102 お茶会
颯がリルがこちらに気が付いた事に、気が付いたのはこちらへ飛び込んで来ようとした正にその瞬間。
速度は魔力を不使用なので音速には届いていないだろう。
戦闘においてこれを対処する事は容易い。
高速戦闘は妲己との模擬戦で最高のものをしたと言う自信がある。
しかし、それは回避、受け流し等の事をしてだ。
今、彼はリルの事を受け止めなければならない、回避なんてもってのほかだ。
受け止めて衝撃を逃がして、地面をするのはあまり見栄えが良くないな……
それなら気付いていなと言う事で、直前に対応した様にして転がりながら衝撃を逃がそうまだこっちの方がいい気がする。
以上の思考をリルが彼のもとに到達する数瞬の間に終了させ、着d……飛び込んでくる寸前に気付いた様に動き出して、ちゃんと正面から受け止めて自分に痛みが走らない程度に衝撃を受けて、それ以上の衝撃は後ろに跳んでいくときに、反対方向へ重力と慣性中和を行いしっかりと速度を落としてから背中を地面につけ数メートル程モミクシャになりながら回転し、最終的に受け止めた態勢と同じ態勢を取りにこりと笑い。
「ただいま、リル」
リルは満遍の笑みを浮かべながら。
「おかえりなさい」
と言葉を返した。
それからは彼が以上の事をした苦労を一切感じていない様だ。
なお、地面を転がっている最中周囲にとてつもない砂埃を立てていたが、彼がしっかりと保護していたのでリルの服や顔にはたった一粒として、砂はついていない。
ちなみにソルさんから今の光景を見ると、急に颯が吹き飛び砂埃をまき散らしながら地面をころがった後、何があったかと思い彼の方を見ると腕の中にリルがいたと言う感じであろうか?
魔法がその瞬間に幾つか発動させた事は、感知出来たがなにを使ったのかは分からなかったが、おそらく衝撃を緩和する物なのだろうと結果から逆算した。
そんな光景に普段は笑みを絶やさない彼女でも、目を丸くさせてポカンとしていた。
しかし、そんな事は気にせず、リルも颯も何時も通りだった。
「でも、お兄ちゃん。
帰って来ているなら、ちゃんと教えてよね」
リルが腕の中でジト目で拗ねた様な声色でそう告げて来る。
「ごめんごめん、訓練をしている様だったから。
あ……」
リルの事を考えてて、シェンの事すっかり忘れてたな………
それを思い出すとリルを抱えながら立ち上がり、転がっている最中に二人の下敷きになっているシェンを抱え上げた」
「大丈夫か………」
恐る恐ると言った様な感じでシェンに話し掛ける。
「いいもん、僕の扱いなんてそんなもんでしょ」
………相当拗ねてるや、こりゃ、どうしようか………
取りあえず今はクレープを渡して後で露店巡りをしようと言って、それで一応機嫌を直してもらった。
それを見ていたリルにも渡す。
二人共顔をクリームで汚しながら食べ始めた所で他の子供たちもこちらに来た。
「お帰りなさいませ」
レティシアが挨拶をして、その後に他の子供たちと共に恭しくお辞儀をした。
だが恭しくはしているもの、皆嬉しそうな顔をしている。
何と言うか、もう相当、忠誠心と言うのが正しいのかは知らないけど高くなっているよな………
思惑通りに言っている事が逆に彼の罪悪感を大きくしている。
それを抑え込み、笑顔で。
「ただいま、みんなもクレープ食べる?」
俺は〈アイテムボックス〉から人数分のクレープを出しながら皆にそう聞いた。
内心で思っている事とは別に、実際にそれが将来的にはかなり有効であることを理解しているので、自分に対する感情をプラス方向へ持って行こうとする行動を取ってしまう。
クレープを配っている途中でレティシアとミーリャがいない事に気付く。
何所行った?と思いながら、周囲を見渡していると。
「あ、レティとミーリャなら、お茶と今日の分のおやつを取りに行ったよ」
「取りに行った?」
何でと思いながら首を傾げていると。
「戻って来たよ」
早いなと思いつつリルが指さしている方を見ると、ミーリャは銀のワゴンで人数分のお茶とおやつを運んで来る。
レティシアはレジャーシートと何故か大き目なクッションの付いた椅子を持ってくる。
二人が来ると同時に皆が動き出し、てきぱきとした手つきでピクニックの様な光景になる。
用意されているおやつは、マカロンにマドレーヌ、各種ジャム、まるで貴族のお茶会の様なラインナップだと思う。
まあ、いろいろキッチン用具を作って相当難しい温度管理を全て設定できるようにしてあり、ぶっちゃけ、元世界にある物と比べても遜色はない。
この世界において、お菓子作りの難易度を上げているのはその温度管理なので、それが全自動でできてしまう為、ここでそれらを作る時に気にするのが、中に入れる物や生地のこね方、小麦粉の塔の比率になっている。
つくづく贅沢な暮らしをしているな~、と他人事の様に思っている。
あ、そう言えば、俺って貴族だっけならいいか~
本当に適当に現実逃避をする。
ちなみにレティシアの持ってきた椅子は、俺に使わせる為だったようだ。
とは言え、俺だけ椅子に座るのも居心地が悪いので、土属性の魔法を使い、もう本当にお茶会の様な物で統一した。
「な………」
それを見てソルさんが唖然としている様だ。
「複合魔法です」
俺はそう簡潔に答える。
更にテーブルを触って、その手触りにいったいどうやってと言う表情をしている。
本当に貴族の使う様な品質のものを作り上げたので驚くのは無理も無いだろうが……
彼は久々に食事をするときにアルコールの匂いのしないものに満足していた。
リルとレティシアに向こうで何があったかを基本にして聞かれた。
旅に出ている亜人の子供たちの中にかなり親しくしていた者もいる様なので、元気にしているかなどを聞かれた後こんな事を聞かれた。
「お兄ちゃん、襲われてないよね?」
目がすわっている。
「え?」
予想を斜め上をいく様な質問にキョトンとしてしまう。
と言うか、怖い……
更にその質問が来た瞬間に、レティシアも同じ様な目をし始めて、ソルさんも怖い、他の子たちはとても興味ありげにこちらに耳を向け始めている。
これは、もうあれの事を聞いて来ていると言う事だよね……
何と言うか、そう言う事を知るのが速くないかね……
此処で話を逸らす方が怖いな、まあ、何も無かったし普通に答えておけばいいか。
「無かったよそんな事」
彼はハッキリとそう答えた。
しかし、今回は何もなかったが、亜人のお姉さま方には颯には酒を飲ませれば簡単に酔うと言う事が知られてしまっているので、次にもし子ども組が無い時にそのような事があれば、リルの危惧している様な事になる可能性は相当高いだろうが………彼は気付いていない。
途中ひやりとした場面もあったが、おおむねこの急遽行われたお茶会は楽しかった。
去り際にソルさんが、明日の一時くらいに市長室まで来てください。市長が紹介したいものがいると言う話なので、と言って来た。
「何時帰って来るのか分からなのに、なんでそんなにまるで指合たかの様に会えるのでしょうか?」
素朴な疑問を投げかけた。
すると笑って。
「貴方の帰ってきそうな日にちの前後数日間をそう言う面会の為の時間を予め、作っておきました」
と返してきた。
その返事に、ああ成程と納得していると。
「まあ、先方は研究職なので意外と時間には融通がきくと言うのもありますが………」
それを聞いた時俺は、つまり、先方は自由人で辺境伯のワーカーホリックって言う組み合わせで正反対な所がうまが合ったのかと、ポンと頭に浮かんだ。
あらがち有り得そうだなと思ってしまったのは、秘密だ。
最近会話の分が上手く書けていない気がします(;^ω^)
最近一話が長かったり短かったりしているのですが、平均して初期の頃の平均よりも1,5~2倍位に長くなっている為、話数が増えませんね……
しかも、初期の頃の速度でも書けないのでそれも更新数の低下に一役買っていますね(;^ω^)
ありがとうございました。感想待ってます。評価お願いします。




