017 一人目の旅の仲間?
もう少しで約束の時間になるな、宿の食堂に向かうか。
食堂に行くとルナ、セーラさん、リルちゃんと旦那さんが揃っていた。
「こんにちは、なんです?」
「ルナに颯君のことを詳しく聞いてな。
君は差別が嫌いでそれをする者には、相手が教会であろうと。戦うと言うのは。
本当に君の本心か?」
セーラさんがこれまでに、見たこともない様なくらいに、真剣な表情で聞いてくる。
「ええ、本心です」
「そうか」
「えっと、それで本題は」
「君は、これから旅に出るんだな」
「ええ、皇国の方へ行って。
亜人の集落に行くつもりですけど」
「それに、リルを連れて行ってほしいんだ」
「え?」
俺は何を言っているんだと言いたげな雰囲気で声を上げる。
「いや、それはどうなんだ?
て言うか、リルちゃんの意思は」
「わたしは一緒に行きたい」
「な」
旦那さんに視線を向ける。
「本人の意思だ」
口出しはしないと言うことか。
まあ、連れて行くのはいいけど、理由が知りたいな。
「まあ、いいですけど。
連れて行かせる理由を聞いても?」
「・・・もう聞いてはいるだろうが、リルは混血で複数の種族の特性を持っている。
そのおかげでもあるが、リルは強い。
この歳ですでに、A級の下位に匹敵する」
ふん、そんなに強いのか。
確かに、A級と言ったら国に数人で、国に所属していない探索者ギルドの全体の0,01%位だったか。
ルナに一般常識を叩き込まれたので、この程度なら、スラスラ出て来る様になっている。
ちなみに冒険者ギルドも同じくらい。
「それなら、一人でも問題ないのでは?」
「この人もそう言うけど
この歳で一人で行かせるのは流石に・・・」
まあ、普通に考えればそうか。
「解りました。
それでは、預からせてもらいます」
「おう、頼むぞ」
「でもなんで、俺なんです?」
真剣な顔が、急にニヤケ顔になる。
「いやぁ、こいつはねえ。
自分より強くて、優しい奴としか付き合いたくないと」
「お母さん!!」
「いあ、そう言うわけじゃないだろ」
同時に声を出す。
特にリルちゃんなんて、真っ赤だ。
ルナが近付いてきて、
「手ぇ出しちゃ、ダメだよ?」
底冷えするような声色で言ってくる。
今度は旦那さんが、
「手を出すなら、責任はとれよ」
普通、父親なら逆を言うんじゃないのかよ。
て言うか、少し笑ってないか、楽しんでる?
意外と面白い人なのか?
「・・・うぉっ」
呆然としているとセーラさんに、腕で頭を押さえられ、耳元で、
「あたしは特に何か言うつもりはない、手え出したとしてもお前らでちゃんと話しつけろよ?」
「あ、はい」
「よし。
でだ、あたしらと模擬戦しないか?」
「模擬戦ですか?」
「ああ、お前の実力は聞いてはいるがまだ直接目で見た訳じゃないからな。
それくらい、良いだろ?
それに、リルも戦いたがってるぞ」
え?リルちゃんって戦闘狂なの?
「いや、そう言う訳じゃないよ。
お前さんの実力が見たいだけだ」
「まあ、いいけど」
「俺もやるぞ」
「よし、決まりだ。
ルナ、ギルドの訓練室を貸せ」
「いいけど、壊さないでよ」
ありがとうございました




