025 魔法具の作成法
作業場を出ると、
「あっ、お兄ちゃんおわったの?」
「ああ、終わったよ」
ああ、癒される。
さっきまでの後悔も完全に吹っ飛ぶな。
「実は、リルちゃんの分の武器も作ったんだけど、見る?」
「え、何何」
「リルちゃんの双剣、作ったんだよ。
見てほしいな~」
そう言って手に持っている。
布にくるんだ剣を取り出す。
「うわあ、綺麗」
この武器だけは、装飾凝ってみたんだよね~
白の方には、氷の結晶と片刃剣、黒の方には黒の刀身に星を模した点滅する小さな白い粒を入れたソードブレイカーと言う感じになっている。
え、俺の槍?
俺の槍は唯の銀色の槍だよ。
とは言え、上級の魔法を込めても壊れない位には強化をしてあるが。
「へえ、すごい」
剣を上に掲げて、見たり、軽く振って重心を確認したりしている。
少しした後、満足げに笑って俺に飛びついて来た。
「すごい、すごい」
「おいおい剣は仕舞ってからにしろよ、危ないぞ」
「あ、ごめんなさい」
唖然としていた、ダンテスさんは我に返ったように、はっ、として話しかけて来る。
「おいおい、装飾はすごいが、それだけなのか?」
「当然です」
そう言ってリルちゃんに、
「そっちの黒い方に魔力を流して見て、あっ、ちょっとだけだよ」
「ん、うん」
そう答え魔力を流す。
「自分の体が浮くように考えてみて」
「うん」
そう魔力を操作する。
地面から数十センチほど浮く。
「え?」
「な?」
それを見て二人は驚く。
「お前は、いったい何者なんだ?」
目を見開いて詰め寄ってくる。
「お前、物質に魔法を込められるのか。
頼む、教えてくれ」
「分、かっ、た、教え、る、から、やめ、て、くれ」
点ごとに思いっ切り肩を掴まれ、揺さぶられる。
「お、おう、すまねえ」
「うえ、気持ち悪」
俺は急に頭を振られて目を回した。
「だいじょうぶ?」
「ああ」
「で、どうやるんだ」
「金属を熱すると魔力を付加しやすくなるんだ」
「あ、熱して付加?
錬鉄するときに魔力を込めながら鎚を振るうんじゃないのか」
「別にそれは関係ない。
熱している時に魔力がくっ付き易くなるから、その時に魔力を込めるんだ」
「………」
「そして魔力を付加して武器を使った後に、武器に魔法陣を彫ってそこに、魔石を溶かしたものを流し込むんだ。
そうすれば、剣が持つ魔力が魔石で書かれた魔法陣に流れて魔法が使える様になる」
ちなみに、リルちゃんに渡した剣には、内部に入れてあるが。
「そうなのか」
「ああ、そんでこの作業は出来れば三人位ですることをお勧めするぞ」
「なんでだ?」
「金属を熱しながら魔力を入れるんだぞ?
金属を熱する、魔力を込める、込める人を守るための防壁を張る役目がいると思うぞ。
まあ、三つの作業が同時に出来れば一人でもできるだろうな」
「無理に決まってんだろ」
「まあ、そうだろうな。
俺以外は出来るとは思わないよ。
まあ、協力してくれる人を探してやればいいんじゃない?
さて、要件も終わったし行こうか」
その後、気難しいと言われていたダンテスさんが、知り合いの魔法がうまい奴に協力を頼みに行ったときに、正気を疑われたりと色々あったりしたが、数か月後に技術的に完成させ、その製法が国中に伝わり魔法具が多少高いながらも、普通の人にも普及して行ったと言う。
まあ。魔道具をコレクションしていた者がその折を受けて、大損したそうだがそれを颯が聞いた時腹をよじって大爆笑したと言う。
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