれも相当危険なのでは……
リルちゃんに至っては、寝ていると布団に入ってくるし………
まあ、気にしない事にしよう、考えても解らんし。
「どこに行く?」
「お菓子!!」
「あと二日じゃないのか?」
「お願い、来る途中の匂いはもう拷問だったよ~
もう限界だよ~」
何だか泣きが入り始めたな。
まあ、もういいか。
それと旅が始まって‘ちゃん’付けしないでと言われてから、俺に対する口調が更に柔らかくなった気がするな。
まあ、これはいいことか。
「まあ、いいか。
じゃあ、カフェに行こうか」
「やった~。
おにいちゃん大好き♪」
そう言って抱き着いて来る。
くっ、日に日に動きに無駄が無くなって来て、威力が上がって来ている。
何時まで、魔力無しで耐えられるんだろうな、俺は……
これが、子供が大きくなっていく親の気持ちだろうか?
と、考えながら、いつも通り腕を組んで宿を出ていく。
「うは~、すっご~~い」
目の前にある巨大パフェを見の前にして、目をキラキラさせながら感激した様に言う。
まあ、これは確かにすごいな。
器のサイズは大きく、頭に届きそうなほど高い。器のそこに敷き詰められているフレークはカラフルに彩られており、おそらくは果物で味付けをしたフルーツフレークだろう。フレークの上にはたっぷりの生クリームが乗せられ、さらにその上にはアイスクリームや色とりどりのカットフルーツが乗っていて、とても華やかだ。
……向こうでも見た事無いくらいのレベルだろこれは、しっかりしろよ、一応本家だろ?
「どうしたの、おにいちゃん?」
「え?あ、あぁ……これに圧倒されていたんだよ。
こんなすごいパフェは、見たこと無かったからね」
一応当たらずと雖も遠からずと、言う感じの返答をしておいた。
「そうだよね~
こんな大きなパフェ見たこと無いもんね」
「ああ」
リルが幸せそうに食べるのを見ながら、自分も目の前のパフェを食べる。
超が付くくらいに、甘党である俺はここに来て一番幸せな、時間を過ごした。
その後は腹ごなしに少し散歩して帰ることにした。
俺達は街の大通りを歩いていると少々見たくも無い物を見る羽目になった。
ちっ、なんでこんな大通りに奴隷商があるんだよ。
そう、奴隷商だ。あとでリルを置いて来るつもりでであった。
何故ならこういった場所では特に亜人が近づくのは危険であるからである。
亜人の子供は労働にも向かず更に手間もかかると言う理由から外にある檻で一人金貨一枚ほどで売っている。
その扱いは、とてもでは無いが劣悪と言うのも生温い状況である。
「なあ、リル先に帰っておいてくれないか?」
「え?」
ショックを受けて呆然としていたのか反応が遅れる。
「わ、わたしは」
「無理しなくていいよ。
それにまだリルは見るべきじゃないよ。
多分リルに見せられない様な事をする可能性があるから……お願い」
「……うん」
「ありがとう。
気を付けてね」
そのままリルは宿へ向かって歩いて行った。
さて、何も起きないといいけどな。
まあ、そんな事有り得ないか…………
ありがとうございました




