105 訓練後の朝食
本日三話目。
俺は身体が動かなくなる一歩手前の状態まで訓練をした所で、自分の内面に向かってかけていた〈諸事万端〉を解除する。
そして魔力による支えを消して、思考速度も元の速度に戻す。
それと同時に身体に疲労によるだるさと限界の手前まで使った事による痛みが走る。
それは動いている途中に書いた汗と同時に、妲己使っていた体術はまだ全くと言っていいレベルで使いこなせていない事が理解させられる。
動きの全体的な理論は分かっているが、まだ体の方が付いて来ないってところか………ん?
ふと此処の入り口の方から、いくつかの視線を感じた。
その気配のする方を見ると顔を赤くしてボーとしているリルとレティシアに、その後ろで呆れた様子で頭を手で押さえているミーリャだった。
レティシアがタオルを持っている事を見つけると丁度いいなと思いながら、地面に置いて置いた上着を拾いそれを持ちながら三人に近づいて行く。
ミーリャが目の前の二人の事を見て、ギョッとした様な顔をしてボーとしているレティシアからタオルをひったくって二人の前に出る。
「早く汗を拭いて服を着てくださいっ!!」
物凄い形相でタオルを渡して来る。
「え?」
俺はその勢いについて行けず呆けた様な声を出した途端、睨まれたので「あ、はい」と答えてタオルを受け取る。
一枚目のタオルで体に汗で張り付いている髪をまとめて固定して、その後に体をふいて行く。
実際の所タオルで拭かなくとも魔法でどうにか出来るのだが、それを今のミーリャに言う事は何となく恐怖を感じるので無言のまま体を拭いて行く。
拭き終えて、上着を着て髪をまとめているタオルを外す。
「ふぅ」
広がって行く髪を手櫛で整えて行く。
その間ニーリャが二人を叩いて正気に戻している。
あまりの容赦のなさに俺は唖然としている。
「ミーリャそれはやり過ぎなんじゃ………」
「原因は黙っててください」
俺が言う事にキッと俺を睨みながらそう反論してきた。
そう言われても何が、原因なのか理解できなかった。
服を着ろと言う事は、俺の体を見てそう思っている?
でも俺の体なんて、細いし白いし別にみても何か思うとは思え無いのだが………
首を傾げながら、そう考えているとミーリャの手によって正気に戻し終えた様だ。
「ほら、リル様。速くそれを渡してください。
レティシア様も早く渡してください」
ミーリャは、リルの持っているバスケットをレティシアの持っているタンブラー指さしながらそう言うった。
「お兄ちゃん朝食持ってきたよ」
「颯様、野菜ジュースとレモンサイダーを持っていました」
指摘された二人は、ハッとして俺にそれを渡してきた。
「うん、ありがとう」
指摘してもしょうがないし、訓練も今終わったばかりだし特に何も言う事は無いから、お礼を言って受け取った。
「って、ミーリャ何時からいたの!?」
リルが今更ミーリャがいる事に気付いて驚いている。
横にいるレティシアも声には出してこそは無いが、頷いている事がら同様であると思われる。
と言うか、二人共見られてたのなら気付………って、俺もこの二人に見われて気付いていかったから言えないか………
「二人が食事を持って行った後、私のする事も終わったので見に来たんです」
「「………」」
二人は無言のままそれを聞いている。
聞きたいのはおそらく、自分たちの醜態をどれだけ見られていたのかが知りたいのだろう。
と言うか、段々近づいて殆ど触れ合う様な距離まで接近して、会話の内容を俺に聞かせない様にする。
まあ、二人が聞いてほしくないと行動が雄弁に語っているので、俺は意識的にそれを聞かない様にする。
(何でお兄ちゃんがこっちに気付く前に声をかけてくれないの?)
〈そ、そうだぞ。ミーリャ、あんな表情を颯様に見せるなんて………〉
(一応、声はかけましたよ?)
(それは………)
〈ミーリャそれとさっきの私達に対する扱いは無いんじゃないのかな?〉
(それは、御二人共肩を叩いても反応が無く、颯様が近づいてきた時にさらに御見せでいない様なお顔をされたので、タオルを渡して他の事をしている内に強引にも正気に戻した方がいいと思いまして)
:
:
:
さて、話が続いている内に朝食を食べようか。
バスケットの中身を確認すると小さめのサンドイッチが四つと一口サイズのフルーツサンドが三つ入っていた。
食べようとすると二人おりのメモ用紙が入っている事に気付く。
何だろう?
開いて確認すると内容は、食べる順番だった。
まあ、特にわざわざそれに反する理由も無いのでその通りに食べるとした。
順番通りに食べると最初に食べた物の中には焼いていない柔らかいパンにレタスとベーコンを挿んだあっさりとした物、次はサクサクになるまで焼いたパンに甘めのフワフワな卵の入った物最初の物、やわらかくなる程度に焼いたライ麦のパンに香辛料をたっぷり使った辛めでスパイシーなチキン、最後は薄めの肉にクリーミーなチーズを挿んで低温の油で揚げて甘めのソースをかけたミルフィーユカツサンド。
一通り食べると味と触感が見事に対比しあい、それぞれが味を引き立てる。
朝からすごいもの作っているよな………
おそらく、昨日の夜の内に下準備は終えているのと思うが朝からこれはすごいよな。
上機嫌にフルーツサンドを食べようとして、ふと三人の方を見ると何故かミーリャが二人に押されている。
………何あれ?
ミーリャの押されている理由が分からない。
俺は疑問に思いながらも、聞かないと決めたのでもし後でミーリャが愚痴って来たらその時にでも教えて貰えばいいか、と思いデザートを食べる事にした。
なおミーリャが押されている原因は、二人が開き直り何故あの様な状態になっていたのかを事細かに説明し始めた為だ。
もちろん、ミーリャも颯の事を憎からず思っているが、リルとレティシアは戦闘能力の高い種族的な好みに加え二人共戦闘狂である為それで聞かせれても同意しかねる部分がある事。
しかも、それが絶え間なく言われ続けたからだ。
後日、ミーリャは颯に内容をぼかして本当に愚痴を零していた。
感想の方で後でれくらいで武術大会が始まるのかと聞かれたので、こちらで回答します。
後数話程で帝国へ向かって旅立ちますので始めるのは3~4週間後になると思います。
ありがとうございました。感想待ってます。評価お願いします。




