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クラスごと勇者召喚されたみたいだが俺の職業は魔王のようです  作者: satori
第三章帝国での武術大会は面倒事になるでしょう
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115 復讐の英雄 奪う者

本日三話目です。

頭に膨大な情報が入ってくる。

それは今手に入れたスキル、称号、職業のものと吸収した者たちの記憶。

そしてそれと同時に体内からあふれ出る大瀑布の様な力に驚く。


身体を抱いき歯を食いしばって力の流れに耐える。


数分後それは収まり入ってきた情報を確認する。


自分の中の常識を打ち破る様な内容に驚きつつも出来ると言う確信はある。


〈昌殻〉発動


魔力と気が混じり合い魔力が結晶の様になっていく、そして気が魔力で作られた剣に質量を与えて行く。


作り出した剣を手に持つ。

まだスキルを手に入れたばかりなので、それはまだ不恰好ではあるが敵を斬ると言う事に関してはなんら問題は無い。


「はぁぁぁ」


魔力、気を高め身体能力を上昇させ更に昌剣も流し込む。

身体を極限まで捻り一気に剣を振り抜く。

切っ先から魔力、気が離れた瞬間それも瞬時に結晶化し飛んで行った。

本来の魔力を斬撃として飛ばすものは根本的なものが違う。

それの強みは本来、速度だ。

威力は牽制ていど、使う者も攻撃力は殆ど期待されていない。

しかし、気が混じった瞬間それは超高速で飛ぶ大質量体となり、更に高濃度の魔力が魔法さえも斬り裂く埒外の強靭となる


放たれた斬撃は落されていた場所の天井を破壊した。

だが、それは上にある建物も斬り裂きその上、建物を囲う様に張られている結界さえもまるで空の斬るかの様に斬り裂いた。


「さてと、待っていろよ?」


そう呟き、羽毛の様に軽やかに質量を感じさせない様な跳躍をした。


降り立った場所はあの思い出深い白亜の訓練場。


「ははは、これは…………中々運命的だね?」


上を見上げていると扉から入って来た者達に気付きつい笑みが零れてしまう。

その体勢から振り向いて、避けた様な深い笑みを隠しもせずに言った。


金色〈こんじき〉色の瞳が妖しく光る。


ここにいち早くついてしまった運の無い者達は、その瞳とついあとずさってしまう程の威圧感に思考する事を放棄した。

そして永久にそれをする事は無かった。


「あははははぁぁぁ」


自分の意思に関係なく笑い声が出る。

さらにここへ向かって来る足音が彼女の笑いを更に深いものへとしていく。

重い足音も交じっている事からここで使役している大型の魔物モンスターもいる様だ。

各面にある扉が同時に開き一つにつき数十人の人間が入ってくる。

ここの職員は一人もいない。

おそらくは先ほどの事から彼女の戦闘能力を理解したのだろう。


私と同じ様な境遇の者達なのだろう。

しかし、魔物モンスターの腕や足がついている者もいて明らかに本来の人の形を失っている。


それを見て湧いてきた感情は、自分がああならなくて良かっただった。


その反応に苦笑しつつもそこまで自分は変わっていないのかな?と首を傾げる。


口元を抑えて昌剣を僅かに下げた。


その時、部屋の中にいた者達の瞳から彼女は消えた。


次の瞬間には首や胴が一斉に飛び、数秒後室内に血の臭いが充満する。


だが、それを行っている者を見る事は出来ない、辺りを見渡している内に気が付くと首が飛んでいる。


十数秒後には彼女を除く生き物は足下の血の海に沈んだ。


第二陣の襲撃が来るがそれと時を同じくして強さを感じない者達が施設から逃げ出している事を感じた。


「どうするかな?」


考えてみるが、散り散りに逃げているので追うのも面倒くさいし………ここにいるものを殺し尽くして、設備を使えなくして根本を殺しに行こうか。

考えが終わると同じ様に入って来た者達は、水平に振るった昌剣から放たれた斬撃によって何をされたかを認識するまでも無く死んでいった。

なお、その斬撃は十数フロア分届きそこにいる者達も同時に死んでいった。


そして大きな力のある場所を見つけ彼女はそこへ向かった。






私はそこについた時部屋の名前を見て首を傾げた。


〈所長室〉


「は?」


中にある気配は強いものが六つに弱いものが二つ。

送られてきた人数を考えれば、ここにいる者がすべて同時に来ようが相手にもならない事を理解しているであろうに…………

考えてみても分からないので押し入る事にした。

まず、扉を細切れにし、それらを剣の腹で気配に向かって全ての破片を打ち出した。


まあ、その程度は防ぐか……


誰一人死んでいない事を中に入って確認した。


中にいたのはバランスのいいパーティー一つと笑顔を浮かべた男に神経質そうな痩せ型の男だった。

パーティーの方は全員が包帯を巻いており顔を見る事は出来ない。


何故笑っている!?これから死ぬと言うのに………


私は周りにいるそれなりに力のある者達よりも笑みを浮かべている男から目が離せない。


何よりもアイツを斬りたい。

斬撃を飛ばすのでは駄目だ。

直接この手で斬らないと…………


踏み込もうとした瞬間に背筋に冷たいものが走った。

踏み込みをキャンセル。

地に張り付く様に体を低くして、投擲された短剣を躱す。


「ちっ、邪魔だ」


攻撃しようとした物とは別の者が剣を受け止めた。


「邪魔、邪魔邪魔、邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔」


剣を止める事無く振り続ける。

振るたびに相手は入れ替わり、攻撃の先が安定しない。

攻め急いでいる様な印象さえ受ける。


「邪魔なんだよぉぉ」


例え攻撃が来ようと強引に回避しながら、無理のある体勢で剣を振り続ける。


「がぁ………………………」


刺された?私が?


口元から血を吐き出しつつ後退る。


顔を上げて前を見た私は、笑みを浮かべていた者の表情を見て堪え様のない怒りを感じた。


何だ、その失望した様な顔は………


怒りのまま再び動こうとするが、その時に気付いた。


こんなのは私の戦い方では無い。


激情のまま動いていた事に茫然としつつも、同じ愚は繰り返さない様にする。

目を細め、開いている手に昌剣をもう一本取りだし、体制を低く構える。


多少でも動こうとした瞬間に昌剣が閃いた。


あたりはしない攻撃ではあるが、それは相手の動きを制する。


それを数回繰り返し、相手にプレッシャーを与え動きが悪くなった者から一人づつ殺して行った。


そして最後の一人になってもしっかりと待ちの剣技で……力を得る前の剣技で殺した。


首が落ちた事を確認しゆっくりと剣をひく。


神経質そうな男が何かを言おうとするが、すぐさま殺す。


結局最後になった男は満足そうな表情をしている。


「お前はなんでそんなに落ち着いている?」


歯を軋ませながら理解出来ないと言う雰囲気で言った。

全力の殺気を含んだ視線を送るが、少しもたじろいだ印象が無い。


「何故取り乱す必要がある?私の役割は【英雄】を作る事。

それが達成されたのだ……何か問題があるのか?」


「……………」


目を見開き剣を手が白くなる程に握りしめる。


殺す気も起きなくなるが、その時身体が勝手に動き心臓を貫いた。


「がふぅ…」


唸り声を出すが、その表情は異常に満ち足りた顔をしている。


男の最後に私は、つまらなそうな顔をしている。




その後彼女は自分の力を高める為に迷宮ダンジョンに数年間潜り、力と復讐心を研いでいった。

彼女が表の世界に出て来るのはそれから五年後。


ありがとうございました。感想待ってます。評価お願いします。

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