112 技術開発局の変人達 下
「条件があります」
俺は顔の前に手をもってきて人差し指を立て顔の中心を隠す様に、シーとしている様な体勢を取った。
俺が急に張りつめた様な雰囲気を出した。
その雰囲気に当てられてソフィーは緊張した様に身構える。
「条件とは?」
「俺は近じかここのから離れなければ事になるのですが、自分の身内に子供が多くいるんですよ。
その警護等は、ウェイン様が便宜を図ってくれるらしいのですがそれだけでは、少々不安がありまして………」
「………」
ソフィーとエーデアは俺の言う言葉に固唾を飲んで聞いている。
「お願いしたいのは、俺の邸の守護です」
俺はここで警護では無く守護と言う言葉を使った。
理由は意味合いをより重くする為だ。
「私たちはそこまで強くないぞ?高位精霊と契約はしているが戦闘技能は修めていない。
そもそも、私は本国の精霊使いは戦力として使われるのが嫌でここにいるのだ」
強い口調で俺も申し出にノーと言って来る。
しかし、俺はまだ最後まで行っていない。
「いえ、そこまで面倒をかける事は無いと思いますよ。
それに私はこれの改善策をもう思い浮かんでいます」
レティシアを除くここにいる全員が驚愕している。
レティシアはむしろ、自分とリル更には邸にいる全員の武具を作っている事は知っているので、それは当然だと思っているがそれでも颯が羨望?驚愕?の眼差しで見られている事が誇らしい様だ。
「………それは、本当なのか……俄かに信じられない………」
やっと口が開けたかと思えば、そんな下らない事を口走っている自分に嫌気を感じながら言った様だ。
「それは当然でしょう」
俺はその発言は気にしていないと語外に言って一旦言葉を切る。
「それでは、納得がいくように説明しましょう」
その理由はソフィーにとっては是非聞きたい事であるし、ギョクとしても自分と当分共に居るだろう相手の技量を見るいい機会だと思い真剣な表情で俺の話を聞こうとする。
「御存じの通り、この世界には二種類の魔法があります。
それは現代式と呼ばれている精霊魔法、二つ目は古式魔法と呼ばれています。
それをさらに細かく分類すると力のある文字を書く、読む等をして魔力に干渉して現象を起こす文字魔法。
絵や巨大な魔法陣を描いて同じ様に現象を起こす図画魔法。
ちなみにこれらを同時に使う事もあるので一緒にされている事が多いですね」
漢字は絵を元にしているから、文字を書くと同時に絵を描いても言えるからまったくこの世界と違うものだとしても、その効果の高さから使われていたのだろうね。
「ここで一つ。
現代式がさかえ古式が廃れて行ったのは、ある意味必然的な事がありました」
俺がそこで言葉を切り何でしょう?と言う様子で四人を見る。
「回復系統の有無。発動の容易さ」
「植物に干渉出来るか出来ないか」
ソフィーとギョクがそう答える。
「そう正解です。
古式は現象を起こす為には多くの知識が必要でした。
その為、体の事を知ってるのは神くらいか、もしくは神でさえも分からないか……
しかも、個人差を考えなければいけないので術式も千差万別……とてもじゃないですが、使う事は出来ません。
そして、植物干渉も同じ理由ですね」
まあ、細胞に酸素を多く送ったり、刺激をする事で治癒を早めるみたいな事は出来るが、それで治るのは元より能力値がそれなりに高い者だけだ。
それを考えると〈思考加速〉〈並立思考〉〈思考詠唱〉〈諸事万端〉は古式を使う為の最高の組み合わせとも言える。
「あらゆる意味で僕らの魔法の方が優れているね」
エーデルそう言う。
確かに精霊魔法は利点が多いい。
「それは違うな」
俺は精霊魔法が使えないので古式しか使っていない為、多少は愛着もある精霊魔法の欠点を言わずにそう言われるのは、少々腹が立つ。
「古式魔法は魔力の魔法と言う現象への転換率が圧倒的に高い。
何故なら精霊に魔力を渡す時、精霊が存在する糧として回収する。
その時の消費は注ぎ込んだものの三割と言われている。
これに限ると俺は使った事が無いから、ほんの知識だがね」
「……………不味い魔力しているくせに……」
エーデルは精霊の性質上は仕方ない事とは言え反論は出来ないだろう。
ボソッと言ったのは見逃しておこう。
………て言うか俺の魔力って不味いの?
「制御の全てを自分で如何にかしなければならないが、それは文字や絵を魔力の通り道さえあれば遅延発動出来る。
まあ、そのあたりが俺が魔法具を作れる理由であるな」
付け加えると古式を使えてさらに〈魔力支配〉が必要になるがこれは言う必要は無いな。
「さてと、これが上手く動かない理由は、エーデルに適していない魔法の処理をさせようとしているからだ」
体勢制御に周囲の探知、錬金術で作られた伸縮性に高い疑似筋肉の操作。
生物が無意識の内にしている動きを物理的な体を持っていない精霊がその操作を出来るとは思え無いしね。
さてと、詳しい経緯は割愛するが制御魔法を作る作業そのものは相当容易に終わった。
何せ今までの戦いは殆どの場合で体勢を魔法でして来たので、用意されている入れ物に合わせてそれをアレンジするだけで直ぐに作る事が出来た。
更にそれに重力魔法や硬化を付加させたり、手持ちの魔石を付けて魔力のタンクも作った為、元の物よりも一段階以上スペックが上昇してA-に限りなく近いB+級と言った所だろか?
しかも、その時に言った彼女の言葉がまた印象的だった。
「これをお願いだからひろめないでね………多分これが広まったら、私の国で精霊使いはこれに入れた精霊を使う様なになる。
今の国はおそらく根底から制度を変える事を強いられる………」
ソフィーのいた精霊の国と言う者の事は殆ど知らないので何と反応していいか分からなかったが………
それでもそう言うのだから戦闘要員として強要されるのが嫌なだけで、国そのものはそこまで嫌いではない様だ。
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