002 巻き込まれた教師
私の名前は三輪 澪 一応、一流と呼ばれる大学を卒業したのだが、就活に失敗しこんな下らなくて、きつく、低所得で土日もつぶれるような職場に入ってしまった。本当にやっていられない。
しかも私の容姿と雰囲気はどうもM男どもの受けがいいらしく、鬱陶しい程にM男が寄ってきた。
気持ち悪くてたまらない。
しかし、今度は何だ!?勇者召喚だと?ふざけるな!!
私は楽がしたいんだ。
なぜこんな事をやらされると言うのだ。
それもこれも職業に勇者とやらを持っていたあのリーダー気取りの馬鹿のせいだ、巫女さんからステータスカードの説明を受けたあの時も…
「ステータスカードを配りますからだれがどの職業を各自、持っているか教えてください」
何やら、皆そわそわした感じで配られた手元のステータスカードと言って渡された金属板を凝視している。
「ああ、ありました勇者です。あと聖騎士と雷魔法師あります」
クラスの中心人物ではっきり言って私的には関わりたくない感じのハーレム野郎、輝崎 勇希だ。
「すごいです。
勇者だけでなく聖騎士まで騎士と聖職者の特性をもつ上級職ですよ。
魔法師は中級職で魔術師の上位派生職です。
職業が三つもあるんだなんて、やっぱり貴方は選ばれたひとなんですよ。
この力ぜひこの世界のために使ってくれませんか?」
あざとく上目づかいなんかして、さらに、よいしょ、までしてやがるよ。
はあ、下らないなんであんな馬鹿にあんな必死にお願いなんかしてんだか。
「もちろんです。まかせてください」
ほら、すごくいい顔で即答しやがったよ。
「俺が必ず君を守るよ」
「まあ嬉しいことを言ってくれますね」
完全にあしらわれているって、分かってる?
しかも、君って言うのは違うだろ、ほら君のハーレムメンバーがすごい顔して睨んでいるけど、分かってる?
まあ、お姫様のほうは頬を染めて満更でもなさそうな顔をしているが…………
対照的な二人だな。
とか、常に女のことを考えてんのか?
勇者の職業があった事をどれだけアピールしているんだか。
ちなみに職業は人によって、つける数の上限が決まっている。基本的に一つで、千人に一人位の確率で二つ。その中で、更に千人に一人が三つ以下……
そして私の職業は忍者、暗殺者、闇魔導士の三つだった。
多分、忍者が最上級職で暗殺者、闇魔導士は上級職。
称号に〈異世界人〉、〈斬殺鬼〉、〈黒の魔女〉と失礼なと、言いたくなるような物もあったがまあ能力補正率が異世界人よりも高いからいい。
スキルは〈直感〉、〈隠形〉、〈剣術〉、〈投擲〉、〈暗器術〉、〈索敵〉、〈詠唱短縮〉、〈加速〉、〈壁走〉、〈分身〉〈魔力操作〉〈魔力覗〉 まあ文字どおりの効果だね。
忍者は多分効果と能力補正を見る感じでは最上級職だとおもうがその中でも、ユニーク職ってやつかなこの世界に忍者なんて概念はないだろうしこれはいいだろう。逃げ出す時に役に立ちそうだからね。
だが私は、闇魔導士を闇魔法師と言って暗殺者と忍者のことは隠した。
だって三って言ったら絶対に面倒な事になる事は目に見えている。
絶対にお断りだ!!
だが、召喚者は基本的に二つの職業をもっているらしい。
私は、これでほぼお役御免なこいつどうしよう?追い出すか?見たいな雰囲気になっている気もしてきていたのだが、ここでまたあの馬鹿が…
「たとえ、強い力がなくとも三輪先生には俺たちをまとめてほしい」
とかこの馬鹿が言いやがったから、こいつらの面倒を見る方向で話が進んでいやがった。
いいこと言ってるつもりだけど、私の事をそばにおいて私の事を手に入れたいだけだろう。
「いや、私では君たちについていくのは無理だろう、庇ってくれるのはうれしいが足を引っ張るのは申し訳ない(せっかく面倒から逃げられそうなのに余計なこと言うな)」
「いえ俺はあなたに、みんなをまとめてもらいたいんです」
ほら、俺はあなたの味方ですよって言う目は、やめてくれないかな。
それに自分の意思をさも他人の総意みたいに、言わないほうがいいんじゃないのかい。
そういや、あっちでも露骨にくどいてきていたな、隠しているだけで無能ってわけじゃないからね、勘違いもはだはなしいな今がチャンスだとでも思ってんのか?
うわ、ハーレムどもがすげぇ睨んでいるよ。変ないざこざに巻き込むなよ。
「そうですよ、貴方は勇者なんですから闇魔法師のかたなんて近くに置かないほうがいいですよ」
このお姫様は、勇希がかばっている私が気に入らないことと、闇属性って言うのが問題なんだろうな、まあ好都合おだけど。
特にステータスカードの説明以降、反応を見せてなかった巫女さんがこれだけには、明確に反応してきたからな。
「いやでも、俺は」
「勇希君、姫様の言うとおりですよ、私はあなたがたの近くにいるべきではないですよ(面倒だからね)」
「そうですよ、勇希様こんな人とは一緒にいるべきではないんですよ」
所々言葉に棘があるな、まあいいんだが、そんなに勇希にほれたのか?
まったくこのハーレム野郎は…
そう言えば颯君がいないわね。
あんな綺麗な長い白髪をしていた人が居なくなって、気づいて居ないという事は無いでしょうから、どうしたのかしら?
みんなは殆ど気にして無い様だけどやっぱり変ね、彼が他人を避けるような雰囲気を発していたとしてもこれはおかしい。
でも王様に謁見するこのタイミングで居なくなったのは何か意味があるのかな?
「ではそろそろ、王の待つ謁見の間に参りましょう」
姫様が促してきた。
「・・・すいませんが、疲れたので私は休すませてもらえないか?」
「・・・いえ、ぜひ来てほしいんですが」
少し言いよどんでいる
ああこれは絶対面倒事になるな、〈直観〉がそう言っているよ。
「いえ、疲れのせいで粗相をしてしまうかも知れないから、遠慮しておこうと思ってな」
「ですが『勇者と共に召喚された者』は連れてこいと言われていますから」
「では、なおのことついて行ってはいけないのでは?」
「え?三輪先生、具合が悪いんですか?
なら、俺はそっちに付き添いますよ」
「王様は『勇者と共に召喚された者』と言っていたんですよ、なら勇希君これはあなたがメインなんですから、出てきなさい」
私は強い口調で言う。
「は、はい…」
姫様がさらに険しい目つきで私を見てくる。
ああ、このままいくと何かあるって言っているような顔だなあ。
まあ叱り付けたことに対する怒りかもしれんが。
「勇希君。私がいけない分しっかりとみんなをまとめてくださいね」
先ほどとは打って変わって優しく柔らかな口調で言う。
「はい分かりました」
うわ、こっわ~、すっげぇ形相で睨んでくるよ。
てことは、ついてこないことへの怒りだよな、これは。
「どうか、なされましたか?」
「いえ、べつに。では失礼します」
悔しそうな顔。
顔芸もできないのに説明なんか来るなよ。
称号〈悪女〉を入手しました。
スキル〈看破〉を入手しました。
スキル〈説得〉を入手しました。
スキル〈危機回避〉を入手しました。
んな、なんてしつれいな。
この世界の称号は大半が悪口じゃねぇか、せっかく気分が良かったのに。
まあ〈危機回避〉が手に入った時点でさっきの推測は正解かねえ。さていったいどんな面倒事が待っているのかねえ。
ありがとうございました。
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