くしゃくしゃの手紙
手元に届いたのは、くしゃくしゃになった手紙だけであった。
彼からの最期の贈り物。
私は溢れてくる涙を必死に拭いながら、手紙を広げた。
書いてある文字は特徴のある歪な文字で、その癖の感じは間違いなく彼の書くものであった。
この手紙を大切に持って、夜な夜な私の家まで車を走らせていた彼。一体なにが書いてあるのか。
それはあまりに直球過ぎる文字であった。
私はそれだけで涙した。
それはただ一言、
“結婚してください”
その文字の下には、セロハンテープでくっ付けられた白銀の指輪。
やり場のないこの気持ちを泣くことでしか晴らすことはできなかった。
読んでいただきありがとうございます。




