122 災者の集い Ⅱ
昨日投稿するつもりでだったのですが終わらなかったので投稿します。
【混血王】グライフが到着し、【極夜王】ドラキュラが連れて来た吸血鬼の給仕たちが席に着いた全員にお茶を入れ配っている。
「さてと、もうこれ以上は来ないだろう。
【夜】を閉める」
そう言って彼が連れて来た吸血鬼達も新参の【魔王】達程度では後からは入ってこれない程の結界を張った。
「そこまでしますか?」
【山祇王】タムケが意外感を隠そうとせずに行った。
他の者達の発言はしないが同じ様な思いを抱いている。
「何か問題か?我が集めたのだ主らの安全を守るのは当然であろう?」
「ははは、そうですか?」
【極夜王】ドラキュラの特殊属性【夜】。
吸血鬼は日の下では極限まで弱体化し、弱い者なら死んでしまう。
この世界の昼夜は太陽神と月神、精霊が作っていて調和している。
それを限定的だとしても跳ね除け程の権能を彼は持っていると言う事になる。
その【夜】の中では様々事が出来る。
中に入って者達的には、ここには居るよりも外の魔物達に囲まれている方がまだ安全だろう。
まあ、そんな事をすればここにいる全員の【魔王】を敵に回す事になるのだからそんな事にはならないだろうが……
なお、ここの数少ないルールの一つに先に手を出したものは他の全員をもって排除すると言うものがある。
とは言えどこまでそれが行われるかは不明だが………
「しかし、集まらぬな」
「したなかろう」
ドラキュラの言葉にグライフが答えた。
この二人がここにいる中では最古参の二人だ。
約一名を除けば滅多にかかわりたくないと思っている者達だ。
「そうですね、新参の【魔王】はあなた方が怖いですからね」
全く思っていないと思う様な雰囲気でタムケは言った。
彼は馬鹿では無いもともと子鬼だった彼が【魔王】とまでなったのはひとえに能力もあるが賢かったからだ。
彼が他の【鬼人王】が収めている国を回るのは、しっかりとやっているのかを確認して自分の力や血をひく子供を増やす為だ。
まあ、考えを知られなければただ放浪して、女遊びをしているだけなのだが……
「まあ、いい。今日お主らを読んだのは予言の【魔王】と【勇者】の事についてだ」
そこにいる全員がはやりそれか思い、目を細めたり、腕を組んだり、机に肘をついて身を乗り出しったり、まったく微動だにしなかったりと反応は様々だ。
「じゃがの……そのもの事を話すのはいいのじゃが、そやつはまだ行動を起こしておらんのじゃろう?それなのに今からどうしろと言うのじゃ?」
【紅蓮王】フロストは北の国サイレントと関係は悪くないので【勇者】はそこまで脅威では無い。
まあ、ここにいる者達は人間たちよりも他の【魔王】の方がよっぽど脅威にうつるので誰も興味を示していない。
それを脅威として見るのは、ここに来ていない新参の余裕のない【魔王】達だ。
「ふむ、言葉が足りぬか?」
「もう少しはっきりと言うべきだな」
ドラキュラのつぶやきにグライフが答える。
「仕方ない、我が言いたいのはそのものに対する対応の話だ」
そうは言っても特に気にしていない声色で言った。
「如何すると言うのだ?率先して消しに行くと言う事でいいのかな?」
重く重厚な声、【絶殻王】リテスが発言した。
「ふっ、そうは言ってはおらんよ。我としては放っておくつもりだが?」
「ふむ、そうか……」
頷いてはいるがそれを頭から信じてはいない様な雰囲気だ。
彼も同じ様にこちらに来ないのなら放っておくつもりなのでその事には賛成の様だ。
その他の者達はドラキュラがそう言ってしまったので頷くしかない様で次々と頷いた。
「まあ、だが奴がこちらに近づいて来る様なら、それは自分で好きな様にするがいい」
だが、それを聞いた時、そこにいる者達に衝撃が走る。
それは彼はもうその【魔王】を見つけていると匂わせている。
それは殺害するとしても取り入るとしても【魔王】達のパワーバランスが崩れてしまう事を意味する。
その後は【勇者】についてや近じか行われる帝国の武術大会の話題も出たが、先の事のインパクトが強いせいで殆ど盛り上がらなかった。
話が終わった後、ドラキュラは現れた時とは逆に闇に溶ける様に消えた。グライフも止まる事なくすぐに帰って行った。
「はあ、疲れたのじゃ……」
二人がいなくなった事を完全に確認するとフロストは完全に脱力して机にしだれかかった。
「フロストさんだらしないですよ」
「うむ」
残っているタムケとリテスがそんな彼女を見て注意する。
「はぁ……いいじゃろう、ある程度気の知れたお主らといるのと比べるとあ奴らのは何をしてくるか分からん。特に今日のドラキュラはどこか変だったからの、いつもよりも気が抜けんかった。
それにお主らと違ってわしの闘う距離は遠距離じゃからあの時襲われたらと思ってな………」
「………」
リテスは黙り込んでいる。
鎧がある所為で良く分からないが照れているのだろうか?
意外とここまで来てしまうと自分の国……規模的には、集落だが神格化されてしまい、仲のいいものと言ったら彼女くらいしかいないのかも知れない。
「ドラキュラさんは多分【勇者】を狙っていますね」
「………むぅ?」
「…………【勇者】?」
二人は行き成り出て来た意見とタムケが真面目な話をして来た事に対する驚きで反応が遅れた。
まあ、彼としてもからかいの言葉でも言おうとしたのだが、いつもの様な反撃が来ないだろうと予想して面白くないので言わない様にしたみたいだ。
「そうです【勇者】。そしてドラキュラさんは多分予言の【魔王】君を見つけては無いと思いますよ」
「見つけて無いじゃと?じゃあ何故あそこまで自信ありげに言ったのじゃ?
それが本当なら最後の手を出されたら好きにしろと言うのも腑に落ちんが?」
フロストがタムケに疑問を向ける。
彼は内心呆れているが、まあ、交渉の様な事をした事が無いのだろうから仕方ないのだろうなと思い極力それを表に出さない様にする。
「精神的な揺さ振りです。僕たちを焦らせて如何にかして動かせたいのでしょう。
その時にでも勝手に動いた事を糾弾すればいいし、邪魔なものを排除できると言う事です」
「ならどうすればいいのじゃ?」
彼は本当に呆れている。
前置きをした筈なのに何故分からないのかと。
「そこで【勇者】何ですよ。やみくもに探すよりは、いずれ遭遇する可能性のある【勇者】をマークしておけば多少は見つけやすくなるでしょう?」
(それに同じく異世界から来たものですからね)
「おお、確かに」
「………」
二人は感心した様な視線を彼に向ける。
「僕は武術大会がある間は帝国にいるつもりなんですが一緒に来ます?」
彼は放浪をしている間しょっちゅう人間の街にもよく行くから出る提案だろう。
「それは難しいのぅ……」
フロストはサイレントの要人には顔を知られてるので難しいだろうから彼にとっては予想通り。
「リテスさんはどうです?それを脱げばいけると思うのですか?」
「…………ぬぅ」
「お祭りは結構楽しいですよ?」
「…………ぬぅ」
その後もしつこく交渉?を続けてともに行く事となった。
これが一体どうなるのかはまだ分からない。
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