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クラスごと勇者召喚されたみたいだが俺の職業は魔王のようです  作者: satori
第三章帝国での武術大会は面倒事になるでしょう
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100 見せしめ

本日二話目です

この街に来たのは商会の護衛をしながらなので、その達成報告へ行くのだろう。

中に入ると、周囲から息を呑む音が聞こえて来る。金髪の女性が懐から、達成印が押されている依頼書を受付嬢へ出す。


報告を終えた二人は、ギルドから出て行こうとすると奥の方から、高そうな鎧に身を包んだ男とその取り巻きが出て来る。

その鎧は、高ランクの素材が使われていて高そうに見えると言う事では無く、動きの邪魔になりそうな装飾が施されている物だ。

そんな鎧の着こんでいる男は、一目見て戦う事などしない事が分かる様な無駄な肉を付けていた。


「おい、女喜べ、お前たちを私のパーティーに入れてやる」


傲然と醜い顔を更に醜く歪ませて言い放った。


二人はそう言った事になれているのか、その方を見向きもしないで去って行く。


しかし、声をかけた貴族はそんな事は当然慣れていない、唖然としながらも扉を開く直前に無視されていると自覚し、耳障りな音を立てながら二人に近づきもう一度同じことを言う。


足を止めて二人は振り返るが、男が見たのは今まで自分に向けられた事の無い様な明確な拒絶の念だった。冷め切った瞳と何で馬鹿な事を言っているのだろうと言う苦笑い。


それを見た時、その男は取り巻きにこの二人を動けないようにしてから、自分たちの拠点に連れて行く様な事を言った。取り巻き達もおこぼれが貰えるだろうと言う事でかなり張り切っている様子だった。それを見て、自分に逆らうとは何て愚かな女なのだろうとか、そんな事を思っていたのだろう余裕の表情で成り行きを見ていた。


そして少し遅れておそらくここのギルド長であろう人物も出て来る。周囲を見渡してもうこの状態が手遅れである事を理解したようだ。


黒髪の女の方が、周囲を見渡して最後のついさっき出て来たギルド長の方を見る。気まずそうに視線を逸らすのを見て、この騒ぎに対して誰も入って来る様な素振りを見せる事が無いと言う事を理解した様で大きなため息を吐く。そして最後に後ろにいる自分の相方に目をやって、その相方が少し困ったような顔をする。


それを取り巻き達は自分たちの怯えていると取ったのだろう、顔を歪ませて近づいて行く。


そして手の届く距離まで近づいて、抑え込もうとして腕を伸ばした。


その瞬間、肉と骨を砕く音が室内に響いた。


「へ?」


本人は呆けた様な声を出す。


男の手から先は、女に握り潰されていた。


男が叫び声を上げようとした、その瞬間に胸部に掌底を叩き込み、他の者を巻き込みながら吹き飛んでいく。そして遅れて胸部を叩いた音が響く。


周囲の者達は、予想もしていなかった光景に眼を丸くしている。


「エル、こいつらの治療を頼んでいいよね?」


「……手を握り潰すとか、治療がいる様な怪我をさせておいてから、私に治療を頼むのはやめてくれないかな?

 まあ、ちゃんと治すけど…………」


「じゃあ、よろしく」


何処からとも無く取り出した刀を居合の様に抜き放った。その剣閃は目で追うことも出来ず、辛うじて、剣が空気を斬り裂いた時に生じた大気の歪みが見える程度だった。そして先程とは打って変わりゆっくりと刀を下段に構える。そして一瞬停止すると周囲に膨大な殺気を放つ、表情は変わっていないが心なしか笑っている様に感じる。とは言え、完全に冷笑だろうが。


大都市の冒険者ギルドにいる者達の平均的に見た強さは、街の近くに迷宮ダンジョンがあるとか、例外的な事でもない限りランクで言えば最高でC-級程しかない、例外的に辺境は未開拓地等を理由に高ランクの魔物モンスターがいたり、盗賊等のとの対人戦が多い為、都市の外に出て活動する最低の基準がかなり高く、それらの物から相当な金額を稼ぐことが出来る為、高ランク者も相当多く集まる。

ちなみに国境付近は、国境警備隊の兵士たちも他国に無断で国境を超える事は難しい、特に関係の悪い国同士の国境周辺は盗賊たちにとって、天国とも言える環境となっている。


まあ、今この事はちょっとどうでもいい事だろう。つまり彼女はここらでは、過剰と言える戦闘能力を持っている。そんなものを見た事もどれほど強いかなんて感じた事の無い者達にとっては、理解の外にいるような存在だろう。


殺気を向けられている訳では無い周囲にいる者達でさえ、動く事が出来なくないっていると言う事からそれを直接向けられている者達は、どれほどの恐怖を感じているのかは、推し量る事さえも難しいだろう。


既にこの時取り巻き達の戦意は無いに等しかった、それも彼女は分かっていたのだろう。しかし、周囲の者達が目の前にいたはずの彼女を見失う。


男たちは、支えを失ったかのようにその場に崩れ落ちて行く。


一応貴族に目を付けられて、この街の中でとは言え自分達では手も足も出ない様な者達が、正にまばたきをする時間と同等の時間で倒された。


ギョッとして、倒れ込んだ男たちを見ると、全身に致命傷にならない程度に薄く尚且つ動く事が出来ない様に、全身の筋肉を斬り裂かれている。


一瞥をきれる事無く、おそらく態とであろう、コツ、コツと足音を響かせながら腰が抜けて倒れ込んでいる貴族に向かって歩いて行く。


「あ、あ、そうか、パ、パーティーメンバーと言うのに不満があったのだろう……そこまで強ければ当然であろう。わ、私の嫁になりたかったのか?そ、それなら先に言ってくれればよかったのだ、お前の連れと共にお前達ほど美しければ、貴族の嫁になってもおかしくあるまい」


こんな状況にもなって、こんな事を言う事が出来る頭の出来はある意味尊敬に値する。今の状況が自分に対するアピールだと本気で思っているらしい、まあ、完全に錯乱しているというのも可能性としては、ありそうであるが…………


彼女の手が消える。


もちろんこれは、周囲の者達からの認識だ。そして今までの流れから、この醜い貴族の男も全身を斬り裂かれたのかと思ったが、そうでは無かった。ではどこを切られたのか、それは男の叫び声で周囲の者達は分かった。


「ぎゃぁぁぁぁ、ゆ、指かっぁぁぁ」


「おいおい、動かすととれるぞ」


男の指だけが、滅多切りにされていた。それは知識のある者が見たら別の意味で驚いていただろう。指にある細かい神経を僅かに掠めて、かつ全てを切っていると言うのに、完全に切断していない。切った場所全てから痛みを伝わる様にされている。恐ろしい程の剣の腕である事がもたらした結果から周囲の者達は理解する。

そしてこのまま彼女の事を放っておけば、目の前で拷問じみた事が行われるのは想像に難くない。


貴族の男は肘を使ってはいながら女から少しでも離れようとする。すると女がこんな事を言った。


「知っているか?足の裏と言うのは熱い皮に覆われているのにも関わらず、周囲の振動等を感じる為に相当神経が通っているらしいぞ?」


それを聞いている貴族の男を含めた周囲の者達は何の事だか、理解は出来ていない様であるが碌な事でない事は理解できたようだ。


剣を大きく振りかぶると足の裏を突き刺した。


再び男の叫び声が室内に響き渡る。


流石に見かねたギルドの職員が止めようとする。


「もうやめないか!!それ以上やると……」


「は?」


多少は収めていた殺気が再び室内に充満する。

それに周りにいる者が縮こまるが、ギルド長はこのまま放っておけば殺しはしないまでも、自分にまで後で責任問題になる事をするであろう事から、引く訳にも行かずに話を続け様として、再び口を開こうとした瞬間、先程までの殺気でさえも向けられていない者達でさえも縮こませる程の物であったが、今ギルド長に向けて放たれた物は、それが霞んでしまう程の物であった。そしてそれによって言葉を詰まらせる。


「と言うか、何で今更になって口出しして来るんですか?ついさっき助けを求めましたよね?それをあなたは無視したじゃないですか、と言う事はこの問題は私たちの問題ですよね?」


詰まる所、保身の為に自分を無視してこいつに好き勝手やらせる事にしたのだから、状況が明らかに放っておくと不味い事になるからと言って、入って来るなよと言う事だろうか。


「しかし……」


「ああ、貴族を傷つけた事ですか?エル、よろしくお願いします」


それは一切問題になりませんと言う様な雰囲気で後ろにいる女性に話し掛ける。


「はいはい」


最初に彼女が筋肉を斬り裂いた男たちに近づく。


男たちは何をされるのだろうと顔色を悪くして、眼を強く瞑る。そると痛みが引いて行くのに気付いた。周りで見ている者達もそれを見て更に驚いている。


それは劇的な変化だった。周囲に飛び散っていた血が浮き上がって、男たちの体に戻って行って皮膚から傷が消えて行く。そして服の傷さえも消えて行った。


痛みが引いていったい何があったのかと眼を開いた、自分たちの体に起こった事に困惑している様な感じではあるが、動けると言う事が分かり驚いている。


「な、高度な回復魔法を使える様だがそれとこれは」


「はあ?もっとよく見なよ」


失笑しながらギルド長の言葉を遮る。


「何?」


何を言っているのかと言う反応をしてくるが。


「そもそもこれは回復魔法じゃない。回復魔法で飛び散った血が元に戻るか?服が元に戻るか?」


この時初めて口もとに笑みを浮かべ、まるで嘲笑う様に言葉を紡ぐ。


「っ!?」


目の前で起きた事が、自分たちの常識の中で有り得ない事であると言う事に気付いた様だ。


「分かっただろ?そうなった事実は無くなる」


「しかし……」


「安心しなよ。こいつがこの事を話す事が気出来ない様にちゃんとやるから………ねえ」


ゾッとする様な声でそう言う。それに合わせてすぐ隣にいる女性は同意するように頷いている。

見ている者達は、虫も殺さなそうな優しそうな雰囲気をしているこの女性もやはりこの女と同じ様な考え方なのかと思い、そこにいる男性冒険者たちは女性恐怖症になった者もいて当分、この街で冒険者による強姦事件の件数が激減したらしい。


その後貴族の男は何をされても反応がしなくなるまで拷問の様な事が続けられた。その間街の兵士たちもギルドに来たが、彼女たちはこいつらが強引に私たちの事をさらおうとして来たから、それ相応の対応をしているだけだ。今のこれは後で自分のした事を捻じ曲げて私達に報復をしない様にしているだけだと言い続けた。


ありがとうございました感想・評価よろしくお願いします


すいません過去編を書いていたらまだ出せない部分を出さないと話がうまくいかない様な状態になってしまってそれにつなげる話を投稿できなくなってしまいました(;^ω^)


今日の更新は出来ませんすみません<(_ _)>


ですので過去編は入れられなくなってしまったので次は颯視点に戻します

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