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クラスごと勇者召喚されたみたいだが俺の職業は魔王のようです  作者: satori
第三章帝国での武術大会は面倒事になるでしょう
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099 二人の噂と近状

お久しぶりです

最近噂になっている二人の冒険者がいる。

噂になっている理由の一つは、その二人が過去の【勇者】を彷彿させる様な勢いで冒険者ランクを上げて行った事と嘘か真か分からないが探索者のランク評価でA級以上に入っている可能性がある事、そして此方が騒がれている最大の理由だと思うが、その二人そろって飛び切りの美女だからだ。


しかも系統の違う、いや、対をなしていると言える


一人は一本たりとも癖の付いたものなど無い、夜空よりも深く、鴉の濡れ羽色と表現するになんら抵抗を受けない美しい黒髪に見つめていると吸い込まれそうな黒真珠の様な瞳、そしてもう一人も癖の無い一面の麦畑を思わせる温かみのある黄金色、風で容易に舞いそれが日の光を浴びて一本一本が陽光を反射しまるで後光の様に光る金髪に深緑を思わせるエメラルド色の瞳。


正に対極な色彩を持っている二人の美女。


更にこの二人は一ヶ所に殆ど止まらず、何か目的があるのか一定の期間が過ぎると護衛系の依頼を受けて街を後にして行く、それ故に噂で出回っている情報の殆どが不確かなもので容姿以外の情報は、かなり誤情報を含めて相当数が語られている。


噂の内容であるが、裏を襲って来た魔人を含めた魔物モンスター数百体の群れをたった二人で殲滅させたとか、逆に自分たちをモノにしようとした貴族と私兵を含めて数千人を殺したとか主に戦闘能力面において、国のお抱えの精鋭たちと匹敵するかそれ以上であるとしか思え無い物だ。






聖国、国内にあるとある大都市の冒険者ギルドにて、一人の黒髪の女が入って来る。

その女が入って来てその顔を見た瞬間、そこにいる者達特に男たちに緊張が走り、室内の温度が数度下がったような気がする。

彼女程に絶世と言うのも抵抗が無い彼女に対し何故この様な反応をするのか?

それはこの街に来た時、彼女と彼女の片割れである者と共に居た時に、この街でギルドに所属している貴族が二人を見た時、二人をモノにしようとして話しかけた事があった。

その時の彼女の貴族への対応が、信じられないものであり更に容赦の無い物であった為である。

そしてそれによってこの二人の噂の中で特に、貴族に対する対応と戦闘能力については、疑いようの無い事獲あると言う事が分かる事となった。


まあ、とは言え受付嬢や女性冒険者たちにはその貴族に嫌がらせやセクハラをしていて、身分を笠にそれをしていたのでとても疎ましく思っていた。

それとギルドにいる男たちも自分たちの事を低く見ているふしも有った為、それを見ている時は恐怖を感じたが、その後はその感情も消えてそこにいる女性たちには受け入れられる結果となった。






この街のメインストリート、多くの馬車が走り幾つもの商会の大規模店舗が軒を連れている。


「この街は随分と賑わっているのね」


とてつもなく美しいのだが、表情が無い少女が隣にいる女性に話し掛ける。


「それは、この国の首都と比べているの?それとも冒険者ギルドに登録した街の事を言っているの?」


対照的に柔和な笑みを浮かべて返す。


「そうね。首都の方かしら、人は多かったけどこの様な活気は無かったと思うわ」


「紫苑は聖教区と呼ばれている教会本部がある場所くらいしか見ていなかったからそう思うのね」


「聖教区と言うのは王城を含んでいる場所だったかな?

 確かにそこ以外は、武神の迷宮に行くときも馬車に乗っていたから外を見なかったし……

 そう言えば、【勇者】がいる事は外にそこまで出して行っていないと思うのだが、その辺はどうなんだ?

 外に出した方が、教会としてもそう言う神輿がある方が、都合がいいんじゃないのか?」


無表情のまま疑問がある事を強調するかのように、顎に指を当てて首を傾げる。


「ああ………それは……

 過去の【勇者】達は色々な事をして来たのは知っていますよね?」


「知ってる、技術革命を起こしたり、戦争を起こして大国の一つを叩き割ったり、小さいけど国を作ったり、正直に言うと世界を良くも悪くも混乱させていると思う」


自分達の先人たちが行って来た事を淡々と上げて行く。


「うん、召喚者たちは私たちの知らない知識や考え方を持っているからね。

 絶対に裏切らないと確信を持つ事が出来るまで、【勇者】達事は召喚された人間の人数を含めて公開しないと思うよ」


「何だか、その事を聞いていると召喚者は完全にリスクを考えているよね」


「それは………今まで【真の魔王】クラスの【魔王】が現れた時に、今まで殆どの場合【勇者】が対処して来たんだよ。

 その所為でその【魔王】が現れる兆候があったら、教会が【勇者】を呼ぶ事は何と言うかね、お決まりの物に成りつつあるんだよね」


「ふむ、面倒だな……」


目を細めながら、幾つにも意味が取れそうな返答をする。


「所で一つ聞くが、今の話を聞いていると【勇者】及び召喚者はこの世界では一体どう言う扱いになっているのだ?

 今までの事を聞くと、ある種の戦奴の様に感じる」


「そうだね………間違っていないと私は思うよ。

 【勇者】は当然の様に【魔王】と戦うと思われている。

 人間と言うよりも【神の使徒】の様な物で、自分たちの事を護って当然の様な考え方をしている」


出来のいい生徒に教師が褒める様な、悪い言い方をすれば上から目線とも取れる雰囲気で言う。


「神の、ね……嫌な言い方をするね」


表情は変わっていないが、嫌そうな雰囲気が漂う。

それは自分たちを召喚した者にとっては、私達は奴隷よりも低く見ている可能性さえも考えられる。

それに加えて、自分もさらに実力をつけるか、早く颯の事を見つけてこの国を出て行った方がいいと思った。


「自分達にとって、都合のいい人間をまるで自分達よりも上であるかの様に表現するのは、悪意を感じるね」


ため息を吐きながら、そう続ける。

御大層な名称で相手を呼んで、自分たちの都合の良い様に使うか、確かにいい手だとは思うけど自分にそれをやられるのは少々どころか、かなりムカつくな。


と言うか私たちみたいにこんな大量に召喚された人数がいなければ、意外とすんなり騙せる様な気がするけどね。

むしろ一部の思考の持ち主なら、喜んで転がされそうだけど。


「国としても自分たちの戦力は削ぎたくないだろうしね」


エルはそう言って繋げる。


まあ、それはそうだろうな、理解できるけど。この話は終わりでいいかな。


「そう言えば、城にいた騎士たちは、はっきり言えば弱かったがなんでだ?」


召喚されたばかりで、そこまで強くなっているとは思えない時に、勝つことが出来た事への疑問を上げた。


「本当に強い者は、辺境に集められて、他国からの侵略や魔物モンスターに対しての対策として使われる」


「まあ、それはそうね。そんなに強かったら城になんている意味無いわね」


納得気に頷いていると。


「そもそも、権力者はそう言った実力者を好かないし、実力者も権力者の事が嫌いだし」


「まあ、基本的に相いれない印象はあるな」


二人は会話をしながら、ギルド向かって行った。



ありがとうございました感想・評価よろしくお願いします

以降からは土曜に一週間貯めた分の更新に戻します

今日中にあと2~3話更新します

評価人数が増えたらやる気が出て一週間の更新話数が元に戻るかもですよ

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