勝負の結果
「っ! 早く沈んで!」
「GaaA! Gauuu!!」
強撃も突進も使えない私と、傷付きながらAGIの低下による鈍化と防御力低下が入っているボス狼。お互い手負いで殴り合ってるのは変わらない。
大振りな引っ掻き攻撃は戦鎚で潰せるから、先手を取ってカウンターの要領で予備動作の段階で潰してる。噛みつきとか押し潰しは屈んだり横に跳んで回避。
でもこれ集中力結構使うし、一撃でも直接貰うと死ぬ気がするから必死だ。まだ現実との身体の動きの差にギャップもあるから、100%の力で戦えてるとは言えない。
そろそろ一呼吸入れないと……ってまず?!
「《硬毛》!! ぐぅっ……」
「Gauu……?」
急に引っ掻きにフェイントを混ぜてきたせいで、攻撃を出すタイミングを完全に誤って、硬毛を使ってしまったのだ。発動は間に合ったから、HPが4割持ってかれるだけで済んだ。
ただの動物かと思ってたけど、頭は多少回るみたい。油断はしてなかったけど保険はもう無い。硬毛の効果がある間にボス狼のHPを削り切らないと大ピンチだ。
「頑丈ねほんとに!!」
「Grrrrrrraaaaa!」
これが最後のターンになるはず。引っ掻きならあと1回受けても大丈夫なのは分かったから、意識をダメージを与えることに優先させる。
躱し、殴り、噛みつきを警戒して懐まで潜り軽い突進で仕切り直される。私の移動速度も硬毛のデメリットで下がってるけどもう関係ない。このまま力押しするのだ。
硬毛の効果時間残り15秒、ボス狼の息も荒くなってポリゴンの欠片が所々から出ている。もう決め切るしかない。
「ぅうっぃっけえ!」
「GaaaaaAA!!」
引っ掻きをあえて喰らってゼロ距離まで近寄れた。爪にノックバック効果はないことと、懐まで近寄られたら仕切り直しを優先させるのはさっき確認済み!
ボス狼の頭も姿勢の関係で下がるからそこが最大のチャンスだ。僅かな隙だけど、次のこととか考えないで全力で振り抜く。
「えぃっ!」
「Grrrrrrra……?!」
脳が揺れたのかフラフラと後退って、前足の片方を膝に付く。
「色々綱渡りだったけど……これでおしまい」
「Grrrrruu……」
「次があったら真正面から叩き潰すから、さようなら!」
ドンっと鈍い音を響かせながら、HPが0になって地に伏した。そして死体は残らず、代わりに木の宝箱がその場に残された。
『名もなき島のボス、深林のフォレストキングウルフを討伐しました。初討伐ボーナスとしてステータスポイントとスキルポイントを2ポイントづつ取得します』
『種族LV、職業LVが上がりました』
『《戦鎚》LVが上がりました』
『《HP自動回復》LVが上がりました』
「終わったぁ……」
その場に仰向けで倒れて、そう言いながら無事に私は初めてのボス戦を勝利に持っていったのだった。
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